【ツアー報告】6月初旬の大洗~苫小牧航路 2015年6月5日(金)~7日(日)

いよいよこの航路のベストシーズンも終わりに近づいてきました。早春の頃に北上をはじめた多くの海鳥たちは次々にこの航路上を北上して行き、春には種類数、個体数が増えるわけですが、早いものでもう後半です。多くのミズナギドリ類、そしてアホウドリ類はまた秋には南下し、繁殖地に向かうのですが、コースが若干違うようで春のように多くを見ることができません。そのため多くのミズナギドリ類を観察するには5月初旬~6月中旬が良く、今回もさまざまなミズナギドリ類を見ることができました。
5日、22:30にはご集合いただきましたので、今夜から明日の予定、船内の案内をお伝えし、このツアーで期待できる海鳥の解説をして乗船しました。
6日、この時期は04:30には明るくなり、夕方も19:00過ぎまで明るいため1日が非常に長い時期です。そのため私もこの日は日の出時間よりも遅い05:30からの開始としました。天候は曇りで小雨が降っていましたが、海況は良く早くもオオミズナギドリが飛び、黒いミズナギドリ類が飛んでいました。この時期は5月に比べてハイイロミズナギドリが多く、この黒いミズナギドリ類もほとんどがハイイロミズナギドリでした。強風の中ではなかったので飛翔パターンをじっくり見ることができましたが、ハシボソミズナギドリに比べて羽ばたきに力強さがあり、滑翔の時間は短く感じました。また翼下面の白色もぼやけた感じではなく明瞭に白い印象がありました。06:30にはクロアシアホウドリ、06:40には1000羽ほどのハイイロミズナギドリが着水状態から飛び立ちました。その後はコンスタントにクロアシアホウドリが現れ、07:10にはハイイロミズナギドリよりも細かい羽ばたきのハシボソミズナギドリが飛び、07:15には遠くにオオミズナギドリの群れが乱舞しているかと思うと、カマイルカがイルカショーのように跳ねはじめて盛り上がりました。07:30を過ぎると海鳥は少なくなってしまい、それに合わせるように風が強くなってきました。10:00を過ぎた頃からは再びクロアシアホウドリが現れ、ハイイロミズナギドリが途切れることなく飛び始めました。13:00にはようやく青空が見えはじめ5~6羽程度の群れで着水しているクロアシアホウドリの姿が目に付きはじめました。14:00にはようやくオオトウゾクカモメが現れて船を追い越すように飛んで行き、14:10にはフルマカモメ、14:40にはコアホウドリ、15:10、15:30にはトウゾクカモメ、16:45にはアカエリヒレアシシギが見られました。そして薄暗くなってきた18:15にハイイロウミツバメ、18:20にウトウ、探鳥終了後の19:10には数千羽のハシボソミズナギドリが塊のようになって飛翔する様子が観察できました。
7日は早めの04:30から探鳥を開始。天候は晴れで昨日よりも海況は穏やかです。早朝からハイイロミズナギドリが飛び、時よりハシボソミズナギドリの姿もありました。また、北の海域らしくイシイルカの姿が多く見られました。05:00を過ぎた頃からはクロアシアホウドリが見られ、05:30にはトウゾクカモメ、05:45にはフルマカモメ、06:00頃には流れていたゴミの周囲に多くのフルマカモメが浮いていました。またハイイロヒレアシシギ、アカエリヒレアシシギの姿もありました。08:00には船体の脇をムシクイ類と思われる小鳥が飛び、09:20には再びトウゾクカモメ、09:55には漁船についているクロアシアホウドリが見られました。その後、一旦海鳥は減ってしまいましたが11:40には数百頭のカマイルカの群れが見られ、30羽ほどのクロアシアホウドリが浮いていました。12:20にはオオトウゾクカモメが船体脇を飛びました。午後からはハイイロミズナギドリとオオミズナギドリ、クロアシアホウドリがコンスタントに現れ、それらを見ながら18:30まで観察して終了しました。
今回は雨あり風あり、時には日焼けするほどの晴天ありの2日間でした。アホウドリの姿を見ることはできませんでしたが、海鳥北上期らしくハシボソミズナギドリ、ハイイロミズナギドリ、アカアシミズナギドリが見られ、フルマカモメ、オオミズナギドリも合わせるとさまざまなミズナギドリ類が見られました。またカマイルカ、イシイルカ、この時期の主役であるオオトウゾクカモメの姿もありましたが、全体的には海鳥の個体数がやや少なかった印象でした。今後の大洗~苫小牧航路は海鳥の個体数が少ない時期になりますが、珍しい種が見られることから種を絞った探鳥になります。またぜひご乗船ください。皆様お疲れ様でした。
石田 光史

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