【ツアー報告】7月の東京~小笠原父島航路と南島クルーズ 2025年7月25日~27日

(写真:アカアシカツオドリ 撮影:久野守正様)
ここ数年はいったいいつから暑さが始まったかも忘れてしまうほど、ずっと暑い日が続いていて、どこからどこまでが夏なのかがわからない状況になっています。こうなるとバードウォッチングに出かけるにもどこに行って良いか悩んでしまうわけですが、比較的涼しい海上での探鳥はこの時期の逃げ道といえるでしょう。中でも小笠原父島へ向かう航路は通常であれば5泊6日の日程で運行しているものの、ちょうどこの時期に3日間で往復できる着発航路が設定されます。6日間だとなかなか足が向かない小笠原ですが、3日間という日程であればお忙しい方にもご参加いただけるだろうとのコンセプトで企画しているのがこのツアーです。この時期の小笠原航路は小笠原海鳥基本5種がほぼ間違いなく見られることはもちろん、時には大変珍しい海鳥に出会うことも魅力です。父島には4時間ほどしか滞在できませんが、これといって目立った種がいるわけではないことから南島へのクルーズを実施し、この時期可愛らしい姿を見せてくれるカツオドリの親子やクロアジサシを観察する2時間ほどのチャータークルーズを企画しています。ただ今回はそもそも台風7号があり、その後、8号、そして出発直前には小笠原諸島の南に台風9号が発生するというトリプル台風発生の中での出発になってしまいました。
25日、北海道内で40℃を記録するなど、ここ数日は危険レベルの猛暑が続いていて、東京都内で最高気温35℃でもさほど驚くことがなくなった昨今、冷静に見てみると我々が今回訪れる小笠原村は最高気温が30℃とまるで避暑に行くような感覚です。東京都内はこの日も朝から快晴で気温がぐんぐん上がっているように感じました。集合時間の1時間ほど前に東京竹芝桟橋に到着して準備を進め、おかげさまで集合時間の10:00には全員のご集合が完了したことから、資料配布、行きのチケットの配布、そして海鳥観察ツアーには欠かすことができなくなくなったトラベルイヤホンの配布および使用説明を行い、今回は台風9号が接近してくる状況だったことから非常時の対応についても説明し、最後に小笠原航路で見られる基本的な海鳥たちの解説をしてから乗船しました。この日のおがさわら丸の乗船人数は483名とのことでそれほど多くはない印象で、無事乗船後、定期船おがさわら丸は定刻の11:00に父島に向けて出港しました。ただ、おがさわら丸が東京湾を出るまでに約3時間を要することから、乗船後はひとまず船内見学や昼食の時間としていただき観察は東京湾を出る14:00から観察を開始しました。14:00にデッキに出ると青空が広がってはいたもののやや風があり、海上は波立っていてやや荒れている印象でした。
*諸般の事情により詳しい出現状況をウェブサイトでは公開しておりません。
最近は東京都内の暑さが際立っていることから、もはや小笠原への旅は避暑といってもよく、実際に父島到着時にはそれほど暑さを感じませんでした。今回は台風の動向を気にしながらになると想像していましたが、結果的にはそういったことはなく、総じて穏やかな海況の中、まず覚えたいアナドリ、カツオドリ、オナガミズナギドリ、シロハラミズナギドリ、クロアジサシの小笠原海鳥基本5種をしっかりと見ることができました。おがさわら丸についてくるカツオドリの数がかなり少ない印象ながら、アカアシカツオドリも見られ、数回に渡ってオガサワラミズナギドリ、セグロアジサシも見られました。南島クルーズでは高波のため上陸はできませんでしたが、岩礁帯で繁殖しているカツオドリの親子が多数見られ、偶然ではあったもののシロガシラカツオドリのオスに出会うことができました。また戻る途中では上空を舞うつがいと思われるオガサワラノスリ、さらにはミナミハンドウイルカにも出会うことができ、わずかながら小笠原の海も楽しむことができました。小笠原は基本的には5泊6日のため、なかなか簡単に行くことはできませんが、またの機会、季節を変えてぜひ小笠原にお出かけください。6日間のツアーとしてはアホウドリ類3種やオーストンウミツバメ、母島ではメグロ、そしてザトウクジラの豪快な大ジャンプが見られる春に企画予定です。この度はご参加くださいましてありがとうございました。またご一緒できましたら幸いです。
石田光史