【ツアー報告】利根川周辺の冬の猛禽類 2020年12月2日

(写真:ツクシガモ 撮影:須崎明男様)

冬はさまざまな日帰りバスツアーを企画していますが、その中でも特に人気が高く長らく催行させていただいているのがこの利根川周辺から霞ヶ浦南部をめぐる猛禽類をメインにした日帰りバスツアーです。冬季の農耕地、干拓地、水辺は特に猛禽類が多く生息し、ほかにも付近の干拓地に越冬にやってくるヒシクイの群れやムクドリの群れに混じるホシムクドリ、そして越冬のためにやってくるタゲリやシギチドリ類、また最後の最後には何十羽ものチュウヒの塒入りを見るというこのツアーのメインともいえる観察も含まれています。ただこの日は残念ながら天気が芳しくなく早朝の東京駅前はすでに小雨が落ち始めていました。

2日、いつもよりもやや遅い08:30に東京駅前を予定通り出発して、ひとまず茨城県方面に向かいました。言うまでもなく探鳥コースは決めてはいましたが、直前になって今回行く予定の場所の近くに関東では珍しいツクシガモ、そして越冬例は多いものの識別が難解なヨーロッパトウネンがいるとのことでややコースを変え、また発見するのに時間がかかるだろうとの予想、そしてできる限り雨が降っていない時間帯に徒歩探鳥ができるように予定を変えながら探鳥することにしました。移動途中はいつもにようにこの日に観察できる可能性のある鳥の解説をしながら進めましたが、雨は一時的に激しく降っていました。現地到着後は幸い雨は止んでいて、まずは観察機材の準備をしていただいてからツクシガモを探してみることにしました。土手を歩きながら探すことを想定していましたが土手に向かう途中の田んぼにツクシガモがいきなりいたので驚きました。残念ながら一旦飛び立ってしまいましたが付近の川に着水したことから望遠鏡を使って観察することができ、特徴的な真っ赤な嘴など見てから、ヨーロッパトウネンを探してみることにしました。幸いにもまだ雨が降っていなかったことから徒歩探鳥で探すことにしましたが、いきなり最初のポイントでそれらしき小型シギ類の群れに出会うことができました。1羽1羽丁寧に見ていくとオジロトウネンの姿が確認でき、その中にちょっと気になるトウネンが1羽いました。ただ観察していると飛び立ってしまいましたが、幸い付近の水田に降りたことから移動して観察を続けるとトウネンはいつの間にか2羽になっていて、なかなか難解ながらも嘴の細さや体形、採食姿勢、足の長さなどからヨーロッパトウネンと判断しました。その後は一旦昼食の時間としてから午後はまずヒシクイを見に行くことにしました。この頃からはやや風が出てきて寒さが厳しくなってきていました。現地に到着するとこの日は飛んでは来たものの干拓地には降りず、霞ヶ浦方面に飛んで行ってしまったとのことで残念ながらヒシクイには出会えず。ただ川ではマガモ、カルガモ、オナガガモに混じるトモエガモの姿を見ることができました。ただここからは小雨が降ってきたことからバスを使って探鳥することにし、周辺の干拓地をめぐってみました。これといった猛禽類に出会うことはできませんでしたが、ある場所ではタカブシギとクサシギ、また10羽程度で群れているタシギが見られ、その後は時間が押してくる中、幸いにもムクドリの群れを発見することができ、その中に混じる10羽程度のホシムクドリ、さらにはアルビノと思われる白色のムクドリを見てから、チュウヒが塒に帰ってくるシーンを観察しました。この日は曇っていて薄暗かったことから早くも複数のチュウヒが帰ってきていて枯れ木に止まり、ハイイロチュウヒのメスがすでに飛んでいました。しばらくすると雨が落ちてきてしまいましたがチュウヒはかなりの数が見られ、たまたま飛んできたコチョウゲンボウのメスが電線に止まったことから観察することもでき、かなり薄暗くなる中、この日の観察を終了しました。

今回はこのツアーの定番種となっているヒシクイに出会うことができませんでしたが、チュウヒ、ハイイロチュウヒ、コチョウゲンボウ、ホシムクドリ、タゲリ、タカブシギ、オジロトウネン、タシギなどに出会うことができ幸いにもツクシガモ、ヨーロッパトウネンにも出会うことができました。本ツアーを持ちまして鳥の観察会は約2か月間のツアー中断期間に入ります。コロナ感染には十分に気を付けつつ、感染が終息に向かうことを祈っております。また2021年2月にお会いしましょう。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

ツクシガモ 撮影:HNトンビ様

 

ハイイロチュウヒ 撮影:寺田祐治様

 

タゲリ 撮影:須崎明男様

 

ヨーロッパトウネン 撮影:HNトンビ様

 

タシギ 撮影:寺田祐治様

 

カンムリカイツブリ 撮影:須崎明男様

 

タシギ 撮影:HNトンビ様

 

ホシムクドリ 撮影:寺田祐治様

 

コチョウゲンボウ 撮影:須崎明男様

 

オジロトウネン(手前)とヨーロッパトウネン 撮影:HNトンビ様

 

タシギ 撮影:寺田祐治様

 

チュウヒ 撮影:須崎明男様

 

ムクドリとホシムクドリ 撮影:HNトンビ様

 

ヨーロッパトウネン 撮影:須崎明男様

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