【ツアー報告】8月の東京~小笠原父島航路 2025年8月5日~7日

(写真:シロハラミズナギドリ 撮影:林山直樹様)
今年も春を過ぎるといきなり真夏がやってきたような陽気が続き、ここ数日は関東地方でも最高気温が40℃を超えることも珍しくなくなっていました。こうなるとバードウォッチングはおろか、外出そのものが危険なレベルで、どこに行って良いか悩んでしまうわけですが、比較的涼しい海上での探鳥はこの時期の逃げ道のようになっています。中でも小笠原父島へ向かう航路は通常であれば5泊6日の日程で運行しているものの、ちょうどこの時期に3日間で往復できる着発航路が設定されます。6日間だとなかなか足が向かない小笠原ですが、3日間という日程であればお忙しい方にもご参加いただけるだろうとのコンセプトで企画しているのがこのツアーです。この時期の小笠原航路は小笠原海鳥基本5種がほぼ間違いなく見られることはもちろん、時には大変珍しい海鳥に出会うこともでき魅力的な時期です。父島には4時間ほどしか滞在できませんが、これといって目立った種がいるわけではないことから南島へのクルーズを実施し、この時期可愛らしい姿を見せてくれるカツオドリの親子や岩礁に群れるクロアジサシを観察する短時間のチャータークルーズを企画しています。本州はとにかく厳しい暑さが続いてはいますが、小笠原はこの時期でも最高気温は30℃くらいのため、まるで避暑に行くような感覚で出発することになりました。
5日、春を過ぎるとすぐに真夏がやってくるような気候が続き、もういつから暑かったか忘れてしまうほど、ずっと暑い東京都内はこの日も朝から快晴で集合場所に到着するまでに汗びっしょりになるほどの暑さでした。この日は集合時間の1時間ほど前に東京竹芝桟橋に到着して準備を進め、おかげさまで集合時間の10:00には全員のご集合が完了したことから、資料配布、行きのチケットの配布、そして海鳥観察ツアーには欠かすことができなくなくなったトラベルイヤホンの配布および使用説明を行い、ツアー全体の重要事項の説明をしてから乗船し、定期船おがさわら丸は定刻の11:00に父島に向けて出港しました。ただ、おがさわら丸が東京湾を出るまでに約3時間を要することから、乗船後はひとまず船内見学や昼食の時間としていただき観察は東京湾を出る14:00からとしています。
*諸般の事情により詳しい出現状況をウェブサイトでは公開しておりません。
前週は動きが遅い台風9号の影響で、おがさわら丸の運行予定が大幅に変わり、前便が2日竹芝発、4日竹芝着となり、なんとか今回の5日竹芝発が間に合った形になりました。今回は初日の海況が悪く、ほぼ観察ができない不運がありましたが、その後の海況はまずまずで天候も良い中で探鳥することができました。今回もまず覚えたいアナドリ、カツオドリ、オナガミズナギドリ、シロハラミズナギドリ、クロアジサシの小笠原海鳥基本5種をしっかりと見ることができ、オガサワラミズナギドリ、アカアシカツオドリ、セグロアジサシ、オーストンウミツバメも登場し、父島ではアカガシラカラスバト、南島では岩礁に止まるクロアジサシやカツオドリの親子に出会うこともできました。次回はザトウクジラが大ジャンプを見せ、オーストンウミツバメが乱舞し、アホウドリ3種に期待できる時期に、母島ではたっぷり時間をとってメグロなどを探す春に企画予定です。ぜひ時期を変えてまた小笠原にお出かけ下さい。この度はご参加くださいましてありがとうございました。特別にご同行くださった宮島仁さんにも合わせて感謝申し上げます。
石田光史