【ツアー報告】根室・知床・鶴居村 冬の道東めぐり 2024年2月27日~29日

(写真:ベニヒワ 撮影:T・Nao様)

冬の定番となっているこの冬の道東めぐりも早いものですでに20年近く担当させていただき、過去、毎年のようにコースを変えながら催行してきました。当時はタンチョウ、シマフクロウ、オオワシ、オジロワシが主役でしたが、シマフクロウに関しては厳冬期の出現率が極めて悪いため、出現率が極めて高い初冬に移行しました。またここ数年は撮影をご希望のお客様が急増したことから冬の道東ツアーはすべて「フォトツアー」として企画してきましたが、日程をやや短めの3日間とし、両日共にシングル部屋を使ったお手頃な冬の道東ツアーを新たに企画してみようとの思いで、昨年からこのツアーを企画しました。昨年は2日目には網走方面に向かいましたが、今回は根室方面に向かう行程に改めてみましたが、幸いにも多くのお客様にご参加いただくことができました。

27日、今回はたまたま低気圧が発達しながら太平洋岸を通過していくタイミングに当たってしまったことから前日は関東ではかなりの強風が吹き荒れました。そのためこの日も早朝から天気は良かったものの相変わらず強風が吹き荒れていて飛行機が無事に飛んでくれるか心配になるほどでした。朝が早い集合時間ながら予定通りに羽田空港にご集合いただいたことから、資料の配布、この日の連絡事項をお伝えしましてから搭乗してひとまず釧路空港に向いました。満席で飛び立った機材は釧路空港着陸直前には大きく揺れましたが真っ白な大地に無事着陸。空港内で観察機材の準備をしていただいてから鶴居村に向いました。ただ釧路空港周辺もやはり風が強く、時折、雪が舞い上がっているようでした。いつもなら鶴居村のサンクチュアリーに向かうのですが、この冬はカナダヅルが舞い込んでいることから、まずは探してみました。到着後はやはり強風が吹く中、タンチョウたちが群れている場所に行ってみました。この日はタンチョウの数はやや少なく50羽ほど。残念ながらカナダヅルの姿はなかったですが、強風にあおられるかのようにタンチョウが舞い上がったり、鳴き交わしをしたりしていました。帰り間際にはオオワシの成鳥が悠々と舞い、最後は我々の頭上を通過していきました。カナダヅルがいなかったことからその後は別の場所に行ってみました。間もなくお昼だというのにまだまだかなりの数のタンチョウの姿があり、丁寧に見てみましたがここでもカナダヅルに出会うことはできませんでした。ただ川岸の草地には30羽ほどのベニヒワの群れがいて、盛んに草の実をついばんでいました。よく見てみると胸まで真っ赤なオス個体が含まれ、なかなかじっくり見られませんでしたが、最後の最後でようやく望遠鏡に捉えて観察することができました。また川から飛び立ったタンチョウの姿も何回か見ることができました。その後はこの冬、つがいと思われる2羽で見られているエゾフクロウを見に行きました。先週に比べるとかなり積雪が増えた道を歩いて行くと、この日も樹洞で仲良く休んでいる2羽のエゾフクロウを見ることができました。ただ彼らは日中は休んでいるため短時間で切り上げて鶴居村のサンクチュアリーに移動しました。ここでも相変わらず強風が吹き荒れる中、100羽ほどのタンチョウが集まっていて、この冬に見られていたマナヅルの姿もありました。その後はこの日最後の探鳥地、屈斜路湖に向いました。ただこの頃からは風だけではなく雪も激しく降り出してきてしまいました。到着するとわずかな湖面に群れているオオハクチョウが見られ、ほかにもマガモ、カワアイサ、ヒドリガモの姿もありましたが、状況はほぼ吹雪のようになってしまい、小鳥類を探すのはかなり厳しい状況になってしまいました。それでも地上を這うようにして餌を探すツグミが見られ、林ではシロハラゴジュウカラ、ハシブトガラが見られました。ただ吹雪がかなり激しくなってしまったため別の場所に行ってみることにしました。ここでは風はかなり遮られていましたが鳥影は薄く、シロハラゴジュウカラやハシブトガラ、シジュウカラ、わずかに空いた湖面にはオオハクチョウ、カワアイサ、マガモの姿がありました。

28日、この日の午前中は流氷に群れるオオワシ、オジロワシを観察するため06:30に出発して羅臼町に向かいました。ただこの日も早朝から相変わらず風が強く、05:30発の早朝便はすでに欠航が決まっていました。本当にこの状況で船が出るのか半信半疑の中、ひとまず羅臼町に向けて走りましたが、ちょうど07:00に電話があり欠航が伝えられました。そのため来た道をやや戻ってまずは公園に行ってみました。風が強く吹雪のような状況ながらもシロハラゴジュウカラの声が響き、頭上の木にはハシブトガラが2羽でやってきてくれました。また針葉樹にはシメが群れていて、どこからともなく飛んできたアカゲラが木に止まっていました。その後はさらに雪が激しく降る中、休憩をしてから漁港に行ってみました。ここでも猛烈な風が吹く中、漁港内にはかなりの数のスズガモが群れ、ウミアイサ、カワアイサ、ヒメウ、ホオジロガモが見られ、その後は野付半島に向いました。海が見えるとあたりまで来ると、驚いたことに大量の流氷が接岸していて海面がほぼ見えないくらいでした。先端部に向って進むとここでも数羽のベニヒワに出会うことができ、地上を跳ね歩きながら必死に餌を探していました。野付半島ビジターセンターで休憩した後は来た道を戻り、ここでは20羽ほどのハギマシコの群れに出会うことができました。その後はやや空が明るくなって雪の降り方が弱まる中、漁港に行ってみました。ここではかなりの数のウミアイサとそこに混じるホオジロガモのメスが見られ、反対側の漁港は氷に覆われていたものの、わずかに開いた水面にシノリガモ、ホオジロガモ、ウミアイサの姿がありました。その後はさらに南下し漁港に行ってみました。ここでも漁港内のほとんどが氷に覆われていましたが、幸いなことにつがいと思われるコオリガモを見ることができ、さらに別にも3羽のコオリガモの姿を見ることができました。その後はトイレに立ち寄ってから移動し、各自昼食を購入してから道の駅にて昼食の時間を取りました。ただここまできてもかなりの強風だったことから公園や林での探鳥は諦め港に行ってみることにしました。ここでも漁港内はかなり波立ってはいましたが、いきなり目の前にケイマフリの姿があり、みるみる近寄ってきたため間近に観察することができました。本来は外洋にいつ海鳥のため船に乗らないと見られない鳥ですが、かなり外洋が荒れていたため漁港内に避難してきていたのでしょう。その後はクロガモのオスも間近に見られ、堤防上ではかなりの数のオオセグロカモメ、ワシカモメ、シロカモメが休んでいました。海上を見るとクロガモが群れていて、ここでもつがいと思われるコオリガモに出会うことができ、しばらく見ているとどんどん近づいてきてくれました。その後は漁港に向い、ここでは漁港内に100羽単位で休んでいる大型カモメ類の群れが見られ、ウミアイサ、キンクロハジロ、ホシハジロ、そして間近にヒメウが浮上し、たった1羽ながらコオリガモのメスが見られました。そして最後は納沙布岬まで行ってみました。ただこの日はかなりの強風で立っているのがやっとくらいの状況でした。

29日、この日は港に行く日程でしたが、前日に探鳥を終えていたこと、またここまで強風の影響で小鳥類の探鳥をほぼしていなかったことから朝食後にホテルからほど近い場所にある公園に行ってみました。ただ残念なことにこの日も強風の勢いは衰えることなく、むしろ前日よりも吹き荒れている感じすらしました。到着すると間近にシロハラゴジュウカラがやってきてくれ、地上を歩くシメの姿もありました。さらに歩くとウソのオスが地面で餌を探していて、強風にあおられるかのように、オジロワシ、オオワシが飛んでいました。ウソが飛び去ったほうに歩くと、オス2羽、メス1羽の計3羽のウソがせっせと新芽をついばんでいて間近に観察することができました。その後はこのツアー最後の探鳥地に向いました。まずは漁港に入ってみると強風を避けるかのように堤防下にかなりの数のスズガモが群れ、その中にはホシハジロ、カワアイサ、ウミアイサ、堤防上にはクロガモ、オナガガモの姿がありました。その後はまず岬に向い、念のため別の岬にも行ってみました。ただ残念ながらケアシノスリの姿はなく、駐車場に戻りました。すると道路わきの草地で餌を探している2羽のハギマシコに出会うことができ、しばらく観察しました。強風は吹いていましたがその後はバスを降りて岬に向い、最近よく見られているラッコを探してみました。するとこの日は2頭のラッコが仲良く海上に浮いていて、しばらく見ていると岩礁に上がって休む姿も見られました。そして最後は展望台から崖に止まっているオオワシを観察して探鳥を終えました。

長らく企画してきた冬の道東めぐりはここ数年、撮影主体のフォトツアーだけを企画していきましたが、このツアーでは志向を変えて短期間ながらさまざまな探鳥ポイントをめぐれるようにし、両日シングル部屋利用でのんびり過ごしていただけるようにしてみました。ただ今回はたまたま低気圧の通過に伴い3日間共に強風というコンディションになってしまいました。そのため流氷観光船からのオオワシ、オジロワシ観察ができず、吹雪のため小鳥類の観察も十分にできなかったことは残念でした。ただこの冬は冬鳥の飛来状況が良かったことから2カ所でベニヒワ、ハギマシコが見られ、漁港めぐりに変更した2日目にはケイマフリが間近に見られたほか、コオリガモ、シノリガモ、クロガモ、ウミアイサ、カワアイサ、ホオジロガモなどのカモ類、シロカモメ、ワシカモメをたっぷり見ることができました。ほかにも仲睦まじいつがいのエゾフクロウ、雪原に舞うタンチョウ、飛翔するオオワシ、オジロワシ、公園ではハシブトガラやシロハラゴジュウカラ、ウソ、シメ、キバシリなども見られました。北海道は季節や場所を問わず野鳥や野生動物が楽しめるところです。また季節や場所を変えてお出かけください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

オオワシ 撮影:島田真司様

 

ラッコ 撮影:T・Nao様

 

タンチョウ 撮影:島田真司様

 

タンチョウ 撮影:T・Nao様

 

ヒメウ 撮影:島田真司様

 

オオワシ 撮影:島田真司様

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