【ツアー報告】鵡川・大沼・遊楽部 冬の道南めぐり 2022年1月8日~10日
(写真:オジロワシ 撮影:高橋洋夫様)
長らく1月恒例となっている冬の道南めぐり。冬の北海道といえばやはり人気が高い道東に押されている感がありますが、道東はどちらかというと大型の鳥種が中心です。一方、この道南は冬の小鳥類、猛禽類、カモ類、カモメ類と冬の北海道としては比較的さまざまな種が観察できることが最大の特長で、オオワシやオジロワシ、そしてほかのツアーでは出会えないコクガンが毎回見られています。ただ道東に比べて道南は冬に訪れる探鳥地の中でもとにかく積雪量が多い探鳥地で、毎回運行がスムーズに行くかどうか心配になるほどです。今回は一週間前の時点では全く積雪がないという連絡をいただいていましたが、出発直前には東京都内でも10cmほどの積雪があったように、道南もかなりの積雪があったとの連絡をいただきました。
8日、すっきりした快晴の羽田空港を予定通り出発してひとまず千歳空港に向いました。到着後は現地集合おお客様と合流し、観察機材の準備をしていただいてからバスにて出発しました。空は快晴、空気は冬の北海道らしく冷たかったですが気持ちよく感じました。最初のポイントでは各自昼食の時間としていただき、その後は湖畔まで行ってみました。湖は全面凍結していて、遠くにオオワシ、オジロワシの姿があり、付近の林ではヤマガラが歌っていましたが、快晴無風という好条件のわりには小鳥類の気配はありませんでした。その後移動しましたが、途中にある公園に立ち寄ってみました。ここは地元のバードウォッチャーの間ではイスカがよく見られる公園として有名で、周囲には松の木だらけです。この日は残念ながらイスカの姿はありませんでしたが、どこからともなくカササギが飛んできてくれ、しばらく観察した後はナナカマドの実に群れるツグミの姿も見ることができました。その後は海上を見てみましたが、とにかく海ガモ類の少なさには驚かされました。それでもシノリガモ、クロガモ、ホオジロガモ、カンムリカイツブリが見られ、小雪が舞い始める中、この日の最後の探鳥地に向かいました。まずはトイレに寄り、それからまずは漁港に行ってみました。同様に海ガモ類は少なかったですが、コガモの群れやそれに混じるクロガモのオスが間近に見られ、この日はかなりの数のホオジロガモの姿があり、ほかにもカワアイサ、シノリガモ、ホシハジロ、カンムリカイツブリが見られ、それらに襲い掛かるオジロワシが我々の頭上を低く飛んで行ったり、堤防に止まっている姿を見てから小雪が舞い始める中、この日の探鳥を終えました。
9日、深夜に雪が降ったようで、周辺は真っ白でしたが朝から快晴の中、出発しました。途中、立ち寄ったPAでは見事な青空の中、美しい雪景色が見られましたが、その後は次第に雪が舞い始め、到着したポイントでは雪が舞う中での探鳥となりました。ただこの日は川の上流部にはワシの姿が全くなく、そのため川面で餌を探しているカワガラスやマガモの群れを見てから河口方面に戻り、最後に立ち寄った橋ではようやく青空が戻ってくる中、オオワシ、オジロワシの優雅な飛翔を見ることができました。その後は一旦、トイレに立ち寄ってから河口に向かい、ここではようやく間近に止まっているオオワシの成鳥を見ることができ、飛翔するオオワシ、オジロワシ、また川ではオオハクチョウの群れやカワアイサ、ミコアイサ、ホオジロガモを見ることができました。その後はさらに函館方面に南下し、途中に立ち寄った道の駅で昼食、その後は周辺の林を歩いてみましたが、ビンズイの姿があるだけでした。その後は漁港をめぐり、オオセグロカモメ、ワシカモメを間近に観察してから次のポイントに行ってみました。ここも松林があることからイスカのポイントとして知られている場所ですが、この日は小鳥の気配はなくわずかにヤマガラの姿があったのみでした。周辺が薄暗くなってきましたが、まだ少々時間があったことから道の駅周辺を見てみました。すると7羽と数は少ないながらもコクガンの姿があり、薄暗くなるまで観察してこの日の探鳥を終えました。
10日、この日も早朝から晴天、気温-10℃の中、朝食後は海岸に向かう予定でしたが、ここまで小鳥類がほとんど見られていなかったことから予定を変更し、まずはホテル周辺を歩いてみました。するといきなり高木にミヤマカケスが止まり、その後も木々を渡り歩くように移動する姿を見ることができ、ふと見ると間近にアカゲラの姿があり、なんと周辺には同時に3羽のアカゲラの姿がありあました。またシロハラゴジュウカラが幹を登りながら餌を探し、ハシブトガラもやってきて賑やかになってきました。さらにはシメが高木に止まり、湖畔方面に歩くと針葉樹の枝先で餌を探すヒガラが見られ、よく見ると間近にはキクイタダキの姿もあり、珍しく目線ほどの高さでしばらく餌を探し、時には地面近くまで降りてきていて驚きました。またハンノキには10羽ほどのマヒワの群れが見られ、青空に黄色い姿が映えていました。その後はキャンプ場に立ち寄り、美しい雪景色の中で駒ケ岳を見てから道の駅に立ち寄ってから再びコクガンを見に行きました。この日は良い光線状態の中、数を増やしていたコクガンを見ることができましたが、どこからともなく飛んできたオジロワシに蹴散らされてしまい飛び去ってしまいました。ただ岩礁にいるワシカモメやヒメウの群れ、そして50羽ほどの大群で行動するウミアイサが見られ、最後は再び大沼公園でアカゲラ、シロハラゴジュウカラ、ハシブトガラなどを観察してツアーを終了しました。
さて、晩秋の頃から北海道各地に行く機会をいただいておりますが、どういうわけかこの冬は道東ではオオワシの姿が少なく、そして何より驚きだったのが海ガモ類の少なさでした。冬の小鳥類に関しては、何年かの周期で極めて少ない年があることからそれほど驚いてはいませんが、毎年、ほとんど増減を感じない海ガモ類の少なさは驚きでした。今回は道南をめぐりましたが印象は同様で少々残念に感じました。ただ少ないながらもオオワシ、オジロワシの姿は堪能でき、海ガモ類もクロガモ、シノリガモ、ホオジロガモ、ウミアイサ、さらにはカワアイサ、ミコアイサ、そしてこのツアーの隠れた主役でもあるコクガンにも出会うことができました。小鳥類は本当に少なかったですが、ハシブトガラ、シロハラゴジュウカラ、ミヤマカケス、シメ、マヒワ、そしてキクイタダキをじっくり観察できたことは幸いでした。
さて、ようやく終息が見えかかったコロナウイルスですが、急激な感染拡大が広がりはじめてしまいました。今後もガイドの定期的なPCR検査の実施、ツアーに関しては基本的な感染対策の実施、また皆様には参加前およびツアー中の検温にご協力いただくなどご苦労をおかけいたしますがどうかご協力ください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史