【ツアー報告】ブッポウソウとチゴモズが棲む松之山の森 2020年7月3日~4日

(写真:チゴモズ 撮影:武藤政男様)

コロナウィルス感染拡大の影響から5月のツアーが全て中止になってしまい、ようやく6月19日から国内旅行が可能になりました。ただあまりにも残念だったため、中止になったツアーの中から時期を変えて再企画できるものを選び、なんとかこのツアーを催行できることになりました。主役となる2種に関しては観察には概ね問題はないものの、やはり時期的には小鳥類のさえずりは少なく、なにより葉が茂ってしまうことから見つけることは容易ではありません。しかも今回は事前の天気予報がかなり悪く、空模様を見ながらの進行となってしまいました。

3日、どんよりとした早朝の東京駅前にご集合いただき検温を行ってからバスに乗車していただきました。天気予報は若干変わり、今日に関してはなんとか日中は持ちこたえそうだとのことで、途中、立ち寄ったサービスエリアでは雨はなく、青空が見える場面もありました。ひとまずバス車内ではこのツアーで観察が期待できる種の解説などをしながら進み、翌日の天気予報を加味して探鳥予定を変更することにしました。この日はなんとか雨には打たれないだろとの判断から今日のうちに目的の2種を観察できるよう巡ることにし、まずは松之山に向かい、ひとまず昼食、そして観察機材の準備をしていただきました。本来ならばここで探鳥といきたいところですが、とにかく主役の2種を今日のうちに観察するということで、まずはチゴモズを探しに行きました。到着するとサシバの姿が目立ち、「ピックイー」という独特の声も聞かれ、ほかにもカッコウ、ホトトギス、ノジコ、ホオジロなどが鳴いていました。しばらく待っていると杉の高木に止まるチゴモズのオスを見ることができ、その後は徐々に距離を詰めながら探してみました。なわばり宣言時のような鳴き声がしないため、なかなか探しづらく、チラッとは見られるものの決定打はありませんでした。ただ最後の最後でようやくオス、そしてメスに関しては羽繕いをしてくれたため比較的ゆっくりと観察することができ、その後は急いでブッポウソウを観察しに向いました。ポイントまで時間がかかることから途中休憩をはさんでからポイントに向かいました。ただこの日は移動中のバス車内からもブッポウソウが飛び回る様子が見え、到着後も同様にフワフワとした独特の飛翔を見せてくれたり、じっと止まっている姿を見せてくれました。ブッポウソウは飛翔している姿が特に美しく、体のわりに長い翼と、翼にあるライトブルーの斑が印象的です。この日は成鳥数個体を見ることができ17:00に探鳥を終えました。大胆に行程を変えましたが、幸い雨に打たれることなく目的の2種に出会うことができました。

4日、昨夜からはほぼ天気予報通りに雨が降り出し、深夜にはかなり激しく降っていたことから心配していました。ただ早朝探鳥出発時には雨は降っておらず、一部で空が明るくなっているほどだったため予定通りブッポウソウのポイントに向かいました。ここ数年、松之山周辺ではすっかりアカショウビンに出会えなくなってしまっていますが、このポイントでは安定的にアカショウビンの声が聞かれており、そのため早朝に毎回行くようにしています。曇り空ながら遠くの山々まで見渡すことができ、早朝らしくキビタキ、オオルリ、クロツグミのさえずりが聞こえ、相変わらずブッポウソウが飛び回っていました。少し歩いて行くと幸いにも杉の木のてっぺんでオオルリが歌いはじめ、ようやくその姿を見ることができ、続けざまに同じ木でホオジロも歌い出しました。さらに進むと霧で霞む中、ブッポウソウが止まり、姿は見られませんでしたがノジコの歌が聞こえてきました。戻る途中にはヒガラがやってきて歌い、オオルリが歌っていた杉の木に今度はサンショウクイが止まってくれました。朝食のため一旦宿に戻った後はたまたま宿でいただいた商品券を使おうと物産館に立ち寄ってから松之山に戻り、昨日立ち寄る予定だった場所をめぐりました。ただこの日は早々に小雨が降り出し、最初に向かったブッポウソウのポイントでは激しい雨の中での探鳥になってしまいした。周辺ではこの日もサシバの姿が目立ち、雨に打たれながら木に止まったり、飛翔したりと楽しませてくれましたが、ブッポウソウに出会うことはできず、その後はチゴモズのポイントに向かいました。ここでは雨が一時的に上がり、イカル、オオルリ、ノジコ、そしてホトトギス、カッコウ、オオヨシキリといった鳥たちの声は聞こえましたが、残念ながらチゴモズの姿はなく一旦、昼食の時間としました。午後からも雨の状況を見ながらの進行ではありましたが、さすがに小鳥類は見づらい時期のため、最後にもう一度チゴモズを探してみることにしました。現地では残念ながら気配はありませんでしたが、カワラヒワの親子などを見ながら歩いていくと、幸いにも木に止まっているメス個体を見ることができ、しばらく観察しているとなんと巣立ったばかりの幼鳥、さらにはその幼鳥に餌を与える様子まで観察することができ、最後の最後には雨が降る中ではありましたが、オス、メス共に観察することができました。ただ状況が状況のため僅かな時間で切り上げることにして現地を去り、最後は小雨が降る中ではありましたがブナ林を散策し、さえずるキビタキやクロツグミの歌を聞いて探鳥を終えることにしました。

今回は再企画にあたりさまざまなことがあり、うまく行くか微妙ではありましたが結果的にはツアーを催行することができました。残念ながらお天気には恵まれませんでしたが、主な目的であったブッポウソウとチゴモズに出会うことができ、時期的に育雛シーンが見られればと期待していたところ、幸いにも見ることができました。また当地らしく、オオルリ、サンショウクイ、ノジコ、サシバ、イカルなどにも出会うことができした。今回ご覧いただいた通り、現地はのどかな山村です。当地が騒がしくなることなく、生息する野鳥たちが安心して暮らしていけるようご配慮いただけましたら幸いです。この度は天気予報が芳しくない中、ご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

オオルリ 撮影:武藤政男様

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