【ツアー報告】冬の信州でイスカに会いたい!(追加設定)2022年2月27日~28日

(写真:イスカ 撮影:坂東俊輝様)

人気のある赤い鳥の中でも特徴的な嘴を持っているイスカは日本国内では冬鳥とされていますが夏季にも見ることがあり、少々謎がある鳥でもあります。また毎冬毎冬飛来するわけではないためなかなか出会いのチャンスがないのも事実で、出会うことはなかなか難しいのが現実です。イスカは特にマツの種子を好んで食べるため針葉樹の林を探すことが重要で、松かさをこじ開けやすいよう嘴が互い違いになっていることが最大の特徴です。この嘴を使ってマツなどの針葉樹の種子をついばんで食べるためこういった採食シーンが見られればとも思いツアーを企画しています。またツアーではここ数年、皆様からのリクエストが増えているシングル部屋を利用したプランにしています。ツアー当日、またツアー日からさかのぼること一週間ほどは概ね天気予報は良好でしたが、探鳥地は除雪区域外のため、それ以前に降った雪が残る中での探鳥となりました。

27日、このツアーは遠方からのご参加が可能になるよう、集合時間を通常よりもやや遅めの東京駅前09:00にしています。幸いにも早朝から晴れ間が広がる中、東京駅前を予定通りに出発して、ひとまず中央自動車道を走りました。バス車内ではいつものようにこのツアーで見られそうな鳥の解説やイスカの話などをしながら進め、途中、サービスエリアで休憩し、その後は車窓から雪化粧した八ヶ岳を遠くに眺めながら進みましたが、この日は八ヶ岳の上に怪しげな雲があり、急に風が吹いてきてバスが揺れるほどでした。その後は見る見るうちに車道の斜面に雪が見え始め、ちょうど昼前に到着したサービスエリアでは道路外に雪がかなり残っていました。時間的にも良いことからここで各自昼食の時間とし、併せて観察機材の準備もしていただきました。その後は高速道路を降り現地に向かいました。途中、再度トイレ休憩を挟んでから現地に向かい、到着後はバスを降りまだまだ雪が残る道を歩きました。もちろんすべり止めを装着する時間をとってからではありましたが、よく見ると道には人が歩いたせいかわだちができていました。ゆっくりと進みましたがこの日はどういうわけか鳥の気配が全くなく、ひとまず時間もないことから前回のツアーでイスカを見た場所に向かいました。途中には過去にイスカの姿を頻繁見ている場所もあり、そこではやや足を止めてみましたがやはり全く気配がなく、結果的にはそのまま進むことになりました。積雪が予想よりも多かったことから歩くにも苦労するほどでしたが、なんとか前回イスカの姿を見た場所までやってきました。するとこの日はやや距離はあったもののわずかにイスカの声が聞こえたことからしばらく待っていると真っ赤なオス個体と若草色のメスが鳴きながら現れ、いきなり目の前の松の木にとりつきました。なかなか良い枝には出てきてくれませんでしたがしばらく観察することができ、一旦姿を消したものの再び付近で同じ個体と思われる2羽に出会うことができ、松の木に止まって羽繕いをするなどじっくりと観察することができました。その後は突然の強風に押されるように一旦戻ってトイレ休憩を挟み、最後は風を避けるように別の林道を歩いてみました。ただここでも鳥の気配はほとんどなく、地面で餌を探しているホオジロ、そして「フィッ、フィッ」と鳴きながら飛んできたウソの姿を見てこの日の探鳥を終了しました。

28日、この日は早朝からすっきりとした快晴ながらも最低気温が-4℃とのことでかなり肌寒い朝となりました。朝食後は予定通り08:00に出発して現地を目指しました。念のためトイレに立ち寄って再度服装のチェックもしてから現地に向かい、ひとまず昨日と同じルートを歩いてみることにしました。途中、梢でさえずるホオジロや針葉樹林でさえずるヒガラの声を聞きながら歩き、前日にイスカの姿を見た場所までやってきました。するとこの日もかすかにイスカの声が聞こえたことから待ってみることにしました。ただ来た道の方向でイスカの姿があったようだということで戻ろうとするといきなり3羽のイスカが飛んできてカラマツに止まりました。その後は再びほぼ頭上の松の木に止まったり、姿を消したりを繰り返しましたが、この日は突然、我々の目線よりも下にやってきて松の木の幹にキツツキのように垂直に止まり、枝に着いた氷をつつくような行動を見せてくれました。また待っている間にはエナガやコガラ、ヤマガラがやってきたりとこの日は少なからず小鳥たちの動きがあり、戻る途中ではベニマシコのオスとメスが仲良く地上を歩きながら餌を探していました。その後は一旦昼食の時間とし、最後は公園まで移動して探鳥しました。川ではミコアイサの群れを探しましたが見つからず、どうしたことかと思っていたら意外にも別の場所に群れていたため移動して間近に観察することができました。また付近にはホオジロガモのメスもいて潜水、浮上を繰り返していました。水門まで移動すると、今度はかなりの数のカイツブリに混じってホオジロガモのオスの姿があり、じっくりと観察することができました。園内を歩くとツグミが歩き回り、ジョウビタキやエナガ、アオジも現れ、この日はやや距離があったものの凍結した湖面にはカワアイサの群れの姿がありました。しばらく見ていると氷が開いている場所に移動するなど飛び回り、遠くにそびえる八ヶ岳と青空、そして美しい諏訪湖の湖面と相まって見事な景観を見せてくれました。

この冬はそもそも冬鳥の飛来状況が芳しくない状況であり、前回もイスカとの出会いにはかなり苦労しました。ただ今回は意外なことにイスカはあっさりとその姿を見せてくれ、しかもさまざまな姿を見せてくれました。ただ、毎回見られていたオオマシコをじっくりと見る機会がなく残念でした。全体的に鳥の気配が少なく、ヤマガラ、ヒガラ、コガラ、エナガ、ホオジロ、ジョウビタキ、ウソ、そしてベニマシコが見られたのみでした。諏訪湖畔では当地では定番となっているミコアイサ、カワアイサ、ホオジロガモには出会うことができ、八ヶ岳の美しい景観も楽しむこともできました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。またの機会にご一緒できましたら幸いです。

石田光史

ホオジロガモ 撮影:小林浩様

 

イスカ 撮影:坂東俊輝様

 

カワアイサ 撮影:小林浩様

 

ベニマシコ 撮影:坂東俊輝様

 

イスカ 撮影:小林浩様

 

ベニマシコ 撮影:坂東俊輝様

 

ベニマシコ 撮影:小林浩様

 

ミコアイサ 撮影:坂東俊輝様

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