【ツアー報告】冬の道南巡り 2019年1月13日~15日

(写真:ヤマゲラ 撮影:松岡哲弘様)

1月恒例の冬の道南巡りは毎回、苫小牧から函館エリアを巡ります。この冬はどうにも冬の小鳥類の姿が少なく、北海道内からも同様の知らせが届いていました。この道南エリアもさまざまな情報をいただける状況にあることから、事前にいろいろと調べてみましたが、やはり同様に良い情報がなかったことから直前にさまざま検討し、直前ではありましたが行程を変更して巡ることにしました。毎回、積雪が極めて多い探鳥地ではありますが、今回は幸い積雪量が少なく、また3日間これといった不安のない天気予報の中、出発することができました。

13日、快晴の羽田空港を予定通り出発して千歳空港に向いました。到着後は現地集合のお客様と合流してから各自観察機材の準備をしていただいてからバスにて出発しました。昨年から北海道をめぐるツアーの全て、また冬の九州ツアーなど多くのツアーを「バス座席お一人様2席」に変更したため、最大人数も少なくなり、また移動中もゆったりお過ごしいただけたかと思います。この日は海が見える探鳥地を中心にめぐる予定にしていましたが、以降、冬の小鳥類の良い情報がなかったため、この日はまず森に向かい、主に小鳥類を観察することにしました。到着後、バスを降りるとカラマツにツグミが止まり、オジロワシが飛んでいました。林内に入るとヤマガラ、シジュウカラ、ハシブトガラ、シロハラゴジュウカラが賑やかに出迎えてくれ、ハリギリの実を食べるヒガラ、コゲラ、また枯れ木を独特のリズムで登るキバシリも見られました。またハイタカが飛翔すると小鳥たちが一斉に警戒の姿勢をとっていたのが印象的でした。幸いにもそれほど積雪がなかったことからさらに奥に進むと、池ではホオジロガモのメスの姿があり、再びシロハラゴジュウカラが貯食行動を見せてくれました。ただこの日に一番目立ったのは意外にもツグミで、木の実に群れる姿が見られたほか、群れで飛び回る姿も見ることができました。そして期待されていたエゾフクロウにも出会うことができ約2時間ほどの探鳥の後、河口に向いました。まずは漁港に行ってみましたが、この頃からはやや風が出始めていてかなりの寒さを感じました。この冬はカモ類もかなり少なく、この日も漁港内にはホオジロガモ、カワアイサ、クロガモ、ウミウ、そしてコガモの群れが浮いているのみでした。観察していると見る見る陽が傾いてきたため、草地のポイントに移動すると、向かい風をうまく利用しながら飛ぶ、ハイイロチュウヒのメスが現れてしばらくの間、飛翔しながら餌を探す様子を楽しませてくれました。またホバリングするノスリの姿も見られましたが期待していたコミミズクは残念ながら姿を現しませんでした。

14日、昨夜は温泉をお楽しみいただき、この日は穏やかな晴天の中、08:00にホテルを出発しました。過去、このルートは吹雪に見舞われることが多く、時には予定時間をオーバーすることなどもありましたが、この日は信じられないくらい穏やかな上、路面に積雪がほとんどなく小春日和といった印象でした。途中休憩を挟んで到着後は川の上流に向かいました。最初のポイントでは周辺の木々に止まるオオワシ、オジロワシの姿があり、オオハクチョウの群れの見事な飛翔も見ることができました。また次のポイントでも木々に止まるオオワシ、オジロワシの姿があり、青空を背景に飛翔するオオワシの成鳥も見事でした。その後は一旦トイレ休憩の時間をとりましたが、なぜか周辺をオオワシとオジロワシが飛翔し始めたことから観察していると、いつの間にか我々の頭上で旋回飛翔し青空を背景に見事な「ワシ柱」となり印象的でした。またいつの間にかハイタカも加わって飛翔していました。その後は河口に向いましたが、たまたま橋の付近にオオワシが群れていたことからバスを降りて橋の上から観察することにしました。ここではオオワシの成鳥が目立ち、一本の木に5羽が群れ、川面に目を移すと、オオハクチョウ、カワアイサ、ミコアイサ、ホシハジロ、キンクロハジロの姿もありました。その後は積雪が少なかったことから河口まで行くことができました。穏やかな海面を眺めると必ずしもカモ類が多くはありませんでしたが、ホオジロガモ、クロガモ、ヒドリガモ、そして珍しくコオリガモの群れが見られ、ビロードキンクロやハジロカイツブリ、そしてシロカモメ、ワシカモメ、カモメなどのカモメ類の姿もありました。やや時間オーバーしましたがこの後は昼食をいただき、その後は漁港で廃棄されたホタテ貝に群れるオオセグロカモメ、ワシカモメを間近に観察し最後にウミアイサ、シノリガモを見てから宿泊地に向かいました。

15日、この日はどんどん天気が悪くなるとのことで心配でしたが、早朝は薄曇りで風もなく、一部には青空も見えていました。朝食を07:00からいただき08:00からは周辺を歩きました。年によっては積雪が多く、森に入ることができないこともあるのですが、今回は幸いにも積雪量が少なかったことから歩くことができました。周辺からは鳥の気配はありませんでしたが、ハシブトガラ、ヤマガラ、シジュウカラ、そしてアカゲラの姿があり、幸い数羽のミヤマカケスが地上採食している様子を見ることができました。さらに進むとやや積雪量がありましたが、同様にミヤマカケスの姿があったため観察していると、いきなり頭上の高木にヤマゲラがやってきてくれました。どうやら2羽いたようで、その後は周辺の木々で採食行動する様子をしばらく観察することができました。その後はバスにて海岸に向かい、ここから時計回りに半島各所をめぐりながら函館空港に向かいました。ここでは主にコクガンを探しましたが、この日はなかなか見つからずまずは海上に群れるウミアイサとホオジロガモ、またシノリガモを観察しました。ただその後に立ち寄った岩礁で30羽ほどの群れで採食するコクガンに出会うことができ、警戒心が薄かったことからかなり近い距離感で観察することができました。その後も恵山国道を走り、途中にある道の駅で昼食をとり、その後は漁港付近で再びコクガンの群れ、そしてここまで見ることができていなかった美しいオスのシノリガモを観察してからやや風が出てくる中、岬までやってきました。風のせいか海上をミツユビカモメの群れが飛び、海上にはシノリガモやヒメウの姿がありました。ただよく見るとすぐ真下にシノリガモ、そしてここでもコクガンの群れに出会うことができ、最後にじっくりと観察してから函館空港に向かいました。

今年の冬の道南は珍しく穏やかで積雪の少ない3日間でした。この冬を象徴するかのように小鳥類の姿が少なく、これぞ冬の北海道というような種に出会うことができなかったことは残念でした。ただハシブトガラ、シロハラゴジュウカラ、ミヤマカケス、そしてヤマゲラ、エゾフクロウに出会うことができ、オオワシの成鳥の群れやオジロワシ、またコクガンは過去に記憶がないような大きな群れを観察することができました。またカモ類も少なかったですが、道南では珍しいコオリガモやビロードキンクロ、またホオジロガモやシノリガモ、クロガモ、カワアイサ、ウミアイサ、ミコアイサなどが見られました。北海道はとても魅力的な探鳥地のため、さまざまな季節にさまざまな場所でツアー企画しております。またの機会、ぜひ北海道にお出かけください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

オオワシとオジロワシ 撮影:川井れい子様

 

コクガン 撮影:松岡哲弘様

 

コクガン 撮影:川井れい子様

 

オオハクチョウ 撮影:松岡哲弘様

 

オオワシ 撮影:松岡哲弘様

 

ハイタカ 撮影:松岡哲弘様

 

アカゲラ 撮影:松岡哲弘様

関連記事

ページ上部へ戻る