【ツアー報告】利根川周辺の冬の猛禽類(追加設定) 2022年1月13日

(写真:タゲリ 撮影:中村裕一様)

冬になるとさまざまな猛禽類が比較的身近に見られることから、冬の定番日帰りバスツアーとして長らく催行させていただいているのがこのツアーです。利根川周辺から霞ヶ浦南部をめぐるとさまざまな猛禽類が見られるだけでなく、人気があるタゲリや越冬しているシギチドリ類、毎年越冬しているヒシクイなどが見られます。そしてこのツアーのメインは、夕暮れ時に次々にやってきては塒に入っていくチュウヒたちを見ることで、年によっては複数のハイイロチュウヒも見られます。猛禽類観察にはやや風が吹いているのが好条件ですが、この日は幸いにも天候が良く、やや風が吹くだろうとの予報の中、出発することができました。

13日、早朝からすっきりした快晴の中、予定通りに東京駅前にご集合いただきバスにて出発しました。この日は予定通り千葉県側から観察をスタートすることにし、移動中のバス車内ではこの日に見られる可能性が高い種の特徴や識別ポイントなどを解説しながら進み、途中サービスエリアに立ち寄っても2時間ほどで現地に到着しました。到着後は各自観察機材準備をしていただいてからポイントに向かい、まずは利根川が眺められる堤防上から探鳥してみました。ちょうど良い風が吹いていたこともあり、猛禽類の動きが良く、早速、チョウゲンボウがさかんに堤防の斜面で狩りをしていました。ヨシ原を眺めるとミサゴが枯れ木で魚を食べていて、複数のチュウヒが独特の飛翔を見せてくれ、ノスリは見事なホバリングを繰り返しながら獲物を探していました。また周辺ではツグミ、タヒバリ、モズといった小鳥類が見られ、タゲリが間近を飛んできました。少々移動すると畔に止まっているコチョウゲンボウのメスが見られ、その後は道の駅で一旦昼食の時間としました。ただ構内にある池にたまたまアメリカヒドリがたことから観察することにし、同時にオナガガモ、マガモ、ホシハジロ、コガモ、ユリカモメ、カワセミなども見ることができました。午後からは茨城県側に移動し、まずはハス田で30羽ほどのオオハシシギの群れやハマシギ、タシギ、タゲリなどを観察してから、毎年、どこからかやってくるヒシクイの群れを見に行きました。この冬も212羽のヒシクイが越冬中で、その中に1羽だけコハクチョウの幼鳥が混じっていました。また川には驚くほどのオナガガモが群れ、その中には美しいミコアイサが混じり、カンムリカイツブリの姿もありました。その後はトイレ休憩を挟んで、この冬、ちょっとしたポイントになっている荒れ地に行ってみました。ここは夕方にチュウヒやハイイロチュウヒが見られていますが、この日はまず電柱に止まるノスリ、さらには畑地の中の杭に止まるチョウゲンボウ、コチョウゲンボウ、草地にはホオアカの姿があり、周辺にはかなりの数のタゲリが群れていました。やや場所を変えてバスを降りると、どこからともなくハイイロチュウヒのメスがやってきて飛び回り、タゲリの群れが乱舞し始めたかと思うと、獲物を捕らえたハヤブサが我々の目の前を飛んで行きました。16:00になったことから最後はチュウヒの塒入りポイントに移動すると、早速、ハイイロチュウヒのメスが間近をスイスイと飛び、その後は次々にチュウヒがやってきては枯れ木に止まり、一時は同時に7~8羽が枯れ木に止まってくれました。するといつの間にかコチョウゲンボウのオスが枯れ木に止まっていて久しぶりにその美しい姿を見ることができました。そしてこの日は周囲が薄暗くなった17:00に探鳥を終了しました。

今回は穏やかな陽気の中、ほどほどの風があるという絶好のコンディションでの探鳥でした。ハイイロチュウヒ、チュウヒ、コチョウゲンボウ、チョウゲンボウ、ミサゴ、ノスリ、ハヤブサといった猛禽類が出そろってくれ、このツアーの隠れた主役であるタゲリも見られました。越冬中のシギ類が少なく、オオハシシギ、ハマシギ、タシギだけだったのがやや残念でしたが、ヒシクイの群れやミコアイサ、そしてアメリカヒドリに出会う幸運もありました。今後もコロナウイルス感染に十分ご注意の上、お過ごしください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

タゲリ 撮影:E.K様

 

ハイイロチュウヒ 撮影:中村裕一様

 

アメリカヒドリ 撮影:E.K様

 

ノスリ 撮影:中村裕一様

 

オオハシシギ 撮影:E.K様

 

オオハシシギ 撮影:中村裕一様

 

ハイイロチュウヒ 撮影:E.K様

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