【ツアー報告】紅葉の戸隠高原でムギマキに会いたい! 2021年10月26日~27日

(写真:ムギマキ 撮影:大木邦夫様)

期間限定で見られる旅鳥のムギマキに出会いたいと企画している恒例の戸隠高原をハイキングするツアー。ここ数年は写真を撮影したいといった需要が増大したこと、また歩く距離を大幅に削減するため、今回からは鏡池までの往復ハイキングを取りやめ、ムギマキをじっくりと観察、撮影する時間を増やすといった運行に変更しました。この時期の信州はお天気が安定せずころころと変わる空模様を見ながらの進行となることが多いのですが、今回はたまたま低気圧が去っていくタイミングに当たることができ、我々が到着する26日午後からは天候は回復するといった予報でした。この秋の戸隠高原は19年前に私がまだまだ助手ではありましたがガイドデビューした思い出深い場所であり、個人的にも一番足を運んでいる探鳥地でもあります。もちろん言うまでもなく大好きな探鳥地なのです。そのため多くの方々に来ていただきたいとは思いますが、探鳥のために歩く道のほとんど全てが木道や小径のため、20名を超える人数での探鳥は不可能と判断し我々のツアーは少人数化して企画し、さらにはムダな移動時間を省けるよう東京から約90分で移動できる往復新幹線利用としています。

26日、低気圧の通過に伴い早朝には雨の予報が出てはいましたが、東京駅上空には早くも青空が見得る中を予定通りに出発。途中、軽井沢駅では曇り空に変わってしまいましたが東京から90分ほどであっさり到着した長野駅は薄曇りといった感じで、ひとまず激しい雨はない空模様でした。その後は長野駅集合のお客様と合流してからバスにて今回の宿泊地のホテルに向かいました。途中、見事な紅葉を見ながら進み、一時的に霧雨が降りましたが1時間ほどでホテルに到着した後は一旦お部屋に入っていただき各自昼食をとっていただきました。標高1000m、やや霧がかかりひんやりとした空気の中、まずはこの日の午前中にムギマキがいたとの情報をいただいていた場所に向かいました。一時的に霧雨がありましたが探鳥には影響はなく、ひとまず過去にムギマキが見られた場所を見て回りました。途中、20羽ほどのイカルの群れに出会うことができ、木々に群れる姿やさえずりを聞くこともできました。やや森の奥まで進むと周囲が賑やかになり、まずはどこからともなくオオアカゲラがやってきてくれました。すると今度は2羽のアカゲラが威嚇行動をとり、その後は面白いことにアオゲラがやってきて木の実をついばんでいたため望遠鏡を使って観察することができました。また同時にエナガの群れに囲まれ、コガラ、ゴジュウカラ、シジュウカラも同時に見ることもできました。ただ残念ながらここではムギマキに出会うことはできませんでした。時間も押してきたので移動し、先週、ムギマキが観察された場所でひとまず待つことにしました。この場所も毎年のようにムギマキがやってきているツルマサキの実があり1時間ほど待ちましたがここでもヤマガラ、ヒガラ、ゴジュウカラといった顔ぶれを見るに留まり、その後はまた別の場所に向かいました。その途中ではマミチャジナイの小群が木の実に群がる様子が見られ、現地ではツルマサキの実にやってきているムギマキのメスと思われる個体に出会うことができました。ただわずかな時間で飛び去ってしまったらしくこの日はムギマキとの出会いはわずかな時間となってしまいました。

27日、この日の早朝探鳥はホテル周辺を歩く予定でしたが、前日の状況が芳しくなかったことから日の出に合わせてバスにてムギマキを探しに向かいました。まずは川辺で2羽のカワガラスに出会い、その後はひとまず先週、ムギマキが見られたポイントをめぐってみました。ただなかなかその姿はなく、代わって木道エリアでは10羽ほどのマミチャジナイの群れに出会うことができ、アカハラ、シロハラの姿も見ることができました。またこの時、ムギマキの姿を見られた方もいらっしゃいましたがじっくり見るには至りませんでした。探鳥後は一旦ホテルに戻って朝食をいただき再度出発して午前中は早朝と同様のポイントをめぐってみました。まずはハンノキに群れる50羽ほどのマヒワの群れが見られたものの、この日もなかなかその姿を見ることができず、どうなることかと思っていた10:30。ここまでが一体なんだったのかと思わせるようにムギマキが一気に動き出し、ツルマサキの実にオス成鳥、オス亜成鳥、メス成鳥の3個体が入れ代わり立ち代わりやってくるようになりました。ここからはひとまず現地でじっくり時間をとってムギマキを観察、撮影する時間とし、気が付くとお昼の時間になっていたことから一旦ホテルに戻ってこのツアーのお楽しみでもある戸隠蕎麦をいただきました。昼食後はやや雲が多くなる空模様の中、最後もまたムギマキを見るために向かいました。この時間も相変わらずムギマキは3個体見ることができ、1時間ほど過ぎた後は園内を歩くことにしました。木道エリアでは間近に2羽のキバシリを見ることができ、ゴジュウカラ、そしてツルマサキの実をついばむ3羽のコガラの姿もありました。またキンクロハジロ、そしてカラマツに群れるアトリ、ツルマサキにやってきているアカハラの姿を見てからホテルに戻りましたが、やや時間があったことから早朝に歩く予定だった草地に立ち寄ってみました。ここではホオジロ、アオジ、カシラダカ、そして最後はモズ、カワラヒワの姿を見て今回の探鳥を終了しました。

毎回のようにお天気に悩まされるツアーですが、今回は結果的には雨に打たれることはなく、探鳥に大きな影響が出なかったことは幸いでした。初日は最後の最後で目的のムギマキに出会えたもののじっくりと観察することができずどうなることかと思いましたが、翌日は天候の回復に合わせるかのように複数のムギマキがその姿をじっくりと見せてくれ、なかなか見られない成鳥のオス個体にも出会う幸運がありました。また同じく旅鳥としてやってくるマミチャジナイも群れで見ることができました。さらには平地では越冬しないコガラ、ゴジュウカラ、キバシリ、カワガラス、オオアカゲラといった顔ぶれが出そろい、早くも渡ってきたアトリ、マヒワ、カシラダカの姿もありました。紅葉の名所だけあって見事な紅葉も楽しむことができ、このツアーの隠れた目玉でもある戸隠蕎麦もおいしくいただけました。次回はクロツグミやコルリ、サンショウクイ、キビタキ、ノジコなどの夏鳥を探すツアーを5月に企画いたします。また季節を変えてぜひお出かけください。

石田光史

ムギマキ 撮影:小澤正幸様

 

アカゲラ 撮影:栫祐子様

 

マミチャジナイ 撮影:大坪昭允様

 

キバシリ 撮影:大木邦夫様

 

マヒワ 撮影:小澤正幸様

 

アカハラ 撮影:栫祐子様

 

マヒワ 撮影:大坪昭允様

 

ゴジュウカラ 撮影:大木邦夫様

 

ムギマキ 撮影:栫祐子様

 

マヒワ 撮影:大坪昭允様

 

ムギマキ 撮影:大木邦夫様

 

キバシリ 撮影:栫祐子様

 

キバシリ 撮影:大坪昭允様

 

ムギマキ 撮影:栫祐子様

 

ムギマキ 撮影:大坪昭允様

 

ゴジュウカラ 撮影:栫祐子様

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