【ツアー報告】晩秋の十勝平野 ハクガンの群れとナキウサギ 2018年10月26日~28日

(写真:ハクガン)

昨年からはじまった晩秋の北海道、十勝平野を巡るツアー。今年はおかげさまで追加設定となり2度目の催行となりました。今回も前回同様、できる限り移動時間を省くため旭川空港から道内入りし、帯広空港から帰るという行程としました。たださすがにお天気だけは前回同様というわけにはいかず、2日目、3日目に雨マークがつき、特に2日目は低気圧通過に伴い、荒れた天候になるという天気予報が出る中での出発となりました。

26日、この日は全国的に快晴とのことで早朝の東京は晴れていました。相変わらず混雑している羽田空港の集合場所にはほぼ予定通りご集合いただいたため、資料配布や当日の予定などをお伝えしてから搭乗いただき、一路旭川空港に向かいました。予定通り到着した旭川空港は思ったほどの肌寒さはなく、観察機材準備の後に探鳥に向かいました。バス車内からはピークは過ぎているとはいえ見事な紅葉が楽しめ、次第に雪化粧した十勝岳が迫ってきました。現地到着時はさすがに肌寒さを感じましたが十勝岳、美瑛岳の景観は見事で思わず写真を撮りたくなってしまうほどでした。一旦、トイレに寄っていただいた後は歩いてナキウサギが生息するガレ場に向かいました。周囲からは「ガー、ガー」とホシガラスの声が聞かれ、時折飛翔するホシガラスの姿が見られました。ただこの日はナキウサギの声は少なく、心配になるほどでした。ただ15:00頃にはやや高い岩場に止まったり走り回る姿が見られ、やや声が多くなってきた15:40頃にはいきなり足元の岩場から飛び出すように現れたかと思うと、すぐ脇の斜面でせっせと草を集め始めました。見ていると何度も何度も同じルートを走り回りながら岩場にある隙間に草を運んでいました。その姿は愛嬌があり、ほほえましいほどでした。また時には岩場にじっと止まって鳴くなどさまざまな姿を15分あまりに渡って見せてくれたのでした。帰り間際にも岩場に出てきて鳴くなど、この日は予想を超えるサービスをしてくれ、予定よりも15分ほど早くバスに戻りました。振り返ると見事な十勝岳の景観が見送ってくれたのでした。

27日、この日は06:00から探鳥を予定していましたが、早朝から風が強く、木々が大きく揺れるほどだったため早朝の探鳥は中止し、07:00から朝食をとった後、08:00に出発して帯広を目指しました。この日は雨は思ったほどひどくはなかったのですが、とにかく風が強く吹き、富良野、美瑛の見事な紅葉を大きく揺らしていました。ただ冠雪した山々とカラマツの紅葉のコントラストは見事で秋の北海道の景観はそれなりに楽しむことができました。休憩を挟んで昼前に到着した帯広市内は残念ながら雨が勢いを増してしまい、ゆっくり散策という感じではありませんでしたが、ひとまず探鳥をしてみました。雨の勢いは強かったですが、園内ではシジュウカラやヒガラ、ハシブトガラなどの声が聞かれ、池ではマガモ、カルガモに混じって2羽のカワアイサの姿がありました。また愛想の良いアカゲラが2羽やってきて、しばらくの間、幹に止まって餌を探す様子を観察することができました。また公園の人気者のエゾリス、さらにはシロハラゴジュウカラも見られ、雨に追われるようにバスに戻りました。ただ、たまたま駐車場脇に雨がしのげる場所があり、その付近で小鳥類が騒いでいたことからしばらく見ていると、シジュウカラを中心にヒガラ、ハシブトガラ、シロハラゴジュウカラが頻繁にやってきて楽しませてくれました。その後は一旦昼食とし、昼食後は再び1時間ほど移動してガン類の中継地に向かいました。この日は残念ながら激しい風雨でしたが、ひとまずガン類を探してみることにしました。まずは前回ガン類が見られなかったものの、昨年見られた場所を走ってみることにしました。雨と風が激しいためかガン類の動きはありませんでしたが、遠くの牧草地に白い鳥の集団が見え、よく見てみると20羽ほどのハクガンの群れでした。雨と風が激しかったため風下側から観察できるようバスの向きを変え、ようやく観察ができる状況でした。この群れは前回見られたものとは違うようでほとんどが幼鳥個体でした。また付近ではオオハクチョウの群れや海上が荒れているため避難してきているのか、かなりの数のセグロカモメも見られ、バス車内からなんとか観察することができました。その後は全てのポイントをめぐってみましたが、少数のヒシクイを見た程度で空がどんどん薄暗くなってくる中、ホテルに向かいました。夜、翌日の天気予報をあらためて見てみると晴れマークが出ていたため安心しました。

28日、前日にほとんど小鳥類が見られなかったため、急遽06:00から探鳥の予定を入れて当日を待ちましたが、幸いこの日は早朝から快晴となってくれました。これといった探鳥地があるわけではないですが、ホテル周辺の雑木林では晴れを待っていたかのように、シジュウカラ、ヒガラ、ヤマガラ、ハシブトガラ、シロハラゴジュウカラが賑やかに騒ぎ、見ているとアカゲラが幹に止まってしばらくその姿を楽しませてくれました。またアオジの姿もあり、シマエナガの群れが通り過ぎていきました。さらに行くとシメの姿もあり、紅葉の枝に止まってくれました。朝食後は再び十勝平野に向かいましたが、途中にある十勝川沿いの堤防に立ち寄ってみました。昨年はオオワシ、オジロワシの姿がありましたが今年は残念ながらワシ類の姿はなく、川面に浮くキンクロハジロやアオサギ、飛翔するタンチョウが見られました。十勝平野まで来ると昨日とは違う場所にヒシクイ、マガン、シジュウカラガンの姿があり、その中に昨日見たハクガンの群れの姿もありました。幸い昨日よりも距離が近かったことから慎重にバス車内から観察しました。このツアーは今回からバス席をお一人様2席利用にしたことから望遠鏡を立てる場所も確保でき、バス車内からでも快適に観察することができました。また別の場所では5羽のタンチョウを間近に観察することができ、さらに探すとこの日は300羽ほどのハクガンの大群に遭遇することができました。まずはやや距離をとって様子を見ることにしました。ただこの群れは干拓地のちょうど中央あたりに群れていたことからどこから見ても距離感はそれほど変わらず、そのため光の方向の良い位置から観察することにしました。距離があるためかハクガンの群れは周囲を気にする様子はなく必死に採食していて、この日もセグロカモメの群れが乱舞し、それを狙ってやってきたオオタカの幼鳥が地面に降りていました。しばらく観察した後は隣の牧草地に群れているヒシクイやシジュウカラガン、マガンを観察するため移動し観察をしていると、その群れの中にもハクガンが4羽混じっていました。そろそろ移動しようかと思った時、さきほど観察していたハクガンの群れが一気に飛び立ち、驚いたことに我々が観察しているヒシクイの群れがいる牧草地にやってきてくれました。さすがに数百羽のハクガンの群れの飛翔は見事で、最後の最後に良いシーンを見てツアーを終了することができました。

今回は土曜日が大荒れとなり十分な観察ができず残念でしたが、期待していたハクガンの大群に出会うことができたほか、シジュウカラガン、ヒシクイ、マガン、そしてタンチョウも堪能することができました。また初日にはせっせと草を運ぶナキウサギをじっくり観察できたほか、最終日の朝にはシマエナガやハシブトガラ、シロハラゴジュウカラなどの小鳥類も見られ、前日に見ることができなかった小鳥類も見られました。これから寒い時期を迎え、北海道はまた違った見どころ満載ですので季節を変えてお出かけください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

ナキウサギ

 

タンチョウ

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