【ツアー報告】冬の道東巡り 2017年2月17日~20日

(写真:オオワシ 撮影:瀧裕之様)

見どころ尽きない冬の道東。今年もこの定番ツアーの季節がやってきました。主役となる鳥たちはオオワシ、オジロワシ、シマフクロウ、タンチョウといった大型種が中心ですが、その年その年ごとにやってくる冬鳥たちや個性的な色合いの海ガモ類は魅力的で、今回も漁船を使ったクルーズでウミスズメ類も観察するなど思い切って見どころ全てを網羅した形にしてみました。昨年は残念ながら流氷の接近がなかったですが、出発前の情報では流氷もやってきているとのことで、天気予報も概ね良いとのことでした

17日、この日は春の嵐との予報が出ており心配でした。羽田空港の待合室から外を見てみると確かに強風が吹き荒れており心配になりましたが大きなトラブルはなく、やや遅れたものの無事に空港に到着することができました。東京も最高気温が18℃になるとのことでしたが北海道も暖かいようでこの時期には珍しく小雨が降っていました。観察機材準備の後は宿に向かい、時間があることから途中にある漁港に立ち寄りました。ここでは塒入りのためかヒメウが飛び交い、海面にはホオジロガモ、スズガモ、シノリガモ、ウミアイサ、堤防上にはオオセグロカモメ、シロカモメ、カモメの姿がありました。ただほどなくして雨は雪に変わり、視界を遮るほどの本降りになってきたため宿に向かうことにしました。ただ宿の近くまでくると雪が止んでいたため明日に備えて流氷の状況を見に行ってみることにしました。眺めてみると海上に大きな氷はありませんでしたが、漁港の外にもある程度の流氷が見えたためちょっと安心して宿に入りました。到着後は17:30から夕食をいただき、その後は18:30に出発してシマフクロウ観察に向かいました。到着後は思いのほか寒さが厳しくない中でひたすらシマフクロウの登場を待ちました。ただ21:00頃からは雪を巻き上げるくらいの強風が吹き始めて条件が悪くなってきてしまいました。結局、予定をやや過ぎた22:45まで頑張っていただきましたがシマフクロウに出会うことはできませんでした。

18日、この日は05:00に出発して流氷観光船から海ワシを観察する予定でしたが、早朝の天候が悪いことから05:30に変更して宿を出発しました。昨夜の強風でほとんどの流氷が流されてしまい、思ったような風景ではありませんでしたが船は無事出港し、それを追うようにオオセグロカモメやワシカモメが乱舞し、ほどなくしてオオワシとオジロワシの姿が増えてきました。この日は成鳥個体が多いような印象があり、特に白、黒、黄色のコントラストが美しいオオワシの成鳥は見事でした。途中、風が吹いたり小雪が舞ったりとめまぐるしく状況が変わりましたがそれぞれに海ワシたちの勇壮な姿を堪能することができました。幸い漁港の奥に取り残された流氷がたまっていたため、流氷に止まるワシたちの姿も見ることができました。ただ、風のせいかとにかく寒い流氷観光船クルーズでした。一旦朝食に戻り再度出発して野付半島を目指しました。この頃には天候がさらに回復していたため国後島をはっきりと眺めることができました。野付半島では今季はこれといった鳥情報がないためさらっと流した程度でしたが、見事な角を持ったエゾシカやキタキツネが楽しませてくれました。そしてこの後は今冬、小鳥の情報が多い根室市内に向かいました。ここでは昨年末からユキホオジロとハマヒバリの情報がありました。ただこの日は小鳥類の姿はなく残念な結果となってしまいました。その後は漁港に向かい、根室の名物ともいえるコオリガモの姿を観察しました。コオリガモは地元ではその声から「アオナ」と呼ばれていて、この日も「アオナ」と聞こえる声でよく鳴いていました。また思いのほかクロガモが多くいたため「フィーフィー」という口笛のようなクロガモの声もよく聞こえていました。ほかにもビロードキンクロ、ウミアイサ、スズガモ、そして2羽のウミスズメの姿を見てから、最後に別の場所に立ち寄ってみることにしました。ここでは夕方に合わせてヒメウの塒入りが見られ、それに混じるチシマウガラスがよく見られています。たまたま12月のツアーでもその姿を見ることができたため寄ってみましたが、狙い通りこの日も良い場所にチシマウガラスの姿があり日没までその姿を観察してホテルに向かいました。

19日、この日は朝食後にクルーズに乗船する予定だったため風の状況が気になっていました。早朝に外を見ると意外に風があり心配でしたが、中止連絡がなかったことから予定通り06:30から朝食、07:30にホテルを出発して港に向かいました。到着後はライフジャケットの準備などをしてから08:30に出港しました。やはり風は相変わらずのため強い向かい風を避けて運航してくださるとのことで安心しました。漁港内では多数のコオリガモ、クロガモを間近に観察することができ、その後は外洋に出ました。外洋でもうまく追い風で探鳥できたことからはじめはそれほど寒さはなく波も思ったほど高くはありませんでした。この日はコウミスズメの姿が多く、間近にウミガラス、ケイマフリの姿を観察できる幸運もありました。またクロガモ、シノリガモが多く、アカエリカイツブリの姿もありました。ウミバトは数回観察できましたが銀白色に輝くアリューシャンタイプは観察できませんでした。帰りはやや風に向かう形になったため非常に寒さが厳しいクルーズでしたが強風の中出港できたことは幸運でした。その後は別の漁港でコオリガモ、湿原では殺風景な風景の中で生きるツグミの姿を観察し、最近、ベニヒワが観察された場所に向かいました。ここはハンノキが多く見られたため期待されましたがマヒワ、ハシブトガラの姿を見るに留まりました。ここからは一気に宿泊地に向かいましたが、途中にあるタンチョウの越冬地で幸いにも50羽ほどのタンチョウの群れに出会うことができ、思いがけず夕景のタンチョウの姿を観察する幸運がありました。

20日、日の出は06:15ですが05:00に出発してタンチョウの塒に向かいました。まだ真っ暗でしたが駐車場はほぼ満車状態ですでに立ち位置がないほどの込みようでした。しばらくの間バス車内で待機して05:50にポイントに行ってみましたがとにかくものすごい状況でした。ただ人と人の隙間からは川面で休むタンチョウの姿が見られ、徐々に活発な動きを見せ、時には鳴き交わし行動もしていました。塒から飛び立って行く姿を期待しましたがその様子がないため一旦ホテルに戻って朝食としました。朝食後はホテル前のナナカマドにやってきていた3羽のウソ、ヒヨドリが見られ、その後はタンチョウがやってくるサンクチュアリーに向かいました。到着時はタンチョウの姿はまだなく、ひとまず飛んでくるのを待つことにしました。待っている間にはハシブトガラ、ヒガラ、アカゲラが見られました。ただ09:00を過ぎてもタンチョウがやってこないことから再び塒に行ってみました。すると塒となっている川辺にはまだまだかなりの数のタンチョウの姿があり、良いタイミングで飛び立ってくれたため思いがけず良いシーンを見ることができました。そして最後は雪景色の中のオオハクチョウたちの姿を観察しに向かいました。ここは毎回のように小鳥類が観察されており、今回もわずかな時間の探鳥になってしまったにもかかわらずシメの群れやツグミ、そしてベニヒワをご覧になったお客様もいらっしゃり、最後は地上採食する2羽のヤマゲラの姿をじっくり観察して締めくくりました。

 今年の冬の道東は強風の影響で到着、出発が遅れましたが、探鳥の行程上のトラブルはなく進行することができました。ただ目玉だったシマフクロウに出会えず、また流氷もタイミング悪く遠く沖合に離れてしまったことは残念でした。しかし強風の影響なく2度の船上観察を行うことができたことは幸運でした。オオワシ、オジロワシは雪が舞う中で飛翔するシーンや流氷上のシーンを堪能することができ、タンチョウもさまざまなシーンを観察することができました。またコオリガモ、クロガモ、シノリガモ、クルーズではウミバト、ウミガラス、ケイマフリ、コウミスズメ、ほかにもチシマウガラス、ヤマゲラ、マヒワ、ウソなどが楽しませてくれました。非常に寒い時間帯も多く、夜遅くまでの観察や早朝からの観察など変化のある探鳥でお疲れではなかったでしょうか。ぜひまた季節を変えて北海道にお越しください。この度はお疲れ様でした。

石田光史

チシマウガラス 撮影:五月女憲様

 

ヤマゲラ 撮影:八神健一様

 

ケイマフリ 撮影:瀧裕之様

 

タンチョウ 撮影:五月女憲様

 

ウミガラス 撮影:八神健一様

 

オオワシ(左)とオジロワシ 撮影:瀧裕之様

 

ヤマゲラ 撮影:五月女憲様

 

コウミスズメ 撮影:八神健一様

 

オジロワシ(左)とオオワシ 撮影:瀧裕之様

 

ケイマフリ 撮影:五月女憲様

 

オオワシ 撮影:瀧裕之様

 

コオリガモ 撮影:五月女憲様

 

シノリガモ 撮影:五月女憲様

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