【ツアー報告】秋の渥美半島 田原湾と伊良湖タカの渡り 2019年9月28日~29日

(写真:オオアジサシ 撮影:竹村章様)

秋といえばタカの渡りは絶対に外せないでしょう。毎年、長野県白樺峠からツアーはスタートするのですが9月下旬から10月上旬にピークを迎えるのが今回訪れる愛知県の伊良湖岬です。白樺峠は個体差のあるハチクマのさまざまな個体が見られることや、山深い場所にあることから大型猛禽類の出現に期待できることが特長ですが、今回訪れる伊良湖岬はハチクマ、サシバに関してはなぜかほぼ幼鳥しか見られないことが特長です。ただ小型猛禽類を含むさまざまな猛禽類に出会える確率が高いことはメリットでしょう。そしてこのツアーではちょうど渡りの時期を迎えた渥美半島のさまざまなポイントも巡ります。ただ今回は29日の天気予報がかなり悪く、降水確率が80%でタカ渡りにほぼ期待できないことから土曜日と日曜日の予定を直前に入れ替えることにしました。

28日、早朝の東京駅前は澄み切った青空が広がり、なんとか晴天が続いてくれればと思いました。予定通り新幹線で豊橋駅に向かいましたが、途中の車窓からは青空が見え、期待感を持たせてくれるような状況でした。豊橋駅到着後は現地参加のお客様と合流して、早速今回宿泊するホテルに向かいました。途中、空はどんどん曇ってきてしまいましたが、幸い雨は降っておらず、なんとかタカの観察ができる状況でした。ホテル到着後は観察機材準備を行い、ホテル屋上に上がって観察を開始しました。空はどんよりとしてはいましたが幸い雨は降っておらず、薄日が射す時間帯は蒸し暑さを感じるほどでした。伊良湖岬らしく早速トビが飛び回り、中には魚を持って飛んでいる個体もいました。12:50にはノスリが連続してホバリングを見せ、13:00頃には複数のハクセキレイが渡っていきました。その後、晴れ間が出る中、13:25にはハチクマの幼鳥が上空を通過し、13:30にはようやく10羽ほどのサシバの群れが舞い上がり、我々の上空を通過していきました。14:00にはハヤブサが飛び、14:15には再びハクセキレイ、そしてアマツバメが渡っていきました。その後、14:20にはホオジロが飛び、付近ではイソヒヨドリの姿が目立ちました。14:35には再びハヤブサが飛び、15:05には真下からチョウゲンボウが舞い上がって我々の上空を通過していきました。結果的には雨に降られることなく探鳥ができましたが、この日に渡ったタカは52羽で期待されたタカの大規模な渡りを見ることはできませんでした。

29日、朝から雨が降っているだろうと思いながら早朝06:00にホテルの屋上に上がると、曇ってはいるものの幸い雨は降っておらず、空は予想よりも明るい状況でした。伊良湖岬は早朝は小鳥類が渡って行く様子が観察でき、この日もハクセキレイ、キセキレイ、ホオジロ、ヒヨドリ、メジロといった種が飛び回っていました。06:20にはかなり晴れ間が出始め、06:30にはツバメの群れが湧き上がり、上空にはアマツバメも現れました。また眼下の岩場には2羽のアオバトが止まり、07:00には林に2羽のコサメビタキがやってきていました。07:05には複数のハクセキレイ、カワラヒワ、ヤマガラが渡り、07:15には4羽のサンショウクイが鳴きながら渡っていきました。07:20には遠くを飛ぶ5羽のアオサギが見られ、07:25頃からは伊良湖岬の代名詞であるヒヨドリの群れが次々に渡って行く姿が見られました。07:35には再びコサメビタキが見られ、08:00にはノスリのほか、真下から湧き上がったミサゴが間近を飛翔しました。08:05にはオオタカの幼鳥が飛び、4羽のサシバの群れが旋回飛翔しながら上昇していきました。08:50からは岩礁で餌を食べるミサゴの姿が見られ、08:55には4羽のアオバトが飛翔しました。その後は見る見るうちに青空が広がり、蒸し暑くなる中、09:55には餌を捕らえたハヤブサが飛び回りました。その後は日陰でないと暑さが厳しく感じるようになる中、10:20には再び、ミサゴ、オオタカが飛び、11:35には真下から舞い上がったノスリが真上を旋回飛翔しました。結局この日も予定を変更して12:00までタカ観察を行い、その後、昼食をいただいてから渥美半島内の探鳥地を巡ることにしました。まずは湿地帯で観察を行いました。ムシムシと暑くなる中、堤防に立つとケリの群れが見られ、ほかにもセイタカシギ、オナガガモ、コガモ、ハシビロガモなどの姿がありましたがアジサシ類の姿はありませんでした。次に漁港に向かい、途中にある養魚場では杭に止まるミサギ、そしてコガモの群れ、イソシギが見られ、海が一望できる場所では杭に止まる50羽ほどのオオアジサシに出会うことができました。やや距離が遠いことから望遠鏡を使って観察していただきましたが、頭部の冠羽まで見ることができました。その後はトイレ休憩を取り、暑さが厳しくなる中、最後のポイントに向かいました。ここでは幸いにもより近い距離感で5羽のオオアジサシを見ることができ、嘴の形や独特の冠羽まで見ることができました。ただ、まだ時間があったことから水田を歩いてみることにしました。ここまで毎回ノビタキの姿が見られていることから探してみると、すっかり冬羽に換羽したノビタキが現れてくれ、しばらくの間楽しませてくれたほか、モズ、そしてムクドリの群れに混じるコムクドリの姿を見て観察を終了しました。

今回は天気予報に翻弄された2日間になってしまいましたが、29日は雨の確率80%にも関わらず結果的には暑さを感じるほどの快晴の1日になり、とりあえず雨に降られることがなく幸でした。タカ渡りに関しては28日が52羽、29日は43羽と大規模なタカ渡りに出会うことができず残念でした。ただ、サシバの小群が渡る様子や上昇気流を利用して旋回上昇する様子が観察でき、少ないながらもハチクマの幼鳥やミサゴ、ノスリ、オオタカ、ハヤブサ、チョウゲンボウといったさまざまなタカに出会うことができました。また初日に行く予定だった渥美半島周辺の探鳥地には2日目の午後に行くことができ、目玉だったオオアジサシはかなりの個体数を見ることができ、ケリやノビタキといった常連の野鳥にも出会うことができました。予定変更の連続でご迷惑をおかけしましたが、なんとか渥美半島の秋の渡りを楽しむことができました。ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。

石田光史

ヒヨドリの渡り 撮影:小林匠様

 

ハチクマ 撮影:宅間保隆様

 

サシバ 撮影:竹村章様

 

オオアジサシ 撮影:宅間保隆様

 

チョウゲンボウ 撮影:竹村章様

 

ノスリ 撮影:宅間保隆様

 

イソヒヨドリ 撮影:竹村章様

 

オオタカ 撮影:宅間保隆様

 

ノビタキ 撮影:宅間保隆様

 

サシバ 撮影:宅間保隆様

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