【ツアー報告】渡り鳥の中継地 秋の粟島 2022年10月8日~10日

(写真:シラガホオジロ 撮影:大塚敦雄様)

8日、予定通りに粟島に到着後、宿泊する宿で観察準備を整えていると、シラガホオジロ発見の報が入る。発見された場所は宿から近いところだったので、すぐに向かうと、残念ながら大豆畑の茂みの中に入ってしまい、今は見られていないということであった。それでも、しばらく待っていると再びその姿を現してくれた。姿を現した後は私たちの様子を気にする素振りも見せずに道端で採餌に忙しくしていたため、本当に良い条件で観察するという幸運に恵まれてのスタートとなった。シラガホオジロを充分に観察、撮影した後は農耕地を歩くが、驚くほどに鳥の姿が少ない。例年であればジョウビタキ、カシラダカ、カワラヒワなどが多く見られる時期であるが、2時間ほど観察してもそれらの鳥が1羽も確認できない。出会うバードウォッチャーも皆「少ない、少ない」と繰り返す。予定よりも時間が余ったので、別の場所に向かい農耕地を歩くが、こちらもほとんど鳥の姿を認められず、カシラダカはわずか1羽確認するだけに終わった。この時期の粟島でこんなに冬鳥の姿が少ないのは初めての経験で、明日以降の鳥に期待しつつも、不安もぬぐえないまま、初日の探鳥を終えた。

翌9日、朝食前に畑地を歩くと、昨日は観られなかったアカゲラやビンズイ、ノビタキなどの姿があり、少しは鳥が渡ってきたようだ。それでも依然、数の少なさには驚かされる。宿で朝食を食べた後は港方面に歩き観察をすることとするが、こちらにもあまり鳥の姿はない。それでもシジュウカラ、ヤマガラと共にエゾビタキやコサメビタキの姿を見つけることが出来た。昼食後は午前中にオジロビタキが確認されたという場所へと向かう。到着後に探し始めると、ほどなくその姿を見つけることが出来たが、かなり広い範囲を飛びまわるうえに、木の茂みの中で過ごしている時間も多く、観察することが難しい。ほかにもこの日はチゴハヤブサやノジコなども確認出来て、いよいよこれからが秋の渡りと思っていた矢先、利用予定の明日のフェリーの出航が強風により危ぶまれている、との報せを受ける。天気図で風や波の予報を見ると、出航時間はまだ大丈夫そうな気配であるが、もし欠航となれば、より風と波の強い翌日も帰ることが出来ない見通しであるため、2日多く滞在することとなってしまう。そのため、夜のうちに、就航する朝のフェリーに変更することとし、離島する準備を進めることとする。

10日、目を覚ますと、昨夜からの雨が強弱を繰り返しながら降り続いている。本来であれば本日も午前中は探鳥の予定であったが、8:15発のフェリーに乗るため、朝食を終えた後はすぐに港に向かい、乗船手続きを行うこととする。天気が崩れる前に出航できたことで、航路上も穏やかな海況で、予定通りに岩船港に着岸することが出来た。

今回は残念ながら最終日に探鳥を行うことが出来ずに、ご期待いただいたご参加者の皆様と共に残念な気持ちでいっぱいですが、ご参加の皆様には多大なるご協力をいただきましたことで無事にツアーの行程を終えることが出来ました。ご参加いただきました皆様、本当にありがとうございました。

田仲謙介

エゾビタキ 撮影:大塚敦雄様

 

コサメビタキ 撮影:大塚敦雄様

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