【ツアー報告】初夏の戸隠高原ハイキング(追加設定) 2018年5月15日~16日

(写真:ミソサザイ 撮影:君島秀征様)

国内にはさまざまな探鳥地がありますが、その中で個人的に最も多く訪れている探鳥地が今回訪れる戸隠高原です。1年を通してよく訪れていますが初夏と晩秋の頃が最も良い季節で、初夏の頃は花も鳥も素晴らしい印象があります。足元を見ればミズバショウやリュウキンカ、カタクリが咲き、森はちょうど新緑を迎えてみずみずしいことに加え、キビタキ、コサメビタキ、コルリ、クロツグミ、ノジコなどの夏鳥たちが花を添えてくれます。先週のツアーでは思わぬ低温と想定外の雪に見舞われましたが、今回は一転して夏日予想。長野の最高気温は28℃とのことでした。

15日、早朝からすっきり晴れ渡っている東京駅を予定通り出発して長野駅に到着しました。長野駅周辺も見事に晴れていて心地よい風が吹く中、今回も1時間ほどバス移動して一旦ホテルに入っていただき各自昼食としました。昼食後はいきなり庭先でここ数年、信州で繁殖しているジョウビタキの姿がありました。最初のポイントではモズのペアが見られ、時折地面に降りては採食していました。その後はイカルのペアが見られ、同様に地上に降りて水を飲んでいるようでした。森に入るとコサメビタキのペアがせっせと巣作りしている様子が見られ、頻繁に巣材を運んでいるようでした。周辺ではキビタキのオスの姿も見られ、さらに奥まで進むと愛想良くミソサザイが可愛らしい姿をじっくりと見せてくれました。戻ってくる途中では地上採食しているアカゲラ、さらには木の幹をしばらくつついているオオアカゲラのオスがいたためじっくりと観察することができました。またニュウナイスズメのオス、さらにはまたまた巣作り中のコサメビタキが見られました。その後はバスで移動しました。まずはキセキレイが出迎えてくれ、コガモ、カイツブリの姿があり、森に入るとウグイス、アオジが盛んにさえずっていました。ミズバショウ園付近ではアカハラが見られ、夕方に合わせてクロツグミの出現を待ちました。今年は個体数が少ないのか、なかなかさえずりが聞えませんでしたが、ようやく鳴き出したクロツグミを望遠鏡を使って観察することができました。

16日、この日も早朝から天気が良く、見事な戸隠山を眺めながらホテルを出ました。早朝はキビタキ、アオジ、ミソサザイなどの声に包まれ、昨日見ることができなかったコルリも鳴いていたことから早速行ってみることにしました。この個体は高いカラマツの枝で良く歌っていて望遠鏡を使って観察することができました。またミソサザイも出てきてよく歌ってくれ、ふいに現れたサンショウクイが比較的低い場所で見ることができました。また帰り間際にはアカハラのさえずりが響いていました。その後は一旦ホテルに戻って朝食をいただき、再度バスにて出発し、午前中は鏡池までのハイキングを楽しみました。池では新たにカルガモの姿があり、森に入るとアカゲラのメスが餌を探しながら木から木へと移動していました。またノジコが木に止まってくれたため望遠鏡でレモンイエローの可愛らしい姿を観察することができ、アオジとの違いを見ていただけました。さらに進むとまたまたコルリのさえずりが聞えたため探してみると、目線ほどの高さの木に止まっていたためしばらくの間、望遠鏡を使って観察することができました。この個体はあまり動く様子もなく、時折向きを変えながらしばらくさえずってくれました。ほかの探鳥地では声は聴かれるものの、なかなか姿を見る機会がないのですが、この戸隠高原の林では声さえ聞こえればなんとか姿を見られる代表種といえます。鏡池到着後は少々休憩をとりましたが、この日は晴天に戸隠山が映え、飛翔するトビ、また湖面を移動するオシドリのペアを見ることができました。戻ってくる途中ではけたたましく鳴いているニュウナイスズメのメスが見られ、ややコースを変えて薄暗い森のルートを歩くと、キバシリの声が複数聞こえる場所がありました。なかなか見つけるのが難しい鳥ですが、木の幹をせっせと登る姿を観察することができました。またアオゲラの姿も見ることができ、今回もコゲラ、アカゲラ、アオゲア、オオアカゲラというケラ類4種が出揃ってくれました。アオゲラを観察しているとクロツグミがさえずり出したことから周囲を見てみると、ブナの横枝に止まってさえずっている姿を見つけることができました。やや距離があったことから望遠鏡で見てみましたが、この個体もそれほど動く様子がなかったことからしばらく時間をとってさえずる姿を観察することができました。その後はお昼に合わせてホテルにて恒例となっている戸隠蕎麦をいただき、昼食後の僅かな時間も探鳥しました。森に入るとすぐに地上採食しているアカゲラの姿があり、すぐに飛びたってしまったものの付近の木に止まってくれたことからその姿を堪能することができました。また昨日に引き続いて2羽のイカルが見られ、新緑の枝に止まっている姿を見ることもできました。そして昨日見ることができたコサメビタキの巣を見てみるとまだまだ作っている最中でしたが、たった1日で随分完成に近づいているようで巣材運びもピッチが上がっているように感じられました。そして最後は我々のすぐ頭の上までやってきて採食していたヒガラが間近にあった木のほらに入って餌探しをしている可愛らしい姿を観察してツアーを終了しました。今回は幸いにも暑いくらいの晴天の2日間でした。

今回は幸いにも晴天の中で2日間進行することができました。例年に比べてキビタキ、クロツグミ、ノジコはやや少ない印象があり、思ったようにそのさえずりを堪能することができませんでしたが、サンショウクイ、コルリ、ニュウナイスズメ、ミソサザイ、キバシリ、オオアカゲラといったこの地らしい顔ぶれは揃ってくれました。戸隠高原は年間を通して楽しめる探鳥地であることから晩秋にも企画しております。またの機会、季節を変えてぜひお出かけください。この度はお疲れ様でした。

石田光史

ゴジュウカラ 撮影:小澤正幸様

 

ミズバショウとカルガモ 撮影:君島秀征様

 

サンショウクイ 撮影:小澤正幸様

 

オオアカゲラ 撮影:君島秀征様

 

ノジコ 撮影:小澤正幸様

 

イカル 撮影:君島秀征様

 

コサメビタキ 撮影:小澤正幸様

 

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