【ツアー報告】大洗航路の海鳥と北海道の小鳥たち 2020年3月19日~22日

(写真:ベニヒワ 撮影:久野守正様)

ウミスズメ類が最大数を迎える3月の大洗~苫小牧航路ツアーはすっかりお馴染みになっていますが、道内ではちょうど冬鳥たちの渡り期を迎えているほか、魅力的な留鳥たちも楽しめる時期のため苫小牧港到着後は市内で1泊し、翌日に苫小牧周辺での探鳥も加え4日間としたのがこのツアーです。今回はたまたま発生した低気圧が北上してくるタイミングに当たってしまったため往路は大荒れ予報が出る中での出発となりました。

19日、日中は春のような陽気だったのですが、夕方からは急速に天候が変わり、集合時間には小雨が落ちてきていました。ただこれといったトラブルなくご集合いただき、集合後は新型コロナウイルス感染対応として全員の検温が行われ、その後は資料配布、トラベルイヤホン使用方法説明、そして翌日の連絡事項をお伝えしてから乗船し、翌日の観察に備えてお休みいただきました。

20日、*諸般の事情から詳しい出現状況をウェブサイトでは公開しておりません。

21日、道内は強風、大荒れとの予報が出ていましたが幸いにも早朝から穏やかな快晴の中、豪華な朝食をいただき08:00に出発して探鳥を行いました。とにかく全く雪がなく、すでに春のような状況で芝生をツグミが歩き、カワラヒワがさえずっていました。思ったほど鳥の影はありませんでしたが、遠くからはヒガラのさえずりが聞こえ、シジュウカラ、ハシブトガラの姿もありました。また間近にキバシリがやってきたことから珍しくじっくりと観察することができ、付近ではシジュウカラ、ヤマガラ、コゲラ、シロハラゴジュウカラが次々に現れて一気ににぎやかになりました。すると30羽ほどのアトリの群れが飛んできたことから探してみると、枯れ木に群れる姿があり、中にはすっかり夏羽に換羽した個体もいました。また付近にイスカがいたとのことから探してみると、地上を歩きながら落ちている松ぼっくりをかじっている真っ赤なオス、メスがいました。一旦は見失ってしまいましたが、その後は樹上でじっとしているアカゲラを見ることもできました。その後は再びイスカを探してみると、別の場所にオス、メスの姿があり、ここでも至近距離からじっくりと観察することができました。また最後にはカササギもやってきて盛り上げてくれました。その後は全く積雪がない雑木林を歩き、相変わらず愛想が良い、ハシブトガラやシロハラゴジュウカラ、ヒガラ、ヤマガラなどをじっくり見ながらさらに奥に進みました。途中、思ったほど小鳥の気配がありませんでしたが、この日は幸にもエゾフクロウに出会うことができ、引き返す途中ではちらっとでしたがシマエナガに出会うこともできました。ここも雰囲気はすっかり春といった感じでキバシリのさえずりが聞こえていました。その後はオオワシの飛翔を見ながらまずは昼食の時間としました。すると小鳥の群れがいるとのことで行ってみるとベニヒワでした。しばらく見ていると針葉樹から次々にベニヒワが飛び立ち、結果的には50羽ほどの群れが枯れ木に止まりました。よく見るとかなり赤もが強いオスが数個体混じり、時折地面に降りて水を飲んでいるようでした。そのため順光側に移動して観察していると、木に群れたり、地上に降りて餌を探したりと活発な動きでしばらくの間、楽しませてくれました。この冬は冬鳥の飛来状況が良いことから期待はしていましたが、イスカに続いてベニヒワに出会う幸運がありました。その後は海岸まで移動しました。この頃には風が強まってきたことからかなりの寒さを感じる中でしたが、港の中ではスズガモ、クロガモの姿があり、海岸では大きな波が打ち寄せる中、シロカモメ、ワシカモメ、オオセグロカモメ、カモメ、ユリカモメが波打ち際で餌を探し、海上にはクロガモ、ホオジロガモ、ヒドリガモが見られましたが、カモ類の姿はかなり少なく、早くも渡っていってしまったようでした。その後はこの日最後の探鳥地に向かいました。まずは毎年この時期に周囲の畑地にやってきているガン類を探してみました。ただこの日はかなり広範囲に探してみましたがガン類の姿は全くなく、早くも北へ旅立ってしまったようでした。そのため漁港に向かうことにし、群れているヒドリガモやクロガモを観察しました。ただこの中にアメリカヒドリが混じっていたことから意外な出会いがここでもありました。この個体はほとんど眠っているようでなかなか顏を上げてくれませんでしたが、時々顏を上げると見事な緑色でした。少々歩いてみると、ほかにもカンムリカイツブリ、ホオジロガモ、ホシハジロなどが見られ、数羽のオジロワシが飛び交うと、群れているカモメ類が一斉に飛び立っていました。そして最後は堤防に佇むワシカモメとオオセグロカモメ、見る見る近づいてきてくれたシノリガモのオスを見てから少々時間があったことから草原を歩いてみました。ここでは期待していた猛禽類や小鳥類の姿はありませんでしたが、2羽のタンチョウが佇んでいるという意外な出会いがあり、最後の最後まで盛り上げてくれました。探鳥終了後は苫小牧フェリーターミナルに戻りました。到着後は一旦自由行動とし22:00に再集合していただいてから帰りのチケットを配布して22:30に乗船しました。

22日、*諸般の事情から詳しい出現状況をウェブサイトでは公開しておりません。

まず今回は新型コロナウイルス蔓延に伴い日本経済そのものが厳しい状況にある中、ご参加いただきましてありがとうございました。結果的には季節の動きが早かったようで、航路ではハシボソミズナギドリ、アカエリヒレアシシギ、アホウドリ、トウゾクカモメといった春の海鳥たちが見られ、期待していたエトロフウミスズメ、コウミスズメに出会うことができませんでした。また毎年見られているガン類は見られず、カモ類も少ない印象でした。ただ反面、この冬は冬鳥の飛来状況が良かったことから、イスカ、ベニヒワ、アトリといった冬鳥をはじめ、北海道だからこそのエゾフクロウ、シマエナガ、ハシブトガラ、シロハラゴジュウカラに出会うことができました。今後も海鳥観察ツアーをはじめ、さまざまなツアーを企画してまいりますのでよろしくお願いいたします。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

ミツユビカモメ 撮影:村瀬隆司様

 

ベニヒワ 撮影:宅間保隆様

 

イスカ 撮影:久野守正様

 

ベニヒワ 撮影:村瀬隆司様

 

トウゾクカモメ 撮影:宅間保隆様

 

タンチョウ 撮影:久野守正様

 

トウゾクカモメ 撮影:村瀬隆司様

 

キバシリ 撮影:宅間保隆様

 

シロハラゴジュウカラ 撮影:久野守正様

 

ウミスズメ 撮影:村瀬隆司様

 

コアホウドリ 撮影:宅間保隆様

 

ハシブトガラ 撮影:久野守正様

 

イスカ 撮影:村瀬隆司様

 

ベニヒワ 撮影:久野守正様

 

イスカ 撮影:久野守正様

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