【ツアー報告】固有種と渡りの鳥たち 春の奄美大島 2019年4月5日~7日

(写真:ルリカケス 撮影:宅間保隆様)

奄美大島と言えば、アマミノクロウサギやイボイモリなど様々な奄美大島固有の動植物が見られ、他の島には無い大変特殊な自然環境を形作っています。鳥類ではルリカケス、オーストンオオアカゲラ、アマミヤマシギ、オオトラツグミなど世界的に見てもここだけといった貴重な固有種が生息している島として知られています。今回のツアーでは繁殖期に入り始めたルリカケス、オーストンオオアカゲラ、アカヒゲといった奄美を代表する3種の観察に主眼を置き、その他カラスバト、ズアカアオバト、オオトラツグミ、リュウキュウキビタキなどの留鳥を観察します。

1日目、奄美の天候は大荒れ、空港発着のほとんどの便が遅れています。私が乗った便も上空待機等で約30分遅れで奄美に到着しました。先に到着した大阪組と一緒に海岸に向かいます。ここは奄美唯一と言っていい、シギ・チドリが集まる海岸です。確かにたくさんの鳥がいるのですが、台風並みの防風のため抑えてもスコープがブレてうまく見えません。それでもどうにか、セイタカシギ、オオソリハシシギ、オバシギ、アカアシシギ、キョウジョシギ、ムナグロ等を確認。14時45分、東京からの便が予定よりも約20分遅れで到着した時は横殴りの豪雨でしたが、ロビーに集合し出発の準備が終わる頃には雨はやんできました。その後、大阪組と合流。ただ、風は依然強く干潟の観察には向かないため、ここには再度来ることにして森へ向かいました。ここは今回のツアーで最も主要な探鳥地です。到着するとすぐにオーストンオオアカゲラのドラミングが聞こえてきます。明朝の早朝探鳥時の下見を兼ねて観察路をゆっくりと一周します。突然近くの樹々の間からアカヒゲが囀ります。コマドリよりも柔らかな優しい声質。ルリカケスは盛んに鳴いて複数羽の声はするものの、樹々の間を飛び交って、ゆっくりと姿を見せてくれません。この日はここでタイムアップ。ホテルに向かいました。

2日目、運よく天候も1日で回復し、早朝から気温19℃、曇りで風も穏やかです。予定通り森に向かいます。入り口を入るとオーストンオオアカゲラのドラミングがすぐ近くから聞こえてきました。数名の方が姿を確認するもののじっくりとは見れません。2羽が鳴き交わしている様子が伝わってきました。周囲ではそこかしこからアカヒゲの囀りが聞こえてきます。時々「チィーッ」といった強い地鳴きもします。突然一人のお客様が「そこに居る!」とカメラを構えました。すると目前2~3m程先の倒木の枝に一羽の美しい雄が止まりました。顔から胸にかけて漆黒のマスク&エプロン、脇の黒もはっきりと確認できました。次に背中を向けると同時に囀り始めました。その場には十数名の方がいらっしゃいましたが、皆さん撮影姿勢を心得ていて、慌てず静かな動作でカメラの連写音だけが鳴っていました。一方、ルリカケスは最初はちらちらと遠くを飛ぶだけでしたが、次第に包囲網を絞り込む感じで距離が近くなってきました。巣材を運んでいた、数羽が飛び交っていた等、数名のお客様から情報が入ってきます。突然一羽のルリカケスが目の前の地面に降りてきて餌を探し始めました。その場所は広場のようになっていて遮るものはありません。しばらくの間餌探しに夢中で周囲から見ている我々には興味が無い様子。瑠璃色の美しい姿を舞台上で披露しているようでした。朝食のためホテルに戻る時間が迫る中、オーストンオオアカゲラの雌が大勢の皆さんの頭上の樹に現れました。こちらを気にしてない様子で全員ゆっくりとサービスの良い雌を撮影されました。朝食後は、島の南部へ向かいます。一旦森林を離れ、河川を中心に水田や畑、自然公園など開けた環境で探鳥を行います。最初の探鳥地では広いグラウンドを中心に周囲の河川、畑などを見て回りました。ここではコムクドリ、リュウキュウツバメ、サシバなどが見られ、シロハラクイナの声も聴くことができました。次の探鳥地へ出発しようとしたときにギンムクドリの美しい雄が出現し、やや距離はあるものの全員撮影をすることができました。昼食後は島の南西部に位置する運動公園に向かいました。ここも最初にきれいに整備されたスタジアムがあります。そのトラックの芝生上にセキレイ類がパラパラと採餌しています。ここではムネアカタヒバリ、ホオジロハクセキレイ、マミジロタヒバリ、アカハラ、ツグミを観察。隣り合った場所では、ムクドリ、コムクドリ、ギンムクドリの贅沢な混群を観察し、その中に美しいカラムクドリの雄個体も見ることができました。この日は早朝からの長丁場でしかも長距離を移動したためかなりお疲れになったことと思います。翌日も早朝探鳥を予定しているためホテルに少し早めに帰りました。

3日目、いよいよ最終日です。早朝探鳥は今回のツアー第二目標の探鳥地である林道です。朝から気温20℃と快適です。頑張って早起きしていただいたため、まだ薄暗い中、「コホッ、コホッ」リュウキュウコノハズク3羽の声を聞くことができました。次第に明るくなり、全員で静かに林道を進みます。天然記念物美しいアマミイシカワガエルの物悲しい「ヒャー」という声も聞こえます。しばらく行くと一行の横の樹にズアカアオバトが止まりました。やや暗いですが、全員で観察します。ここで一台の車が後ろから迫ってきました。今年2019年2月からは認定ガイドの同行なしでは入ることができなくなっています。ドライバーと同乗者は中国から来られた方でそのことはご存知ないようでした。幸運にも今回のお客様の中に英語を話せる方がおられ、丁寧に説明いただき事なきを得ました。終了時間が迫り途中で折り返し、カラスバトが樹上をちらちら飛びますが、なかなか十分に姿を見せてくれません。ズアカアオバトとカラスバトの2種は今回じっくりと見るチャンスが無かったと思います。また、オオトラツグミは遠くで囀りが僅かに聞こえた程度でした。朝食後はまず水田地帯に向かいました。ここは渡り鳥が通過していく場所です。ここではたくさんのセッカ、タシギ、コチドリ、セイタカシギ、そして最後に2羽のオジロトウネンを至近距離から観察することができました。さあ、いよいよ今回のツアー最後の探鳥地である海岸に向かいます。悪天候だった初日のリベンジです。東京からのお客様も気合が入ります。ホウロクシギ、オオソリハシシギ、メダイチドリ、オオメダイチドリ、オバシギ、アカアシシギ、そしてここでもオジロトウネンなどを観察し締めくくりとしました。

最後になりますが、初日はかなり荒れた天候でしたが、風雨を避けて何とか自然観察林で探鳥することができました。また、最終的に68種類の鳥たちにも出会うことができました。今回のツアーでは奄美大島の固有種である、ルリカケス、オーストンオオアカゲラ、アカヒゲをゆっくりと観察できました。また、一方数多くのシギ・チドリ類やギンムクドリ、カラムクドリ、マミジロタヒバリ等の春の渡り鳥たちも遭遇することができました。鳥類だけに限らず、その他アマミノクロウサギに代表される固有の動植物が数多く生息する奄美大島には世界的にも例を見ない特異な大自然が広がっています。この感動をもっとたくさんのバードウォッチャーに味わっていただきたいと感じています。

波多野邦彦

アカヒゲ 撮影:渡邉哲文様

 

オーストンオオアカゲラ 撮影:宅間保隆様

 

ムネアカタヒバリ 撮影:渡邉哲文様

 

ギンムクドリ 撮影:宅間保隆様

 

ズアカアオバト 撮影:渡邉哲文様

 

カラムクドリ 撮影:宅間保隆様

 

アカアシシギ 撮影:渡邉哲文様

 

ルリカケス 撮影:渡邉哲文様

 

オーストンオオアカゲラ 撮影:渡邉哲文様

 

ギンムクドリ 撮影:渡邉哲文様

 

オオメダイチドリ 撮影:渡邉哲文様

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