【ツアー報告】11月下旬の大洗~苫小牧航路 2015年11月27日~11月29日

(写真:ミツユビカモメ 撮影:須崎明男様)

年にもよりますがほぼ年に7回企画している大洗港と苫小牧港を往復する海鳥観察ツアーもこの11月で今年最後となります。月によって見られる種が変わり、それぞれに目玉となる種がいることから、ほぼ催行中止なく毎月海鳥観察をお楽しみいただけています。この11月はアホウドリ類、ミズナギドリ類、カモメ類はもちろん、ウ類、カモ類、アビ類、ウミスズメ類などさまざまな種が観察できることが特徴で、強いていえばトウゾクカモメ、ミツユビカモメ、フルマカモメ、コアホウドリが多く見られる傾向があります。しかも今回は発達した低気圧が北日本を通過した直後ということで、やや荒れ模様という海鳥が多く見られる条件での出航となりました。

27日、22:30にご集合いただき、ツアー説明、見られる海鳥の解説などを行なってから乗船となりました。集合時は風が冷たく、11月とは思えない寒さでした。

28日、日の出は06:25でしたが金華山沖からの観察を予定していました。ただ海況が気になったため06:30にデッキに出てみると波はさほど高くはなかったものの強風が吹き、潮が吹き飛んでくるような状況でした。そのため屋根付き部分にこじんまりとまとまって観察を開始しました。早朝はオオミズナギドリ、ミツユビカモメ、トウゾクカモメが次々に飛び、07:40にはフルマカモメの姿がありました。08:15にはクロアシアホウドリ、08:30には強風を利用して全く羽ばたきもせず飛翔するアホウドリ亜成鳥、コアホウドリが観察できました。09:00にはオオミズナギドリの群れが現れ、09:10にはクロアシアホウドリ、09:30には船が陸地に近づいたことから海況が穏やかになりました。09:40にはトウゾクカモメが真横を飛び、10:30にはウミネコ、ミツユビカモメ、オオミズナギドリが集まって採食している中に2羽のアホウドリ亜成鳥が混じっていました。10:40にはシロエリオオハム、ウトウ、ウミスズメ、ミツユビカモメを襲うトウゾクカモメを観察し、10:50には再びシロエリオオハムが近くを飛翔しました。11:00には4羽のヒメウ、11:05には船体脇にはりつくようにトウゾクカモメが飛び、たまたま長い尾羽がある個体だったため特徴をじっくり観察することができました。11:15には再びアホウドリ亜成鳥が飛び、11:50には渡り途中なのかアオサギが飛び、11:55にはまたまたアホウドリ亜成鳥が遠くを通過していきました。その後は強風が吹き怪しげな黒い雲が現れたかと思うと13:30にはみぞれが降ってきました。その後は13:45にウミアイサの群れ、14:10にはウトウの群れ、14:30にはフルマカモメ、15:10には着水していた30羽ほどのミツユビカモメの群れが舞い上がり15:30には白色型のフルマカモメが飛翔しました。そして15:40には足元から飛び立ったミツユビカモメの小群の中に1羽のエトロフウミスズメが混じっていて慌てて飛び立ち、最後は海上を飛翔するハヤブサを見て観察を終了しました。

29日、早朝が良い海域ということで日の出前の06:00集合としましたが、トビラを開けることが難しいほどの強風のため30分ほど遅らせて観察を開始しました。ただこの日は残念ながらこの海域にはカモメ類以外の海鳥の姿はほとんどなく、ようやく08:15に海上を渡っていく6羽のオオハクチョウを観察しました。08:30以降は強風域と穏やかな海域が交互にやってくるめまぐるしい探鳥となり、08:45にはカモメ類の大群とそれに紛れ込むように飛ぶウミスズメ、09:20には暗色型のトウゾクカモメ、09:45には複数のウミスズメが飛び、10:05にはカマイルカとミンククジラの群れが観察できました。その後は時より出現するカモメ類の大群とそこに混じるトウゾクカモメを観察しながら進み、13:10にはまたまたアホウドリ亜成鳥が風に飛ばされるかのように飛び、13:20にはコアホウドリ、14:20にはオオミズナギドリの群れに混じるハシボソミズナギドリ、15:20には船首方向から次々にオオミズナギドリが現れ、15:30には2羽でミツユビカモメを襲うトウゾクカモメを観察して16:30に薄雲の中で美しく輝く夕陽を見ながら探鳥を終了しました。

今回は苫小牧港にも雪が積もっている状況でもわかるように11月としては非常に寒い航路探鳥でした。期待されたトウゾクカモメは暗色型を含むさまざまな個体が観察でき、ミツユビカモメを襲う行動も見られました。一方、コアホウドリが少なかった反面、アホウドリ亜成鳥が6度登場して盛り上げてくれました。2015年の定期航路からの海鳥観察ツアーは終了となりますが、今後も新企画を盛り込みながら継続して参りますのでぜひご期待ください。この度はお疲れ様でした。

石田光史

シロエリオオハム 撮影:須崎明男様

シロエリオオハム 撮影:須崎明男様

 

エトロフウミスズメ 撮影:須崎明男様

エトロフウミスズメ 撮影:須崎明男様

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