【ツアー報告】フォトツアー シマエナガとタンチョウの塒 2019年1月26日~28日
(写真:幻想的なタンチョウの塒)
冬の北海道は見どころが多く、毎年大好評のため長期に渡って冬の定番ツアーとして企画し続けてきました。お馴染みのオオワシ、オジロワシ、そしてシマフクロウ、タンチョウの4種が中心で、我々のツアーではこれらにシマエナガやコオリガモ、さらにはウミスズメ類観察クルーズを加えたりしてバリエーションをつけています。ただ、今回のツアーではこれらの定番種を全て組み込まず、シマエナガとタンチョウに絞り、さらには撮影専門のフォトツアーとしました。また、ここ数年、エゾフクロウも見られていることから、実質3種に絞った企画としました。冬の北海道ツアーにおいて、オオワシやオジロワシ、シマフクロウを観察行程に入れないことは、ある意味画期的ではありましたが、それでも満席となり出発できることができました。
26日、当日朝の天気予報では道内に晴れマークが並んでいたため一安心しましたが、前日、前々日の道内の天候が悪かったことからやや心配しながら羽田空港に向いました。すると案の定、予定便が天候調査になったためしばらくの間、状況を見ることにしました。ただ15分ほどするとあっさりと運航になったため、皆様にご集合いただき、資料配布などしてから搭乗していただきました。到着地は雪景色ながらも快晴で、早速バスにて今日の宿泊地に向かいました。1時間ほどで到着した後は、一旦お部屋に入っていただいてから撮影機材の準備をしていただき、その後は撮影に取り掛かっていただきました。さすがに内陸部のため冷え込みはありましたが、思ったほどの厳しい寒さではなく風もなかったことから鳥たちの出も良かったようでした。ハシブトガラは常時7~8羽がやってきてせわしなく動き回り、ほかにもシロハラゴジュウカラやアカゲラも引っ切り無しにやってきて楽しませてくれました。そして主役のシマエナガは今年はとにかく出現率が高く、この日も2時間強の撮影でしたが、群れが何度もやってきてくれたことからじっくりと撮影を楽しむことができました。
27日、早朝はやや風が吹いていて心配でしたが朝食後に外に出ると風は落ち着き、快晴の空の下で撮影を楽しむことができました。早朝にはシメ、ミヤマカケスの姿があり、オジロワシが飛んできて木に止まるシーンも見られました。この日も前日同様にシマエナガの姿も良く見られ、相変わらず複数のハシブトガラ、アカゲラ、シロハラゴジュウカラ、そしてシジュウカラやヒガラも加わって午前中は小鳥類撮影三昧といった感じでした。予定では午後出発を考えていましたが、今年はシマエナガの出現率が高かったことから、みなさんのご意見を伺った上でやや早めに出発して次の探鳥地に向かうことにしました。まずは途中で各自昼食を買っていただき、その後はトイレ休憩に立ち寄ってからエゾフクロウがよく見られている場所に立ち寄ってみました。やや積雪がある小道を歩いていくと、幸いこの日はつがいと思われる2羽のエゾフクロウが寄り添うように見られ、静かに短時間で撮影、観察するという原則に基づいてさっと切り上げましたが、この日は日中にも関わらず意外なほどさまざまな表情を見せてくれました。その後は日没までタンチョウの撮影を行いました。タンチョウはかなりの数が見られ、見ていると求愛ダンスや鳴き交わしを行う様子も見ることができました。そして陽が傾いてきた頃からは夕陽を浴びるように次々に塒に向かって飛び立って行く姿を撮影してこの日の撮影を終了しました。
28日、最終日のこの日はこのツアーのタイトルにもなっているタンチョウの塒での撮影のため早朝にホテルを出発しました。日の出は07:15のためだいぶ早いのですが撮影場所や駐車場の問題があるため、みなさんにはご了解をいただきました。前日にホテルのスタッフの方に伺ったところここ数日は気温が高かったことからタンチョウの塒は人がほとんど訪れていなかったとのことでした。ただ、この日は快晴、無風、そして気温が下がることから混み合うのではないかとのことでした。到着するとまだまだ真っ暗でしたが、次第に空が明るくなってくると見事な霧氷を見ることができました。日の出前に橋の上まで行くとそれなりに人はいましたが、海外からのカメラマンの数がまだまだ少ないことからそれほど混んでいる印象ではありませんでした。気温は-18℃。川面からはけあらしが立ち、周囲の霧氷とあいまって見事な景観を作りだしていました。タンチョウたちは橋からはかなり離れた場所にいましたが風景的に撮影するには問題ない印象で、しばらく見ているとヤマセミもやってきて霧氷の木に止まってくれました。気が付くと指先の感覚がなくなるほどの冷え込みでしたが、その美しい光景を07:30頃まで撮影して朝食のために一旦ホテルに戻りました。気温が低かったことから朝食後もまだまだタンチョウたちは塒から飛び立ってはいないだろうとのことで、朝食後も再び塒に向かいました。途中、カラマツに止まるオオワシの成鳥が見られ、到着するとやはりタンチョウたちはまだ飛び立ってはいませんでした。この時間までまだまだ霧氷が美しい川辺を眺めていると、ようやくタンチョウたちが塒から飛び立ちはじめ、美しい飛翔形を撮影する時間が続きました。また周囲にはオオハクチョウ、カワアイサの姿もありました。タンチョウたちがほぼ飛び立ってしまった後は、残り1時間ほどタンチョウの撮影を行い、昨日同様に飛んでくる個体や飛び立って行く個体、また求愛ダンスをする個体などを撮影してから空港に向いました。終わってみれば晴天続きの3日間だっただけでなく、穏やかで春のような日和で鳥たちも期待に応えてくれた3日間でした。
初企画となるこの「フォトツアー シマエナガとタンチョウの塒」。今までは冬の北海道の目玉となる種の全てが見られるように行程を組むことが当たり前でしたが、今回は初の試みとしてシマエナガとタンチョウ、そしてエゾフクロウの3種に絞ってみました。フォトツアーのためポイントを絞り、一か所一か所での滞在時間を長くしたため時間を使ってじっくりと撮影ができたように思いました。また今回は幸にも穏やかな天候の3日間となり、タンチョウの塒では気温が下がってくれたことから、けあらしや霧氷の中での撮影が叶いラッキーでした。来季以降も目的を絞った短期間のツアーを企画してみようと思います。またの機会、ぜひ北海道に足をお運びください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史
*エゾフクロウの写真は本個体への影響等を考慮し掲載しておりません。