【ツアー報告】高原満喫!奥蓼科高原と霧ヶ峰 2025年6月3日~4日

(写真:オオルリ 撮影:前野ふみ子様)
鬱陶しい梅雨の季節が迫ってくるこの時期は、天気の不安もさることながら林の小鳥たちの繁殖が終わり、セミの声が煩くなってくるなど、バードウォッチングにはやや不向きになってくる時期でもあります。ただ標高の高い高原や亜高山帯ではまだまだ野鳥たちが楽しめることから、この時期は標高の高い涼しい探鳥地をめぐる高原めぐりツアーが恒例となっています。時期的には真っ赤なレンゲツツジの花が咲き始めている時期で、標高の高い場所であればまだまだ涼しい中で小鳥類が十分に楽しめます。今回は標高1300mの野辺山高原、2000mを超える奥蓼科高原、さらにここまで来たら霧ケ峰に行かずして帰るのはあまりにももったいないということで標高1900mの霧ケ峰を最終探鳥地とし、信州を代表する高原を網羅した形にしてみました。梅雨入り前でなかなか天気が安定しない時期のため、数日前から天気予報を見ていましたが、今回は2日目は晴れマークが出たものの、初日は残念ながら終日雨の予報が出てしまいました。
3日、このツアーは遠方からのご参加も可能にしたいということから、東京駅前集合を通常のツアーよりも遅い08:30にしています。この日の東京駅前は早朝から小雨が落ちていましたが、順調にご集合いただいたことから予定通り出発して中央自動車道を走り、車内ではこのツアーで見られる可能性が高い種の解説をしながら進め、まずは小雨が降り続くサービスエリアに渋滞なく到着することができました。その後はやや雨足が強まる中、高速道路を降りて、途中、清里駅前を通ってまずは現地の駐車場に到着しました。ここでは気温が8℃とかなりの寒さでしたが、霧の中から真っ赤なレンゲツツジの花が見えて高原の雰囲気を感じられました。ここでは各自昼食、そして観察機材準備をしていただき、その後は各所をめぐってみました。やや雨が激しくなった印象がありましたが、最初の場所では電線に止まるコムクドリのオスが見られ、戻った後には今度はメスがやってきて電線に止まってくれました。次に向かった場所ではホトトギスのさえずりが聞こえる中、まずはノビタキのオスの姿があり、遠くからはオオヨシキリの元気なさえずりが聞こえていました。また周辺ではモズ、ヒバリの姿もありました。その後はさらに雨が激しくなったことからバス車内から探鳥することにしましたが、さすがに雨が激しいせいかノビタキ、ホオジロ、オオヨシキリをわずかに見るに留まりました。2時間ほどが経ったことから休憩をとり、その後は奥蓼科高原に向かいました。出発時には空はやや明るくなり、雨足も心なしか弱まった感じがしました。ここからはぐいぐい標高が高くなってくるため、霧が心配でしたが幸いにも霧はなく、視界ははっきりとしていたことからそのまま探鳥することにしました。なかなか雨が止まない中でしたが、早速カラマツのてっぺんでさえずっているオオルリをじっくり見ることができ、その後も各所でバスを止めて観察しました。次の場所ではたまたま雨が一時的に止む中、カラマツに止まってさえずっているオオルリを見ることができ、付近ではようやくコルリのさえずりが聞こえました。その後は再び雨が強まったことから鳥たちのさえずりは遠のいてしまいましたが、最後の最後に再び最初の場所に行ってみました。するとウソ、クロジ、オオルリのさえずりが聞こえ始め、突然、間近にコルリのさえずりが聞こえました。そのため探してみるとそれほど良い場所ではなかったものの、木に止まってさえずっているコルリの姿があり、ようやくその姿を見ることができました。
4日、この日は早朝から待ちに待った青空が広がっていて、それを見るだけでもほっとしたような気持になりました。予定通り早朝に出発して現地に向かいました。駐車場でバスを降りると周辺からはオオムシクイのさえずりが聞こえ、上空をサンショウクイが飛び回っていました。またジョウビタキのさえずりが聞こえたことから見てみると、美しいオスが電線に止まってさえずっていました。森に入るとキビタキのさえずりが響き、ここでもジョウビタキがさえずり、付近には巣立ったばかりと思われる幼鳥の姿もありました。そして森の中からクロツグミのさえずりが聞こえたことから探してみると、横枝に止まって羽繕いをしながらさえずっているクロツグミの姿があり、望遠鏡を使ってじっくり観察することができました。少々、場所を変えると周辺からはアカゲラの声が聞こえ、見ているとオス、メスが周囲の木々に止まって姿を見せてくれました。道を戻ると再びジョウビタキの姿があり、またクロツグミのさえずりが聞こえたことから探してみましたが、今回は木々の陰に隠れるようにしてさえずっていて、しっかり見ることはできませんでした。すると周囲からアオゲラの声が聞こえ、しばらく飛び回ったかと思うと、最後の最後でようやく木にじっと止まってくれたことから姿を堪能することができました。そして探鳥後に駐車場に戻る途中では、今度は芝生の上を歩きながら餌を探しているクロツグミのオスを見ることもできました。その後はさらに青空の面積が広がっていく中、白樺湖を経由してビーナスラインを通って霧ヶ峰に向かいました。昨日は全く見ることができなかった八ヶ岳がそびえ、遠くには雪を冠した乗鞍岳やさらに奥には北アルプスの山々が見え、霧が晴れると富士山を見ることもできました。最初の駐車場でバスを降りると、とにかく風が冷たく寒いといった印象でした。早速、カッコウの声が響き、眼下の草原にはノビタキが2つがい、そしてホオアカの姿もありました。またカラマツにはホオジロ、アオジ、ウグイスが止まってさえずっていました。その後はトイレ休憩も兼ねて遊歩道を歩き、少々時間があったことから一気に八島湿原展望台まで行ってみました。ここではウグイスが間近にさえずり、カラマツにはモズ、湿地にはカルガモの姿があり、晴天のおかげでその全景を堪能することもできました。そして最後は駐車場から遊歩道を歩きました。この頃には昨日の雨がウソだったかのように青空が広がり、不思議な形の雲が頭上に伸びていました。ここでもノビタキ、ホオアカ、夏羽のモズ、そしてヒバリが何回も見られ、草や枯れ木に止まってさえずる姿をたっぷりと見せてくれました。そして12:30から昼食の時間とし、13:10には霧ヶ峰を出発しました。
さて、今年の信州の高原巡りは梅雨入り前のタイミングに合わせることができたものの、初日は残念ながら激しい雨の1日になってしまい十分な探鳥ができませんでした。ただ、2日目は一気に天気が回復したせいか、鳥の動きもよく、さまざまな鳥たちと見事な景観を楽しめた1日になりました。初日は雨の中でしたがオオルリ、コルリ、ノビタキ、コムクドリなどをなんとか見ることができ、翌日はクロツグミ、ジョウビタキ、アカゲラ、アオゲラ、サンショウクイ、その後はレンゲツツジの真っ赤な花はごくわずかではありましたが、見事な景観の中、ノビタキ、ホオアカ、アオジ、モズ、ウグイスなどがその姿を楽しませてくれ、さわやかな高原の雰囲気も堪能できました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史