【ツアー報告】利根川周辺の冬の猛禽類(追加設定) 2019年12月10日

(写真:チュウヒ 撮影:上田恵様)

冬といえば猛禽類観察ということで、毎年冬恒例になっているのがこのツアー。いかにも猛禽類が多く生息しているような環境をめぐりながらその姿を探すほか、毎年越冬にやってきているヒシクイの群れ、そしてその独特の風貌から人気が高いタゲリ、越冬中のシギ類、そしてここ数年、毎年のように越冬するようになったホシムクドリなどを含めて探していきます。この時期になるとかなり寒さが気になるのですが、この日は雨上がりということもあってか日中は気温が高くなるとの予報でした。

10日、雨上がりのため道路は一部が濡れていましたが、この日は次第に天気は回復傾向とのことで、早朝の東京駅前は空が明るくなってきていました。予定通り出発した後はひとまず千葉県方面に向かいました。移動中のバス車内ではいつものようにこの日観察できる可能性の高い種の特徴や探し方などをお伝えし、まずは途中にあるサービスエリアで休憩しました。ここでは桜の木から樹液が出ているようで、そこにエナガの群れがやってきていて盛んに樹液を飲んでいました。再出発後はさらに1時間ほど走って最初のポイントまで行き、到着後は各自観察機材準備をしていただいてから探鳥を始めました。曇り空ながら一部に青空が見える中、まずは利根川の河川敷で探鳥し、木に止まるミサゴ、風に乗るように飛ぶ複数のチュウヒ、そして電柱にはノスリの姿があり、水田にはタゲリが群れていました。ほかにもモズ、ムクドリ、ツグミ、タヒバリなどを見てから移動しました。移動中には杭に止まるチョウゲンボウ、そして畑地に群れるタゲリが見られ、その後は霞ケ浦南部まで移動して各自昼食の時間としました。昼食後には電柱に止まるハヤブサ幼鳥が見られ、その後はシギ類を探して水田に向かうと途中の電柱に2羽のミサゴの姿があり、うち1羽は大きな魚を持っていました。そして先月ヘラサギが見られた場所まで行くと再びヘラサギに出会うことができ、ヘラ状の嘴を使って餌を探す様子を観察することができたほか、付近にはオオハシシギ、セイタカシギ、クサシギ、タカブシギ、そして1羽のツルシギを間近に見ることもできました。またハイイロチュウヒのメスがスイスイ飛びながら小鳥類を追い回す姿を見る幸運もありました。その後はオオヒシクイの越冬地に向かい、今期は過去最多となる182羽のオオヒシクイが距離はあったものの干拓地に群れていて、ほかにもハヤブサ、ノスリ、川にはオナガガモ、カルガモ、コガモに混じる、ミコアイサのメス、カンムリカイツブリ、ハジロカイツブリの姿もありました。時間がやや押してきてしまったことから、トイレ休憩を挟んでホシムクドリを探してみましたが、この日も前回同様になかなかムクドリの群れに出会うことができず、最後にようやくムクドリの群れに出会うことができましたが、ホシムクドリの姿はなく時間が来てしまったため猛禽類が塒入りにやってくるヨシ原に移動しました。この時間はどんよりとしていたことからチュウヒの戻りが早く、すでに10羽近い個体が木に止まっていました。すると突然ハヤブサが背後を高速で飛びその後電柱に止まり、いつの間にか遠くの木にコチョウゲンボウのオス、メスが止まっていたため望遠鏡でその姿をじっくり観察することができました。また止まっていたチュウヒが一斉に飛び立ったため見てみると、どこからやってきたのかオオタカの成鳥が木に止まっていました。そして最後は薄暗くなる中、ハイイロチュウヒのメスが飛び始め、スイスイと巧みな飛翔を見せてくれたため翼下面の模様まで見ることができました。

今回は終日曇りベースでしたが、前回同様12月のツアーとしては比較的穏やかで暖かい1日でした。ハイイロチュウヒのオス、ホシムクドリに出会えず残念でしたが、今回はヘラサギが見られたほか、人気のあるタゲリをはじめ、ツルシギ、セイタカシギ、オオハシシギ、タカブシギ、クサシギといった越冬シギ類も多少見られ、ヒシクイの群れも健在でした。猛禽類はチュウヒ、ハイイロチュウヒ、チョウゲンボウ、コチョウゲンボウ、ハヤブサ、オオタカ、ノスリ、ミサゴに出会うことができ猛禽類に関しては成果がありました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

タゲリ 撮影:上田恵様

 

オオハシシギ 撮影:上田恵様

 

ヘラサギ(右) 撮影:上田恵様

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