【ツアー報告】大洗の海鳥と涸沼の猛禽類 2022年2月7日

(写真:シノリガモ 撮影:坂東俊輝様)

平成27年にラムサール条約登録湿地となった茨城県の涸沼と海鳥たちが楽しめる大洗海岸をセットにした毎冬恒例の日帰りバスツアー。ここまで涸沼の主役であるオオワシが残念ながら昨冬から飛来しなくなり、この冬も今のところ飛来していません。それでも涸沼周辺の広大な畑地は猛禽類の宝庫であり、そこから僅かな場所にある大洗海岸はそれに負けることがない海鳥たちの宝庫です。このツアーでは涸沼と大洗海岸とそれに付随しているさまざまな環境を巡ることから、数ある日帰りバスツアーの中でも毎回観察種数が多くバリエーションが豊かなことが特長です。風が吹くと寒さがかなり厳しくなる環境をめぐるツアーではありますが、この日は幸いにも天気も良く、穏やかな1日になるとのことでした。

7日、朝から快晴の東京駅前を予定通り出発して、この日は茨城県方面を目指しました。移動中のバス車内では今日見られそうな鳥の解説をしながら進め、途中にあるサービスエリアで観察機材準備をしていただいてから再度出発し、まずは涸沼の西端にある干拓地から探鳥をスタートしました。干拓地内を走っているとオオハクチョウの群れが休んでいたためまずは観察し、周辺ではノスリ、ツグミ、そして暖かな陽気のせいかヒバリのさえずりが聞こえていました。その後はトイレ休憩を挟んで涸沼の南側に行ってみましたがとにかくこの冬はカモ類が極端に少なく、湖面にはスズガモ、キンクロハジロがわずかに浮いているだけでした。ただ周辺のヨシ原ではベニマシコ、アオジ、モズの姿がありました。時間もそろそろお昼になったことから一旦、各自昼食をとっていただき、午後からは大洗海岸をめぐりました。潮位が低い日を選んでいるため、この時間帯は見事な岩礁が広がり、そこにはカルガモ、ヒドリガモが群れ、よく見ると岩礁で休むシノリガモが複数見られ、特徴的な姿を堪能することができました。またウミアイサも少ないながらも海上に浮いていて、中には岩礁帯で餌を探している個体もいました。また岩礁には緑色に輝くヒメウ、そしてウミウが止まっていて、ハマシギの群れもどこからともなくやってきては岩礁で餌を探していました。また海上にはわずかながらアカエリカイツブリの姿もありましたが海ガモ類、カイツブリ類の姿が極端に少ない印象でした。その後はさらに進んで場所を変えてみました。ここでは間近に餌を探すウミアイサのメスの姿があり、ほかにも若いシノリガモのオス、メスの姿も見ることができました。その後は涸沼に戻りながら小さな漁港に入ってみました。ここでは幸いなことに羽繕いをしている3羽のヨシガモ、イソシギが見られましたが、突然現れたミサゴに驚いて飛んで行ってしまいました。そして大洗海岸の最後は河口に向かい、ここでは間近に群れているヨシガモをじっくり観察したほか、海上に群れているユリカモメ、ウミネコ、カモメ、セグロカモメが見られ、テトラポットにはミユビシギが群れていました。そしてこの日の最後は再び涸沼に戻ってチュウヒの登場を待つことにしました。待っている間にはミサゴが上空を飛び、ヨシ原ではオオジュリン、カワラヒワ、そしてツグミの群れが飛び回っていました。お目当てのチュウヒは思ったよりも遅くに登場してくれ、枯れ木に止まりました。おかげでじっくりとその特徴を見ることはできましたが、残念ながら飛翔する姿を見ることはできず、日没と共にこの日の探鳥を終えました。

海鳥と猛禽類をメインにしたツアーであるにも関わらず、この冬は海水域に生息しているカモ類、カイツブリ類が極めて少なく、また猛禽類もそれほど多くないという残念な状況でした。常連のクロガモ、ハジロカイツブリ、ミミカイツブリが見られなかったほか、漁港内には全くカモ類がいませんでした。ただそれでもシノリガモ、ウミアイサ、ヨシガモ、タゲリといった主役たちがなんとか見られ、ミサゴ、ノスリ、最後は大陸型チュウヒも現れてくれ、なんとか形になりました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

ヒメウ 撮影:嶋徹様

 

チュウヒ 撮影:坂東俊輝様

 

オオハクチョウ 撮影:嶋徹様

 

ウミアイサ 撮影:坂東俊輝様

 

ヨシガモ 撮影:嶋徹様

 

ヨシガモ 撮影:坂東俊輝様

 

シノリガモ 撮影:嶋徹様

 

ミサゴ 撮影:坂東俊輝様

 

ヨシガモ 撮影:嶋徹様

関連記事

ページ上部へ戻る