【ツアー報告】渡良瀬遊水地と城沼・多々良沼 2015年12月26日

今季2回目となった渡良瀬遊水地周辺を巡る日帰りバスツアー。今回も周辺にあるいくつかの湖沼とメイン探鳥地の渡良瀬遊水地を巡ります。目玉はハイイロチュウヒやチュウヒといった猛禽類、そしてベニマシコなどの冬の小鳥類でしたが、ここ数年は周辺の畑地でミヤマガラス、コクマルガラスが見られ、猛禽類も多いことから細い道でもくまなく探鳥できるようにマイクロバス使用にしています。また昨年からはオオモズが渡来するようになり、前回のツアーでも見事に観察することができました。ただ、この場所もマイクロバスでないと行くことができないため、さらにその効果が増しました。今回も天気予報は晴れマーク一色でした。

 26日、予定通りに東京駅前を08:00に出発して途中休憩を挟んでも最初の探鳥地である多々良沼までは2時間ほどで到着することができました。この探鳥地は毎回とても風が強いのですが、この日は驚くほど穏やかでした。今年はカモ類の渡来数が少なく見た目にも例年の半分にも満たないほどでした。それでも圧倒的多数のオナガガモの中からミコアイサ、ハジロカイツブリ、カンムリカイツブリなどが見られ、遠くの浅瀬には7羽のツルシギの姿がありました。次に訪れた城沼も同様にカモ類の個体数は極めて少ない状況で特にコガモの姿がほとんど見られませんでした。ただ、少ないながらもホシハジロなどのカモ類の姿があり、その姿を隠すかのように3羽のトモエガモが休んでいました。ほとんど寝ているため全ての特徴を観察することができませんでしたが、オスの顔の模様、メスの嘴基部にある白斑を見ることができたお客様もいらっしゃいました。また周辺ではカワセミ、モズ、ジョウビタキ、バンなども見ることができました。ここからは渡良瀬遊水地を目指しますが、周辺の畑地を走りながら進めていきました。走り出してすぐのところで早速ミヤマガラスの群れの乱舞が見られ、電線にズラリと並んだミヤマガラスの姿をじっくりと観察することができました。また、近くの電線にはここ数年、越冬例が増えているニュウナイスズメのメスの姿がありました。その後はコクマルガラスの姿を探しながら走りましたが幸いにも電線に止る3羽のコクマルガラスの成鳥の姿を観察することができました。やはり白黒のその姿は特徴的で最近のこのツアーの隠れた目玉といってもよい存在になりました。また周辺ではコチョウゲンボウ、ノスリの姿もありました。その後は少々時間があったことからもう一カ所の沼を訪れ、ミコアイサ、コガモ、ハシビロガモなどを観察することができました。その後は渡良瀬遊水地に移動し、一旦各自昼食とし、その後は前回オオモズが観察された場所に向いました。この日は無風で観察は楽でしたが、オナガ、ノスリ、ミサゴ、オオタカ、ハイイロチュウヒ、チュウヒなどを観察するに留まり、残念ながら灰色のモズに出会うことはできませんでした。その後は猛禽類の塒入り探鳥に備えて一旦トイレ休憩をとり、防寒装備などを見直して現地に向いました。この猛禽類の塒入り探鳥はどちらかというと風が強い日の方が猛禽類の飛翔に見応えがある傾向があり、そのためこの日の無風状態はやや心配でした。ただ、早くも複数のチュウヒが独特のV字形を作ってユラユラと飛び、風が弱いせいか低木に止る個体も見られました。そして夕陽がかなり傾いてきた16:15にようやくハイイロチュウヒのオスが低く登場し、最後は我々の目の前を飛翔してくれました。またメス個体も現れましたが今年はこのメス個体がなかなかいい飛翔を見せてくれず、あっという間に塒に入ってしまいました。無風だったことから予想通り飛翔時間が短く残念でしたが、ハイイロチュウヒのオスに関してはわずかながら良いシーンが見られました。

今回は少ないカモ類の中からトモエガモに出会うことができ、主役のチュウヒ、ハイイロチュウヒ、そして隠れた目玉のミヤマガラス、コクマルガラスの姿も見ることができました。また過去観察記録が少ないニュウナイスズメ、アカゲラ、コチョウゲンボウも見られました。本来であれば風が強く夕方の塒入りの探鳥時は寒さが厳しくなるのですが、予想外に穏やかな1日でした。皆様お疲れ様でした。

石田光史

関連記事

ページ上部へ戻る