【ツアー報告】ハチクマの群翔に期待!五島列島・福江島 2022年9月22日~24日

(写真:ハチクマ 撮影:寺田祐治様)

22日、福岡からの便が定刻通り五島福江島空港に到着。その後は長崎便の到着を待つ。3日前台風14号が日本列島を通過したばかりだ。秋の渡りに良い影響を出してくれればと期待する。昨日まで涼しかったが、日が照って暑い。気温は26℃越えの夏日。長崎からの便も予定通り到着。準備をして出発する。今回からバス会社が変わり少し小さくなった。第1日目は午後スタートのためタカはお預け、水田地帯を中心に探鳥する。水田はちょうど稲刈り中で50%以上刈り取り済みと言ったところ。もうほとんど水が入っておらず乾燥気味。最初の印象、セッカばかりで鳥が少ない!それでもゆっくりと進む。餌を追って走り回るマミジロタヒバリを発見。残念なことにスコープに入れる前に飛ばれてしまう。それでも波状型に飛ぶ姿と特徴的なビジュン、ビジュンの声だけは残してくれた。前進、前進。程なくお客様がチョウゲンボウを見つける。双眼鏡で追っていると自分だけ見ている角度が微妙に違う。チョウゲンボウも確かに視野に入ったのだが、ウン!アカアシチョウゲンボウかな!?餌取りを繰り返し、捕まえたバッタを飛びながら食べている。アカアシ幼鳥。僅かに陽炎の立つ逆光気味の側ばかりを少し離れて飛ぶので微妙に色彩がハッキリしない。最終的にホバリングを交えた飛び方などから同定した。ここでは他にタシギ、クサシギ、タカブシギ等を観察した。次に西部に向かう。イソシギ、カワセミなどを見ながら河口方向にゆっくりと歩く。低空に数羽のハチクマが飛ぶ。既に時間は15時を過ぎていて周辺の山麓に塒を取るのだろう。あまり高くは飛ばず山陰に入っていく。ここも鳥は少な目で、稲はある程度刈り取られているもののタヒバリ類やセキレイ類等の群は見られなかった。バスに戻りかけた時、1羽のモズを見つける。上面頭・背は赤味が強く、下面はオフホワイト。目先はさほど黒くない。尾の上面が赤褐色に見えることからもアカモズ類だ。じっくり同定する前に運悪く車に飛ばされてしまった。亜種の同定まで至らなかったことから、一応、アカモズ幼鳥ということにした。時間も16時を回った。最後に広い水田地帯の川沿いの農道を走る。ここも鳥は少なかったが、獲物を追って飛び回るチゴハヤブサを確認でき、改めて今日最初に見たのはアカアシチョウゲンボウだったと得心した。また、遥か遠くの鉄塔上にもハヤブサ類を見つけるも同定までには至らなかった。ここで第一日目の探鳥は終了。ホテルに向かった。

23日、今日と明日の早朝がハチクマ渡り観察の本番。予報では雨模様。今朝は天候が心配された。とにかく、現地に行ってみなければわからない。バスが登って行くと曇天の空をバックに次々とハチクマが現れた。6時半、頂上直下の駐車場に到着した頃にはかなりの個体が頭上を舞っていた。祭日のためか、人出も多く頂上では50人程がハチクマの群れにカメラを向けていた。次々と群れが飛んでくる。あちこちにタカ柱が立っている。大盛況だ!10時前には雨が降り出したが、それまで全員が充分にハチクマの渡りを堪能できた。他にもサンショウクイやコムクドリの小群、低空を飛ぶ10羽程のハリオアマツバメとその中にクロビタイハリオアマツバメも確認することができた。別グループでコウライウグイス幼鳥を観察した者もいた。昼食まで時間があり、下山し草地を回る。ハクセキレイ数羽が居てうち1羽が黄色い顔をしたホオジロハクセキレイ幼鳥だった。他にもマミジロタヒバリを観察した。昼食後、北部に向かったが運悪く観察ポイントが道路工事中だったため水田地帯へ向かう。昨日観察したアカアシチョウゲンボウ幼鳥が採餌を繰り返していた。また黄色の羽衣が美しいムナグロの群れを近距離で観察した。予報では明日は一日晴れ模様。最終日に期待して二日目の探鳥を終了した。

24日、今朝は曇りだが雨は降らない予報。ポイントが近づくにつれ下からもハチクマの飛翔がよく見える。現地到着がもう30分早くてもいいかもしれない。ホテルを5時丁度に出発することになる。頂上に着くと休日も重なり70名を超える人出。最大90名だった。カメラのシャッター音が鳴り響く。ハチクマが次々に飛んでくる。今日はチゴハヤブサの成鳥、幼鳥よく舞う。アカハラダカも数が少ないものの近くを飛翔する。天候が回復基調のため、昨日のようにハチクマの群れが居残りや出戻りすることもなく高柱を作っては順調に渡って行く。10時前頃になると急に渡りも落ち着いてしまった。遠くのタカ柱も立っていない。時折、ノスリ、ハヤブサ、チゴハヤブサ、アマツバメなどが飛翔する。天候不順の時は中々渡らずに居残り組が増え近くを飛ぶことが多いが、逆に天候が良くなると高空に舞い上がり次々と渡って行ってしまう。数的には今日が千羽を超え今シーズン最高羽数となったが、不思議なもので770羽強だった昨日の方が充実感が大きく感じられた。正午になり昼食場所に向かう。ここは食事が炉端焼き風でとても美味しいのだが、それ以上に周囲の林にカラスバトが多数見られるところが魅力。今回も4羽のカラスバトを比較的近距離で観察することができ、大満足だった。いよいよ最後の目的地に向かう。バスを降りしばらく歩くと前方遠くに白サギが飛んでいる。小型で背と頭が褐色に見える。アカガシラサギ冬羽だ。あっという間に草の繁った水路に入り込んでしまい、結局出てこなかった。残念。その後、4羽のマミジロタヒバリ、チュウジシギ、十数羽のムナグロを観察した。アカアシチョウゲンボウは依然元気に飛び回りイナゴを捕っては空中で食べることを繰り返していた。ここでタイムアップ。空港へ向かった。

今回の五島列島福江島は、二日間に渡り十分にハチクマを堪能することができた。他のワシタカ、ハヤブサ類も出が良かったと思われる。またトピックとして、初日最初のアカアシチョウゲンボウに始まり、最終日最後のアカアシチョウゲンボウで終わったとても贅沢な印象に残るツアーになったのではないかと思う。ご参加の皆様、たいへんお疲れ様でした。そしてまたのご参加をお待ちしております。

波多野邦彦

クロビタイハリオアマツバメ 撮影:稲垣真様

 

ホオジロハクセキレイ 撮影:高崎由美子様

 

アカアシチョウゲンボウ 撮影:寺田祐治様

 

カラスバト 撮影:稲垣真様

 

ムナグロ 撮影:高崎孝二様

 

ハチクマのタカ柱 寺田祐治様

 

クロビタイハリオアマツバメ 撮影:稲垣真様

 

ハチクマ 撮影:高崎孝二様

 

ハリオアマツバメ 撮影:寺田祐治様

 

マミジロタヒバリ 撮影:稲垣真様

 

アカアシチョウゲンボウ 撮影:高崎孝二様

 

アカハラダカ 撮影:寺田祐治様

 

コサメビタキ 撮影:高崎孝二様

 

チゴハヤブサ 撮影:寺田祐治様

 

クロビタイハリオアマツバメ 撮影:寺田祐治様

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