【ツアー報告】冬の北陸 河北潟と加賀鴨池・七尾湾 2019年12月20日~22日

(写真:サンカノゴイ 撮影:高木信様)

すっかり冬の定番になった冬の北陸。ようやく現地の状況を直前まで調べていただけ、現地の野鳥に精通した案内人に出会うことができたためにツアー化することができました。冬の北陸といえば、からっと晴れることはまずなく、なかなか難しい気候であることが知られていて、一日のうちに晴れ、雨、曇り、強風、あられといったさまざまな天気になることがよくあります。ただ今回は初日の天気予報が芳しくなかったもののそれ以降は雨予報はなく、大荒れといった天候ではないようで、ひとまずほっとしました。

20日、早朝から快晴の東京駅を予定通りに出発してひとまず新幹線で金沢駅に向かいました。この日は金沢の天気予報は雨マークがありましたがなんとか天気が持ってくれ、到着した金沢駅は思ったよりも明るい曇り空でした。到着後は現地集合のお客様、そして金沢市在住で野鳥の会、石川で活躍されている現地案内人と合流してから観察機材準備を済ませてからバスにて出発しました。この日は金沢から小松方面にに向かうことから、まずは途中にある安宅関跡にて休憩するために立ち寄ると、海には大きな虹がかかっていました。その後は周辺の畑地をめぐり、地上採食しているコハクチョウの群れを観察したほか、複数のノスリ、ホバリングしながら獲物を探すチョウゲンボウの姿がありました。その後は湖面を眺めてみました。マガモ、カルガモ、ヒドリガモ、コガモに混じってカンムリカイツブリやハジロカイツブリの姿があり、杭にとまって魚を食べるミサゴ、そして枯れ木にはチュウヒが止まっていました。また周辺の木にはツグミが群れ、コガモが群れている場所では少ないながらもトモエガモを見ることもできました。そしてこの日の最後は、観察舎に向かいました。到着時には小雨が落ちてきていましたが、到着と同時に真っ黒い雲がやってきたかと思うと激しい雨になりました。幸い屋内からの観察だったため、大きな影響なく観察することができ、千羽を超えるトモエガモの群れやヒシクイ、マガン、ミコアイサ、そして草地に佇むチュウヒの姿を現地のレンジャーさんのお話しを伺いながら観察しました。好天の日は薄暗くなる17:00以降にマガンの群れが鴨池に帰ってくるとのことでしたが、この日は天候が悪かったことが幸いしてか、いつもより早く福井県側からマガンの群れが飛来し、体を大きく左右に振る落雁という独特の動作をしながら次々にマガンが着水しました。すると着水していた数千羽のトモエガモが一斉に飛び立って乱舞状態になり、最後の最後で印象的なシーンを見せてくれました。

21日、この日は天気予報は曇りでしたが早朝から空は見る見る青空に変わり、朝食をいただいた後は河北潟に向かいました。前日とは異なり穏やかな日本海を眺めることができ、到着した河北潟ではひとまずバスを使って外周をまわってみました。トイレ休憩に立ち寄った場所では周囲の電柱や木に複数のノスリの姿があり、その後立ち寄った場所では水田にかなりの数のタゲリが群れていました。またよく見てみるとキジ、ホシムクドリの姿もあり、たまたま射した太陽光を浴びてタゲリやキジのオスは輝いてみえました。その後は海を眺めてみました。やや波が高くなる中、海上には複数のアビの姿があり、たった1羽ながらクロガモのオスも見られました。またどこからともなく飛んできたハマシギの群れが波打ち際で採食行動し、頭上にはミサゴがやってきて見事な飛翔を見せてくれました。その後はさらに北に進み海岸の岩礁で探鳥しました。岩礁にはダイゼン、そして海上にはウミアイサの姿があり、ほかにもヒメウ、ウミウ、ウミネコ、セグロカモメ、オオセグロカモメを見てから道の駅にて昼食の時間にしました。昼食後は七尾湾を望み、ヨシガモ、ヒドリガモ、ホシハジロ、ハジロカイツブリ、カワセミなどを観察しました。ただヒドリガモの群れが一斉に飛び立ったことから見てみると、オオタカの成鳥がやってきて枯れ木に止まりました。その後はこの日の最後の探鳥地に向かいました。小雨と曇りが交互にやってくる中でしたが干拓地ではコハクチョウの群れがあちらこちらに見られ、1羽のチュウヒが畔に佇んでいました。意外に警戒心がないようで望遠鏡を使って観察することができ、見ていると複数のチュウヒが飛んでくるのが見えました。また橋の上に立っているとチュウヒが周囲を飛び回り、それらが干拓地の地面に次々に降り立っていました。

22日、この日も天気予報は曇りでしたが、金沢市内は早朝から晴れ間が見えていました。朝食をいただいた後は再び河北潟方面に向かい、昨日行くことができなかった場所に向かいました。観察舎からは枯れ木に止まるチュウヒが見られ、湖面を眺めると相変わらずかなりの数のカモ類の姿があり、ここではヨシガモの群れやカワアイサといった顔ぶれが目立ち、観察舎周辺の道を歩くと杭に止まって魚を食べているミサゴの姿もありました。その後はトイレ休憩も兼ねて公園を歩きました。整備された公園内にはいくつかのヨシ原があり、アオサギ、ダイサギのほか、モズやウグイスの声が聞こえ、チョウゲンボウが飛んでいました。するとヨシ原のへりから突然サンカノゴイが飛び立ち、ヨシ原内に逃げ込みました。そのため逆方向から見てみると擬態するかのようにじっとしているサンカノゴイがいたため、望遠鏡を使ってじっくりと観察することができました。関東では夏鳥のため冬季に見たことがなく驚きの出会いとなりました。別のヨシ原ではオオジュリン、ホオジロ、モズ、ツグミといった顔ぶれが見られましたが、ヨシに止まるアリスイも登場してくれて盛り上げてくれました。その後は河北潟内を走り、再びホシムクドリの群れに出会うことができ、今回はホシムクドリだけの30羽ほどの群れが見られ印象的でした。そしてこの後は放鳥個体ではあるもののコウノトリがいるとのことで探してみました。なかなか見つかりませんでしたが、最後の最後で2羽のコウノトリに出会うことができラッキーな出会いが加わってくれました。その後はやや遅れてしまいましたが道の駅にて昼食の時間とし、昼食後はこのツアーの最後の探鳥地に向かいました。小鳥類の動きはいま一つといった感じでしたがシメ、ツグミの姿があり、最後はハゼの実に群れているシジュウカラ、コゲラ、メジロ、そしてアカゲラの姿を見てツアーを終了しました。

今回は冬の北陸としては比較的穏やかな3日間で幸いでした。時折雨が降ることもありましたが大荒れになることはなく、幸いにも雨は移動中が中心だったことから探鳥に大きな影響はありませんでした。今回も圧倒されるようなカモ類が見られ、鴨池で見らえたトモエガモの乱舞、そしてマガンの落雁は印象的でした。これといった珍鳥の飛来がなかったことはやや残念ではありましたが、サンカノゴイ、コウノトリ、ホシムクドリ、タゲリ、アリスイといったバラエティーに富んだ種が楽しませてくれ、ミサゴ、ノスリ、チョウゲンボウ、オオタカなど猛禽類の多さも目立ちました。今後も野鳥だけでなく地域の情報に精通した現地案内人の方のご協力をいただきながらツアーを継続していく予定です。ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。

石田光史

ハマシギ 撮影:西川惠美子様

 

コハクチョウ 撮影:林山直樹様

 

ノスリ 撮影:高木信様

 

ミサゴ 撮影:西川惠美子様

 

コハクチョウ 撮影:林山直樹様

 

キジ 撮影:高木信様

 

コウノトリ 撮影:西川恵美子様

 

ホシムクドリ 撮影:林山直樹様

 

カンムリカイツブリ 撮影:高木信様

 

ホシムクドリ 撮影:西川惠美子様

 

チュウヒ 撮影:林山直樹様

 

コウノトリ 撮影:西川恵美子様

 

マガン 撮影:林山直樹様

 

コハクチョウ 撮影:林山直樹様

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