【ツアー報告】深山のクマタカに会いたい! 2015年3月3日(火)

まだまだ寒い日が続きますが、クマタカなどに代表される大型猛禽類にとっては繁殖期の真っ只中で、早春の頃には営巣地近くの上空では求愛ディスプレイが見られるなど比較的活動が活発な時期です。そのため今回は山深い場所で半日程度定点観察を行い、主にクマタカの姿を観察します。とにかくまずはお天気が重要で、雨天時にはクマタカの観察を諦め、別ポイントでの探鳥に切り替えなくてはならないのですが、当日の天気予報は曇りで雨が落ちてくることはないとのことで、ひとまず安心して現地に向かいました。
集合時の東京駅前は予報通りのどんよりとした曇り空でした。もちろんカラッとした晴天が理想ですが、ひとまず雨が落ちていないので一安心して出発し、バス車内では今日の主役となるクマタカの説明などをして過ごしました。バスの車窓からの風景はどんどん明るくなっていく感じで、現地に近づいた頃には薄日も射し始めました。トイレと機材準備をすませて観察を開始したのが10:20。まずは周囲を見まわしましたがクマタカの気配はなく、セグロセキレイやカワラヒワが飛び交う程度でした。ただ高圧鉄塔に止まっていた1羽が飛立ち飛翔する姿を見せてくれ、その30分後には遠くの稜線を飛翔する1羽を見ることができました。この日は雪景色だったことから景観が美しく、山奥に生息していることがよくわかるような状況でした。望遠鏡での観察でしたが、両翼を大きく上にそらして飛翔するクマタカ独特の姿を見ていただけました。そして最後は比較的近くの林から飛び出した1羽が松の木のてっぺんに止まり、その後林の中に消えていきました。頭上を飛翔するような迫力あるシーンがなく残念でしたが、クマタカは僅か2時間半ほどの間に3回姿を見せてくれました。そして遠くの稜線にはハヤブサの止まり木があり、数回止まっている姿を見ることができました。またダム湖ではたった一羽でいるカワアイサのメスが見られました。
その後は移動し一旦各自昼食とし、昼食後はダム湖周辺を歩きました。ここもよく訪れる場所で比較的鳥の多い場所ではありますが、この日は残念ながら鳥の姿は少なく、草地でホオジロの姿を観察し、懸命に草の実を食べるベニマシコのオスの姿を見るに留まりました。そのためもう一箇所探鳥地を追加し公園の林を散策することにしました。少し歩いて行くと芝生で餌を探すツグミの姿があり、遠くの木立にはシメが見られました。雑木林では地上で餌を探すアオジ、カシラダカの姿があり、深い灰色が特徴的なクロジのオスの姿もありました。またエナガはすでに巣作り中のようで巣材をくわえて飛び回り、周囲ではシジュウカラ、ヤマガラも飛び回っていました。二箇所ある小さな池ではマガモの数が多かったですが、僅かにカルガモ、コガモ、そしてダイサギを見ることができました。そして最後は尾羽を振る独特の仕草を見せるビンズイの姿がありました。
今回は深い山奥の生息するクマタカの姿を見ることを主な目的としてのツアーでした。現地では僅かな時間の中で数回その姿を現してくれ、大きく両翼を持ち上げた姿勢で飛翔する姿を見ることができました。イヌワシに比べて生息個体数が多いものの、待ち伏せ型の狩りを得意にしていることからその姿を見る機会が少ないだけに、貴重な出会いでした。皆様お疲れ様でした。

石田 光史

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