【ツアー報告】沖縄やんばるの森の固有種たち 2021年5月17日~19日

(写真:ノグチゲラ 撮影:秦順一様)

17日、那覇空港を出発。梅雨なのにまったく雨が降らず、梅雨前線が東海地方まで上がるという梅雨明けの天気図なのだ。専用バスで公園へ行き、シロガシラの声を聞きながら昼食。その後はやんばるに到着。ホントウアカヒゲのポイントで待つと、雄が現れて鳴くが、なかなかじっとしてくれないので写真撮影は難しい。それでも全員で観察し、数人が綺麗な写真を撮る。その後はノグチゲラのポイントへ行く。この時期はノグチゲラがデイゴの花の蜜を吸いに来るのだ。暫く待つと、リュウキュウアカショウビンが囀り、リュウキュウサンショウクイがやって来る。そして、ノグチゲラの雌がやってきてデイゴの花にとまって蜜を吸う。一年でほんのひと時だけ楽しめる、デイゴの真紅とノグチゲラの深紅の美しい光景なのだ。もちろん、みなさんでじっくりと観察、撮影する。夕方にヤンバルクイナのポイントで待つ。何度かヤンバルクイナが道路を横切る。その後、水浴びに出てくるポイントで待っていると、いつもの個体が出てきたが警戒して入ってしまった。しかし、夕方だけで5羽のヤンバルクイナと出会って終了。勝手にホントウアカヒゲ・ノグチゲラ・ヤンバルクイナを“やんばる3点セット”と呼んでいるが、半日でコンプリートなのだ。18:45 やんばるの森の中のホテルに到着。夕食は、美味しいハンバーグ。

18日、一晩中、ホテルの周りでヤンバルクイナが鳴き、明け方にはリュウキュウアカショウビンがあちこちで鳴くという幸せな朝を迎える。早朝に出発。やんばるの森を車でゆっくりと走るとホントウアカヒゲがあちこちで朗々と囀る。ヤンバルクイナのポイントをゆっくりと走ると、ヤンバルクイナの雌雄が餌を食べている。みなさんで観察、撮影していると、近所のおじぃが缶コーヒーを持ってゆっくりとヤンバルクイナのいる近くにあるベンチに座る。全員がこれでヤンバルクイナが逃げるだろうと思ったが、なんと、おじぃが“おいでおいで”と手招きをすると、ヤンバルクイナのペアがどんどんおじぃに近づいていくではないか。このなんとも不思議な光景にみんなで呆然とする。さらにゆっくりと走ると、うろうろしているヤンバルクイナ1羽がいて、みなさんでじっくりと観察、撮影する。すると、四角いケースのような物に水が溜まっているらしく、その中に入って水浴びを始めたのだ。朝だけで合計8羽のヤンバルクイナに出会いホテルに戻り朝食。再度出発し、やんばるの森の中の林道をゆっくりと走ってノグチゲラのポイントやホントウアカヒゲのポイントを回る。数ヶ所でホントウアカヒゲの雄を観察するが、動きが早くてなかなか写真撮影までとはいかないがじっくりと観察する。何度かリュウキュウアカショウビンが車の前を横切る。12:30に昼食とお買い物。午後は耕作地をゆっくり走っているとリュウキュウヨシゴイの雄が飛んでいく。最近、かなり見ることの難しい鳥になってしまったので喜んで雄が降りた辺の耕作地を探すと、なんと、雌が擬態をしているではないか。慌ててみなさんで観察、撮影。やんばるツアーでリュウキュウヨシゴイの写真を撮ったのは数年ぶりの事なのだ。さらに雄が再び飛び回り、今年はここで繁殖する可能性がある。その後は耕作地でシロガシラ、シマキンパラなどを観察、撮影していると、アカガシラサギのほぼ夏羽が飛び出して木にとまるが、直ぐに飛び立って見えなくなってしまった。その後は再度、ノグチゲラのポイントへ行く。暫く待つと、ノグチゲラの雌がデイゴの花の蜜を吸いに来たので、みなさんでじっくりと観察、撮影する。夢のような美しい瞬間なのだが、デイゴの開花が年によって1ヶ月程のズレがあるので、ツアーの日程と外れるとまったく見られないのだ。夕方はヤンバルクイナのポイントへ行き、道路を横切る数羽を見てから やんばるの森の中のホテルに到着。夕食は、美味しいステーキ。

19日、夜明け前にホテルの前で数羽のヤンバルクイナが鳴き交わしをしていた。明け方に雨が降ったので、タカツムリが大好きなヤンバルクイナには好条件なのだ。早朝にホテルを出発。リュウキュウアカショウビン、リュウキュウサンコウチョウが鳴いている。ホントウアカヒゲがあちこちで朗々と囀り、ヤンバルクイナも道路脇で餌を採る。耕作地のポイントで待つと、ヤンバルクイナの成鳥に連れられて幼鳥2羽が出て来た。この子たちは4月のツアーで親鳥の足元に纏わり付いていた真っ黒なヒナなので、大きく成長していて嬉しくなる。さらに、いくつかのポイントを回り、ヤンバルクイナ計11羽、ホントウアカヒゲ計6羽、ノグチゲラ1羽という鳥果でホテルに戻って朝食。再度出発。ぐいぐい南下してシマキンパラ、シロガシラ、リュウキュウツバメなどをじっくりと観察、撮影する。すると、夏羽のアカガシラサギが飛んでいき、木にとまるが直ぐに飛び立ち、見えなくなってしまう。11:30に昼食。昼食後、さらに南下して公園へ行く。ここは毎年、ツミが繁殖していて、一昨年の論文で沖縄本島のツミも亜種リュウキュウツミと発表され、私もお手伝いをしたのだ。ふと見るとオリイオオコウモリが眠たそうにぶらさがっている。その後はキアシシギ、バン、そして最後にクロツラヘラサギを観察、撮影して、急いで那覇空港へと向かったのである。この時期限定のデイゴの花にとまるノグチゲラの美しい景色とヤンバルクイナ、ホントウアカヒゲをたっぷりと楽しんだ3日間でした。みなさま、お疲れ様でした。

宮島 仁

ホントウアカヒゲ 撮影:柴山勝様

 

ヤンバルクイナ 撮影:秦順一様

 

リュウキュウヨシゴイ 撮影:柴山勝様

 

ノグチゲラ 撮影:柴山勝様

 

ヤンバルクイナ 撮影:柴山勝様

 

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