【ツアー報告】九州縦断 出水と有明海 2016年2月9日~11日

すっかり定番となった冬の九州を3日間で縦断する人気コース。ただ、ここ数年は過去定番種となっていたいくつかの種の渡来がなくなったことから、行程が流動的になりつつあります。今回も予定していた探鳥地にめぼしい種が見当たらないという現地からの報告があり思案していましたが、直前になって付近の干拓地に珍しいカモ類がいるとの情報が入ったため、ご了解をいただき最初の探鳥地を変更させていただきました。

 9日、予定通り羽田空港を出発して鹿児島空港に到着することはできましたが、鹿児島市内は強風が吹き荒れていたせいでかなり機体が揺れました。到着後は大阪からご参加のお客様と合流し、観察機材の準備をしてからバスに乗車して出発しました。予定では空港近くの水田を目指す予定でしたが、直前情報を加味して南部の干拓地に変更し、しかも鹿児島在住の友人が同行してくださいました。干拓地は風避けがないため強風の中での探鳥となりましたが、最初に訪れた場所で亜種アメリカコガモ、次に訪れた場所ではアカハジロを見ることができ、いきなり最初に目的の2種を観察することができました。ほかにも50羽ほどのツクシガモが群れ飛び、全く動きはなかったもののクロツラヘラサギの姿もありました。トイレ休憩を挟んで次に訪れた水田ではミサゴが上空を舞い、池にはヒドリガモ、オナガガモ、コガモ、キンクロハジロなどのカモ類、アオアシシギ、ハマシギ、タシギなどのシギ類、そしてほとんど寝ていましたが15羽ほどのクロツラヘラサギの姿がありました。この先はツルが越冬する出水平野に向かい、早速東干拓近くの川でヘラサギとクロツラヘラサギの採食行動を見ることができました。夕方に到着した出水平野はツルが密集していないため珍しいツルを探すには好都合です。ゆっくりと進んでいくとバス車内からカナダヅルの姿を見ることができたので、ひとまずバスを降りて観察を開始しました。この場所では4羽のカナダヅルが佇み、順光の中、比較的近い距離で観察することができました。その後は意外なほどあっさりとクロヅルの姿も見ることができ、初日の僅かな時間の中でツル4種を見ることができました。

 10日、06:45に起きて早朝のツルたちを観察しました。薄暗いうちから無数のナベヅル、マナヅルが餌場に集まってくる様子は見事で、この日は美しい日の出も見ることができました。朝食後は再びツル観察を行いましたが、鳥を捕らえたオオタカ、地上に群れるタゲリ、電線に群れるミヤマガラス、コクマルガラス、そして当地では珍しく50羽ほどのホシムクドリが見られました。10:30には出水を出発して河口に向かいました。ちょうど干潟が出てくる時間に合わせて訪れたため、シロチドリ、ソリハシシギ、ダイシャクシギ、セグロカモメ、オオセグロカモメ、ニシセグロカモメが次々に現れ、帰り際には干潟に群れるツクシガモ、木々にはニュウナイスズメの群れが見られました。一旦昼食をとった後は干拓地に向かいました。干拓地内の牛舎付近ではムクドリが群れ、その中にホシムクドリの姿がありましたが残念ながら遠く、諦めて帰ろうかと思った時に目の前の枯れ木に数羽のホシムクドリが飛んできてくれたことから、順光の中で光沢ある姿を楽しむことができました。

 11日、08:00にホテルを出発してまずは河川付近のアシ原で探鳥しました。干潮だったためズグロカモメが飛び、タゲリの姿もありました。オカヨシガモ、ヒドリガモ、コガモなどの姿はありましたが期待されたツリスガラの声はせず、アシ原内でアオジ、ホオジロ、オオジュリン、モズを見るに留まりました。その後はこのツアーのもう一つの目玉である有明海の干潟に向かいました。到着時はまだまだ干潮のため公園を散策していると、ここでもホシムクドリの姿を見ることができ、干潟では見る見る満ちてくる潮に押されるように歩きながら採食する15羽ほどのクロツラヘラサギ、数千羽はいたと思われるハマシギ、長い嘴が特徴のダイシャクシギ、ほかにもシロチドリ、メダイチドリ、ダイゼン、そして今年は6羽のミヤコドリの姿がありました。今回は有明海の満潮時間が早かったことから、最後は今津に立ち寄り、魚を狙ってホバリングするミサゴを楽しみ、河口ではヨシガモ、ハシビロガモ、ウミアイサ、ホオジロガモ、そして珍しく3羽のヒシクイの姿を見て観察を終了しました。

今年の冬の九州ツアーは春のような陽気の中で進行することができ、ツルたちが高く舞い飛ぶ北帰行の走りのような行動も見ることができました。観察種は3日間で89種を記録し、アカハジロ、アメリカコガモ、ミヤコドリ、ホシムクドリ、定番ではありますが、クロツラヘラサギ、ヘラサギ、ズグロカモメ、ツクシガモといったこのツアーの主役たちもその姿をしっかりと見せてくれました。皆様お疲れ様でした。  

石田光史

ツクシガモ

ツクシガモ

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