【ツアー報告】フォトツアー2月の冬の道東めぐり 2024年2月15日~18日

(写真:シマエナガ 撮影:宅間保隆様)

冬の定番となっているこの冬の道東めぐりも早いものですでに20年近く担当させていただき、過去、毎年のようにコースを変えながら催行してきました。当時はタンチョウ、シマフクロウ、オオワシ、オジロワシが主役でしたが、シマフクロウに関しては厳冬期の出現率が極めて低いため、出現率が極めて高い初冬に移行しました。それに代わって加わったのがシマエナガ、そして私的に応援している落石クルーズです。シマエナガはその独特の風貌から一気に人気が高まり、今や冬の北海道では外せない鳥になりました。また落石クルーズではほぼこのクルーズでしか見ることができない謎めいた海鳥、ウミバトをはじめとしたウミスズメ類やラッコの撮影に期待しています。これによりシマエナガをはじめとした小鳥類、流氷のオオワシ、オジロワシ、タンチョウの塒および雪原で乱舞するタンチョウ、エゾフクロウ、そしてコオリガモをはじめとした海ガモ類、最後はウミスズメ類とほぼ全てが撮影可能な4日間コースが完成しました。

15日、ここ数日、東京は最高気温が20℃に迫ろうかといった春のような陽気が続き、この日も最高気温は18℃とのことで春一番が吹き荒れるかもしれないとの予報が出ていました。ご集合いただいた羽田空港周辺も快晴で、ご集合いただいた後は資料の配布、この日の連絡事項をお伝えしてから予定通り出発しました。空港が近づいてくると、曇り空ながら眼下には真っ白な大地が広がり、さすがは冬の北海道といった感じがしました。ただこの日の気温は0℃で寒さは厳しくはなく、北海道内もここ数日は気温が高かったとのことで、路面が完全に見え、畑地は一部で土が露出しているという驚きの状況でした。途中、やや霞んではいましたが雪景色に映える屈斜路湖を見ることができ、宿に到着後は一旦お部屋に入っていただいてから各自撮影機材の準備をしていただき、その後はシマエナガをはじめとした小鳥類を撮影しました。留鳥ながら毎年毎年、やってくる頻度が大きく変わるシマエナガですが、この冬はその出現率が極めて高く、この日は12羽で行動している個体が頻繁に見られ、それよりもやや数が多い群れもやってきていました。またこの冬はシロハラゴジュウカラやアカゲラ、コゲラは少なめながら、ハシブトガラの個体数が多い印象でした。さらに驚きなことはウソの個体数の多さで、この日は同時にウソのオスが6羽やってくるという珍しいシーンを何度も見ることができ、ほかにもオオアカゲラやヒガラ、シジュウカラ、そして警戒心が強いミヤマカケスが1回だけながらやってきてくれました。そして小雪が舞い始めた17:00ころからは餌場に向って飛びたっていくエゾモモンガを撮影し、その後は室内からながら、この冬よく姿を見せてくれているエゾクロテンを撮影してから夕食の時間としました。

16日、昨夜の雪のおかげで地面が見えていた場所も真っ白になっていて風景的には冬の北海道に戻った感のある朝。この日はタンチョウの塒の撮影に向かいました。観光パンフレットなどでもおなじみのタンチョウの塒はまず天気が良くかなり冷え込むこと、そして風がないことという絶妙なバランスで川霧と霧氷という最高の条件になるのですが、この日の朝は風がないことは良かったのですが曇りだったこともあって気温は-5℃と高いのが残念でした。1時間ほどで現地に到着するとこの日もなかなかの混雑でしたが中州に佇むタンチョウたちを見ることができ、いつもよりも数が多いような印象でした。この日は比較的動きがあり、鳴き交わしや飛び跳ねるような動作を繰り返す個体もいて、曇り空の下ながらもタンチョウの塒での様子を撮影することができました。その後はエゾフクロウの撮影に向かいました。エゾフクロウはいるのかいないのか運次第といった感じではありますが、この日は幸いにも2羽で仲睦まじく寄り添うように休んでいる姿を見ることができ、たまたま周囲でハシブトガラが騒いでいたことから首を左右に動かしたり、目を開けたりと少々動きがある撮影ができたのが幸運でした。その後はいつもならサンクチュアリーに移動する予定でしたが、この冬はカナダヅルがいることから立ち寄ってみました。この頃からは空はみるみる青空になり雪原に群れるタンチョウたちが輝いて見えました。タンチョウの群れの中には一回り小型で全身が灰色のカナダヅルがこの日も1羽いて、時にはタンチョウに追いかけられて飛び回る様子も見られました。撮影しているとどこからともなく10羽ほどのベニヒワの小群がやってきてカラマツに止まり、松ぼっくりをつついていたかと思うと、付近の草地に降りたため間近に撮影ができました。その後はサンクチュアリに向かいました。ここではたった1羽でやってきているマナヅルが見られ、雪原で群れているタンチョウの姿や突然始まる鳴き交わし、さらには飛翔する姿や求愛ダンスの撮影を楽しんでから宿に戻って各自昼食の時間とし、その後は小雪が舞う中、シマエナガをはじめ、ハシブトガラやシロハラゴジュウカラ、アカゲラ、オオアカゲラなどの撮影を楽しみ、この日も可愛らしいウソが何回もやってきてくれました。その後はエゾモモンガの撮影を行いましたがこの日はなぜかエゾモモンガが現れる気配がなく、そのためこの日もエゾクロテンの撮影に切り替え、最後はキタキツネもやってきてくれました。

17日、この日は流氷に群れるオオワシ、オジロワシ撮影のため羅臼町に向かいました。以前は早朝便に乗っていましたが、なかなか日の出に出会えないこと、そして日の出が見られないと光線の関係で1時間ほど撮影ができないことから変えたのです。この冬はかなり早い段階で羅臼町に流氷が接岸し、さらにはかなりの量であることが伝えらえてきてはいましたが何しろ流氷は風任せ。風向きによってはあっという間に押し寄せ、あっという間になくなってしまうことは当たり前です。ただ前日に現地のスタッフの方からお電話をいただいた際にはむしろ流氷はかなり港に近い位置まで押し寄せているだろうとのことでした。出発後はひたすら広大な大地の中を走るのですが、この日はたまたまお天気が良かったことからかなり冷え込んでいて、出発時の気温は-17℃でした。途中、見事な日の出を見ることもでき羅臼町に到着した後は駐車場にて各自朝食をとっていただき、合わせて準備もしていただきました。もうこの時点で流氷は間近に山ほどあって、真っ青な空を飛翔するオオワシ、オジロワシも見ることができ、雪を冠した羅臼岳もはっきりと見えていました。出航後は流氷の海へと進み・・・といいたいところでしたが、この日は流氷が港のすぐ外まで押し寄せていたことからほとんど走らず、そのため出航と同時に撮影をはじめることができました。振り返ると見事な青空に映える羅臼岳を背景に群れ飛ぶオオワシ、オジロワシ、さらには流氷帯に群れるオオワシ、オジロワシを2時間に渡って撮影しました。この日は快晴無風だったこともあり、これといった寒さを感じることなく過ごすことができ、真冬の羅臼町とは思えないような陽気の中で撮影ができたことは何より幸いでした。下船後は買い物の時間をとってから根室方面に向かい途中で昼食を買っていただいてから野付半島に向かいました。半島に沿って走ると驚いたことにここにもびっしりと流氷が押し寄せていて、その隙間にようやくクロガモ、ホオジロガモ、ビロードキンクロがわずかに見られ、幸いなことにコオリガモのつがいの姿もありました。またわずかに見えている草地には30羽ほどのハギマシコがいて順光側に回って撮影をしました。その後は昼食の時間をとってからさらに周辺で探鳥し、ここでは道端まで出てきている大きな角のエゾシカやうずくまっているキタキツネも見られました。また戻る途中ではこの冬にずっと見られているベニヒワの群れが見られ、やや数は少なくなったものの群れで飛翔する姿を撮影することができました。その後は根室に向い、途中、漁港に立ち寄ってから移動しました。今年はどうもコオリガモをはじめとしたカモ類が少ないようで、漁港内はかなりの数のウミアイサが見られたほかは、わずかにシノリガモ、スズガモがいたくらいで結果的にはかなり遠くにつがいと思われるコオリガモが2羽いたのみでした。ただ驚いたことに漁港内にウミガラスの冬羽がいて間近に撮影することができました。

18日、この日は落石クルーズに乗船予定のため風、波予報が気になっていましたが、幸いなことに天気予報は晴れ一色、波や風も弱いということでかなり条件が良いと期待していました。その予報通り当日は厳しい冷え込みもなく快晴無風。過去にこれほど条件が良かったことはないのではないかという感じすらしました。朝食後は落石漁港に向かい、待合室にてライフジャケットの装着、トイレを済ませてから乗船して出航しました。漁港内には10羽ほどのオオハクチョウの姿がありましたがコオリガモの姿はなく、その後はかなり穏やかな外洋に出ました。早速、ケイマフリが見られ、この時期らしく夏羽、冬羽、中間羽とさまざまな個体が見られ、時には数羽でのんびりと群れて浮いている様子も見られました。そしてこの冬の落石クルーズを象徴するかのようにウミガラスが数多く見られ、2羽で浮いている冬羽個体、さらには夏羽個体も見られました。そして最も印象的だったのが2羽で寄り添うように浮いているアリューシャンウミバトが見られたことで、過去に複数個体を同時に見らことがなかったので大変驚きました。また何回かコウミスズメが見られたものの、とにかく警戒心が強いというか臆病なのか、視界に入ったと同時くらいには飛びたってしまい接近することはできませんでした。そしてこの日、なかなか見られなかったラッコが後半になって連続して出現し、おなかを上にした独特の姿勢でのんびりと浮いている姿を間近に見られたことも幸いでした。

今回は曜日の並びが良かったせいか、往復ともに飛行機が満席でまったく空きがないという状況で観光需要の完全な復活を印象付けてくれました。4日間という国内ツアーとしては長い日程でしたが、この時期の道東としては珍しく全日概ね穏やかな陽気で助かりました。このツアーのメインともいえる流氷観光船からのオオワシ、オジロワシ撮影は流氷が岸から近かったですが快晴の中で最高の条件でした。早朝からはじめたタンチョウの撮影は気温が下がりきらなかったことが残念でしたが塒風景、飛翔、求愛ダンスなどを撮影することができ、新たな主役となった可愛らしいシマエナガも期待通りで撮影三昧でした。ほかにも可愛らしいエゾフクロウはつがいで見られ、オオアカゲラ、アカゲラ、ハシブトガラ、シロハラゴジュウカラ、ウソ、この冬を象徴するかのようにベニヒワには2カ所で出会い、ハギマシコも見られました。また落石クルーズではアリューシャンウミバトが2羽で見られたほか、ウミガラス、ケイマフリ、ラッコなども撮影できました。北海道はさまざま企画しどれも魅力的な野鳥たちに出会えています。 また季節を変えて北海道にお出かけください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

オオワシ 撮影:tayan様

 

コウミスズメ 撮影:宅間保隆様

 

シマエナガ 撮影:生田目怜様

 

カナダヅルとタンチョウ  撮影:tayan様

 

ウミガラス 撮影:宅間保隆様

 

ウソ 撮影:生田目怜様

 

オジロワシ 撮影:tayan様

 

ベニヒワ 撮影:宅間保隆様

 

ウミバト 撮影:生田目怜様

 

シマエナガ 撮影:tayan様

 

オオワシ 撮影:宅間保隆様

 

ミヤマカケス 撮影:生田目怜様

 

流氷 撮影:宅間保隆様

 

ウミガラス 撮影:生田目怜様

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