【ツアー報告】珍鳥が渡る!秋の石垣島と与那国島 2019年10月5日~8日

(写真:バライロムクドリ 撮影:竹村章様)

渡り鳥観察ではもうすっかり定番になっている日本最西端の島、与那国島。春の与那国島ツアーはとにかく大ハズレがほとんどないことから人気ですが、春とは違った鳥たちが見られるのが秋のこの時期です。春に比べるとややリスキーではあるものの、カタグロトビ、ベニバト、タカサゴモズ、コウライウグイス、オウチュウ類など期待できることが特長で、春にはほとんど出会わないキンバト、ミフウズラの観察例が多く、シギチドリ類も秋のほうが多い印象があります。またツメナガセキレイ、クロハラアジサシも定番種です。ちょうどこの時期は台風シーズンのため毎回天気が心配ですが、今回は幸いにも台風の影響がない中、出発するっことができました。

5日、真夏のような日差しの中、予定通り羽田空港を出発し、今回は直行便で石垣島に向かいました。石垣空港到着後は現地集合のお客様と合流し、空港ロビーで観察機材準備をしていただいてからバスにて出発しました。この日はあまり時間がないことから八重山4点セットのうちのカタグロトビとズグロミゾゴイに絞って探すことにしました。まずはカタグロトビを探しました。周辺ではイシガキヒヨドリ、リュウキュウメジロが飛び交い、溜池にはクロハラアジサシの姿、さらには八重山4点セットの一つであるムラサキサギの姿がありました。しばらく見ているとカタグロトビが飛んできて木に止まったことから望遠鏡で観察し、より近い場所から観察するため移動しました。現地では電線にリュウキュウツバメの姿があり、10羽ほどのクロハラアジサシが飛んでいました。周辺を探すと枯れ木に止まる2羽のカタグロトビが見られ、しばらく観察していると飛び去って行きました。時間が押してきたことから夕方に見やすくなるズグロミゾゴイを探しに移動しました。まずは付近を探してみましたが姿はなく、代わってシロハラクイナがノコノコ歩いていて畑の中の個体は意外なほどじっとしていてくれました。その後は芝生でじっとしているズグロミゾゴイに出会うことができ、全く警戒する様子がないため間近で観察することができました。その後は海岸まで歩くとエゾビタキが飛び回り、木の実を食べるヤエヤマオオコウモリが間近で見られて盛り上がりました。海岸では白いクロサギが餌を探し、岩礁にはムナグロの姿もありましたが、ここでいきなりスコールがやってきたためバスに逃げ込んで観察を終了しました。

6日、朝食をとっていただいた後はホテルを出発して午前中は石垣島で探鳥を行いました。晴天の中、まずは河口に向いましたが、途中の公園にムクドリ類の群れがいたことから見てみるとカラムクドリの群れが見られ、その中にはコムクドリも混じっていました。河口までくると干潟状になっている場所にコチドリ、シロチドリ、メダイチドリ、キアシシギが群れ、よく見ると1羽のトウネンの姿もありました。その後はジャワアカガシラサギを探しました。前日には見られていないとのことでしたがたまたまバス車内からその姿を見ることができたため、その後は木に止まる姿や飛翔する姿などを観察することができました。時間が押してきていることからこの後は八重山4点セットで唯一見られていないカンムリワシを探して移動しました。ここでは水田でタカブシギ、ツメナガセキレイは見られましたがカンムリワシの姿はなく、そのためさらに足を延ばしました。ただやはりカンムリワシの姿はなくトイレ休憩に立ち寄ってから戻ることにしました。すると上空を飛翔する2羽のカンムリワシが見られ、思わぬ形でその姿を見ることができました。やや時間があったことから最後に水田に向かい、ここでは餌を探すヒバリシギの群れ、トウネン、コアオアシシギ、クサシギなどを観察して石垣島空港に向いました。空港内ロビーで一旦荷物整理をしていただいてから与那国島空港に向かう飛行機に搭乗し、約30分のフライトで与那国島に到着しました。到着後は一旦ホテルに向かい、観察機材準備と昼食を済ませてから探鳥に出かけました。幸いにも真夏のような日差しの中、まずは付近の水田に行きました。ここでは草地にかなりの数のツメナガセキレイが群れ、草に止まるコホオアカ、メボソムシクイ類の姿があり、湿地帯にはセイタカシギ、そしてツバメチドリの姿もありました。その後は水路でコチドリ、キアシシギ、オジロトウネン、そして周囲の電線にはシロガシラ、シマアカモズ、タイワンヒヨドリの姿もありました。その後は隣にある水田に向かい、歩道を歩きました。草地にはツメナガセキレイ、ムネアカタヒバリ、コホオアカ、ノビタキなどが群れ、ふいに草に止まった個体を見てみるとシマアオジでした。また草むらの中をムジセッカが飛び回り、湿地帯ではセイタカシギ、またクロハラアジサシが飛び回っていました。その後は池でアオサギ、ダイサギ、アマサギを見てからホテに向かうと、途中の畑地上空で盛んにホバリングしているカタグロトビを見ることができ、この日の探鳥を終了しました。

7日、この日も朝食後に出発し、途中の林道などでキンバトを探しましたが残念ながらその姿はなく、元気よく飛び回るエゾビタキの姿があったのみでした。その後は水田まで行くと、なんと木に止まるムラサキサギの姿がありました。石垣島ではスタンダードな種ですが与那国島でははじめて見ました。周囲ではゴイサギ、クロハラアジサシ、セイタカシギ、カワセミの姿もあり、渡ってきたばかりなのか、数羽のサシバのタカ柱が見られました。その後は畑地を巡るとツバメチドリが佇み、海岸まで行くとチュウシャクシギ、岩礁にはムナグロの姿もありました。ちょうどお昼になったことからその後は昼食の時間とし、昼食後はツアー中、必ず一度は訪れることにしている日本最西端の西崎に向かいました。さわやかな風が吹き、澄み切った青空が広がる中、ツバメ、コシアカツバメがスイスイ飛び、ここからは久部良港が一望できました。その後は南牧場を経由して、こちらも必ず一度は訪れることにしている立神岩に向かいました。ここでも見事な青空と青い海が迎えてくれました。その後は畑地を巡りながら島の中央部を抜けて水田に向かい、途中ではシロハラクイナの姿が見られ、現地では草地でツメナガセキレイ、コホオアカ、そして街路樹で木の実を食べているコイカルの姿を見ることができました。その後は再びキンバトを狙って道路沿いを歩きましたが残念ながら出会うことはできず、ただ、空港近くの溜池ではコガモと共に休むシマアジに出会うことができました。そして最後は川沿いでタシギ、ウズラシギを観察してから集落内で探鳥しました。ここでは間近にキンバトが現れて驚かされましたが、意外にのんびりしていてくれたことから最後の最後にラッキーな出会いがあり探鳥を終えました。

8日、この日はまだまだ半日探鳥ができることから、主に過去、ハイイロオウチュウを見たことがある場所をめぐってみました。まず森道を走りましたが残念ながらキンバトの姿はなく、相変わらずエゾビタキが飛んでいる意外に変化はありませんでした。その後は集落から水田に向かい、このルートでよく見られているキンバトに期待しました。すると道端を歩きながら餌を探すキンバトの姿があったことから、やや距離を取ってバスから降り、少しずつ接近しながら観察することができました。この個体はほかの個体とは違い、比較的警戒心が薄く助かりました。その後は水田を歩き、美しいシマアカモズ、ずっと滞在しているキアシシギ、イソシギ、オジロトウネン、電線に止まるシロガシラを見てから移動しました。バスを降りて探鳥していると、ふいに飛び立った鳥が電線に止まりました。見てみるとこれがなんとバライロムクドリで驚きましたが、意外にもゆっくりしていてくれたことからじっくりと観察することができラッキーな出会いとなりました。その後は海岸ではチュウシャクシギ、水源ではサンショウクイ、水田ではセイタカシギやウズラシギ、コホオアカを観察して終了しました。

今回は幸にも台風の影響が全くない中で4日間を過ごすことができ、気候もいつもよりもやや涼しい印象でした。結果的にはこの時期の与那国島を代表するオウチュウ類、タカサゴモズ、ベニバトといった種には出会うことができず残念でしたが、キンバトが何度もその姿を見せてくれ、バライロムクドリ、カタグロトビ、アカガシラサギ、シマアオジ、コホオアカ、ツメナガセキレイ、シマアジ、クロハラアジサシといった野鳥たちに出会うことができ、石垣島ではカンムリワシ、ムラサキサギ、ズグロミゾゴイ、カタグロトビの八重山4点セットのほか、ジャワアカガシラサギ、カラムクドリ、そしてヤエヤマオオコウモリにも出会うことができました。次回は春に与那国島を訪れるほか、石垣島と西表島でもっとじっくり八重山の野鳥や渡りの珍鳥たちを楽しみたいという方のための、八重山ツアーもありますのでぜひまた足を運んでいただけましたら幸いです。この度はお疲れ様でした。

石田光史

シマアオジ 撮影:箕輪篤子様

 

ジャワアカガシラサギ 撮影:赤松博行様

 

カタグロトビ 撮影:竹村章様

 

ムラサキサギ 撮影:箕輪篤子様

 

キンバト 撮影:赤松博行様

 

シロガシラ 撮影:竹村章様

 

ツメナガセキレイ 撮影:箕輪篤子様

 

ズグロミゾゴイ 撮影:赤松博行様

 

カラムクドリ 撮影:竹村章様

 

ジャワアカガシラサギ 撮影:箕輪篤子様

 

シマアカモズ 撮影:赤松博行様

 

キンバト 撮影:竹村章様

 

カラムクドリ 撮影:箕輪篤子様

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