【ツアー報告】ヤドリギに群れるレンジャクを! 2015年2月26日

冬鳥の多くは渡来数に変動が大きく毎年定期的に越冬しないことがほとんどであるため、冬鳥の名をタイトルに入れることにはかなり勇気が必要なのですが、「鳥の観察会」が始まって最初の冬であることから思い切ってレンジャクとの出会いに期待した日帰りツアーを企画しました。どうなることかと心配していましたが、年明け以降、各地で目撃情報があり2月に入ってからはいよいよ平地での目撃情報も多くなってきました。そして直前の下見でもヒレンジャクの姿を確認することができたのでした。 おかげさまで追加設定が催行されることになり、まずはその追加設定分の出発でしたが、この日の天気予報は雨。ただし降り出すのは昼頃からであろうとのことでしたので、東京駅前を出発後は休憩を挟んでヒレンジャクが見られているポイントに直行しました。幸いにもまだ雨は降り出しておらず、付近にあるヤドリギからレンジャク類特有の「ヒーヒー」というか細い声が聞こえてきていました。観察機材を準備した後は声がする方向に歩いていきましたが複数のヒレンジャクの姿があり、周辺を見回してみるとヤドリギが寄生している樹木のほとんど全てにヒレンジャクの姿がありました。どの個体も比較的警戒心が薄いことから、皆様それぞれの場所から観察をされていましたが、望遠鏡をお持ちではない方には我々の望遠鏡を使ってご覧いただきました。ヒレンジャクはヤドリギの実を好んで食べていましたが、時には枝にぶらさがったりしてユーモラスな姿も見せてくれました。またヒレンジャクが粘り気のある糞をすることによってヤドリギが寄生していくことを分かっていただけるようなシーンも見ることができ、ヒレンジャクとヤドリギの特殊な関係性についても分かっていただけたように感じました。途中からは小雨が降り出しましたが、傘を差しながら結局2時間ほど観察を続け、最後は水辺に降りて水を飲む様子も見られました。また、周辺ではシジュウカラ、ヒガラ、エナガ、アオゲラ、モズ、ツグミ、シメ、池にはマガモ、カルガモ、コガモ、オオバンの姿があり、ハシビロガモの群れが水面をくるくる回るように水面採餌する様子も観察できました。
結局この場所でそのまま昼食をとっていただき、その後は別ポイントで冬鳥たちを観察することにしました。やや山地に入ることから雪混じりになりましたが、ここでは平地では見ることができないコガラ、ゴジュウカラを観察することができましたが、雪により視界が良くないことから早めに切り上げ、最後は平地の公園で探鳥しました。ここでも雨は降り続いていましたが、池ではマガモ、コガモ、カルガモに混じって1羽のヨシガモの姿があり、周辺ではカケスが賑やかに鳴き、アトリの群れ、カシラダカ、アオジなどが見られましたが雨に終われるように観察を終了しました。
渡来するのかしないのか、冬になってみないとわからないのが冬鳥ですが、今冬は全国的に冬鳥の姿が多く、おかげさまで狙っていた時期にヒレンジャクが渡来してくれました。独特のその姿もさることながら、彼らとヤドリギとの関係性も理解いただける内容で、いつもとはやや違った日帰りツアーであったと思います。天候が悪く、ややご苦労の多い1日でした。皆様お疲れ様でした。

石田 光史

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