【ツアー報告】利根川周辺の冬の猛禽類 2016年1月28日

 11月後半から数回催行させていただいた定番ツアーですが、ご好評をいただいたことから年が明けた1月にも追加設定することになりました。毎回、なるべく多くのタカ類が見られるコース設定にしていますが、この日は風がなく穏やかな陽気だったことから、あまり飛翔してくれないのではと心配になるくらいでした。ただ反面、初冬の頃にはほぼ見られなくなってしまった淡水系のシギチドリ類がいつの間にか戻ってきて越冬状態になっていました。この日も雨の心配はまずないだろうという状況での出発となりました。

予定よりもやや早くご集合いただいたことから少々早く東京駅前を出発し、途中休憩を挟んでも2時間弱で最初のポイント近くに到着しました。ここで観察機材の準備をしていただき、再度バスに乗って探鳥開始となりました。とにかく穏やかで心配でしたがまずは利根川が見渡せる河川敷の堤防上から観察しました。遠くの木々にはチュウヒが止り、電線にはツグミやホオジロの姿がありました。見ているチュウヒが舞い始め、無風状態にも関わらず我々の真上を旋回飛翔してじっくりその姿を見せてくれました。さらにはコチョウゲンボウのメスが電線に止まり、その後飛び立って高速で飛翔する姿を見せてくれました。その後は利根川に沿うように移動しながら探鳥して行きましたが、途中にある水田では道沿いにある電柱にハヤブサ、杭にはノスリが止り、50羽ほどのタゲリの群れを観察することができました。その後は茨城県の霞ヶ浦南部まで移動して一旦各自昼食としました。昼食を早めに食べ終わったお客様とアシ原内を観察してみましたが、この日はほぼ無風だったことからオオジュリンが比較的高い場所にやってきたことから見やすく、ほかにもコジュリン、ホオアカの姿も見られました。昼食後は関東唯一のヒシクイの越冬地に向い、北帰行前の135羽を見ることができ、その後は淡水域で越冬中のシギチドリ類を探しに行きました。初冬の頃にはすっかりその姿がなくなってしまっていましたが、ここ最近になって目撃例が増えていました。現地では早速、タカブシギと一緒に行動するオジロトウネンの姿を見ることができ、他の場所でもさほど警戒心がない1羽のオジロトウネンをしっかり観察することができました。その隣の水田では2羽のタシギがせっせと採食し、最後に訪れた水田ではクサシギの姿があったため観察していると、水際を歩き回るクイナが現れて思わぬ出会いとなりました。また周囲の草地ではアオジやカシラダカの姿、そして杭に止るカワセミも見ることができました。その後は干拓地を巡ってタゲリ、ノスリなどを観察してから、そろそろ群れてくるムクドリの群れを探しに行きました。ある場所では夕方になるとどこからともなくムクドリが集まってくるのですが、この中にホシムクドリが混じっていることが多いためそれを探しました。走りはじめてすぐの所で電線に群れるムクドリの姿があったことからバスを降りて探してみました。この日のムクドリの群れは最大で200羽ほどのかなり大きな群れで、これだけの群れならばまず間違いないだろうと思ったのですが、電線に並んでいるムクドリの中にホシムクドリの姿はありませんでした。ただ地上採食している群れの中にホシムクドリがいたことから待っていると、一斉に飛び立ち周辺の木々に止りました。そしてその中に2羽のホシムクドリの姿があり望遠鏡を使って観察することができました。ただ、ここですでに16:00を過ぎてしまっていたことから急いで猛禽類の塒入りポイントに向いました。この日はほぼ無風状態だったことからチュウヒは飛んではくるもののほぼ全ての個体が木に止まり10個体ほどが見られました。結局、ハイイロチュウヒはまずメスが16:50に現れ、オスは17:00過ぎにやってきて、最後は2羽の乱舞も見られました。ほかにもコチョウゲンボウのオスが2個体同時に見られるという珍しいシーンもあり、驚くほど穏やかなツアーを終了しました。

主に猛禽類を狙って企画している冬の日帰りバスツアーの定番コースですが、今回も安定してチュウヒ、ハイイロチュウヒ、コチョウゲンボウという主役が見られ、ノスリ、ミサゴ、ハヤブサの姿もありました。また人気のあるタゲリのほか、オジロトウネン、タカブシギ、クサシギ、タシギ、そしてクイナとの出会いもあった内容の濃い1日でした。皆様お疲れ様でした。

石田光史

 

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