【ツアー報告】フォトツアー春の三宅島 アカコッコとアホウドリを撮る! 2023年4月15日~16日
(写真:アホウドリ 撮影:一ノ瀬徹様)
竹芝桟橋から乗船することができ、わずかな時間で訪れることができる三宅島は、身近な離島であると共に我々バードウォッチャーにとってはとても魅力的な島です。本来であれば全ての夏鳥たちが出揃う5月初中旬がベストシーズンですが、今回は三宅島のシンボルバードでもあるアカコッコと、この時期いよいよ終盤を迎える春の伊豆諸島航路の主役、アホウドリをセットにした新企画。土曜日の夜に出発して日曜日の夜に帰着。三宅島滞在は8時間ほどというやや忙しい日程ではありますが、普段、忙しくてなかなか離島に出かけられないとうお客様には良い日程ではないでしょうか。ただ、この時期の伊豆諸島航路は荒れ模様の中を進むことが多くなかなか安定しません。この日はたまたま低気圧の通過のタイミングに当たってしまい、早々に担当者の方からお電話をいただくなど状況を見ながらの進行となりました。
15日、私は20:00には竹芝桟橋に到着して準備を進めましたが、この時点で早くも三宅島、御蔵島、八丈島のすべてが条件付きという珍しい状況でした。予報では波高は2.5m、風は三宅島付近では西の風13mでした。予定通り21:30にご集合いただいた後は現状、そして翌日の対応についてご説明し、三宅島にはじめていかれる方もいたらっしゃったことから、島内の探鳥地についてもご説明してから22:00に乗船開始。この日はほかに出航する船がなかったことからかなり静かな乗船風景となる中、定期船橘丸は定刻の22:30に三宅島に向けて出港しました。
16日、東京湾を出るとかなりの大揺れだろうと恐れてはいましたが、意外なほど揺れを感じることがないまま時間が過ぎました。ただそれでも04:00頃に起きると少々の揺れと衝撃がありました。いつもならば04:30には放送が入るのですがこの日はまだ動きはなく、少々遅れて04:45頃に御蔵島は欠航が決定、三宅島に関しては西風を避けて東側にある三池港に向かい05:00に着岸するとのことでした。予定通り皆様には下船口まで来ていただき、着岸後は下船していただきバスに乗車していただきました。天気は予報通り小雨が降っていました。橘丸は御蔵島を通過して八丈島に向かうとのことでしたが、引き返してくる可能性が高かったことからひとまず情報が得られる場所にいなくてはならないので、まずは予定通り最初の探鳥地に向かいました。到着後は風が強まり、時折雨が強まる中、バス車内にて各自朝食の時間としていただきました。06:30を過ぎたころには雨が小降りになったこと、また橘丸が予定通り八丈島に向かったことが確認できたことから移動しました。到着後はメインとなる遊歩道を一緒に歩いていただきました。道では間近にイイジマムシクイ、タネコマドリがさえずり、イイジマムシクイは枝先でさえずる姿を見せてくれました。その後は一旦、引き返して別のルートに向かいました。この頃には空は一部に青空が見えていてカワラヒワが飛び回っていました。遊歩道に入るとイイジマムシクイのさえずりに包まれ、ミヤケコゲラが枯れ木をつついていました。湖面が見えるとミサゴが飛び、ダイサギが枯れ木に止まっていました。その後も各所でイイジマムシクイが良い場所に止まってその姿を楽しませてくれましたが、どういうわけかアカコッコの姿が見られず、一旦、戻ることにしました。途中ではオーストンヤマガラがようやくその姿を見せてくれました。ここでは橘丸が八丈島から13:20に三宅島三池港に戻ってくるとの情報をいただくことができ、歩き疲れたこともあって水場で待ってみることにしました。ただ、ここでも小鳥類がやってくることはなく再び遊歩道を歩くことにしました。途中、カラスバトがやってきて木に止まり、アカハラ、さらにはアカコッコのメスを見られた方もいらっしゃいました。ただ、その後も遊歩道ではアカコッコの姿が見られず、ただ最後にようやく道にオスが出てきて姿を見せてくれましたが撮影ができるような状況ではありませんでした。そのため三池港に向かう途中には別の林道にも行ってみました。ここでは渡り途中と思われる2羽のホオジロハクセキレイが見らましたがやはりアカコッコの姿を見ることはできませんでした。三池港到着後は待合室にて昼食をとっていただき、強風の海上を波を切り裂くように走ってくる橘丸が見えたころには待合室から出て着岸を見守りました。橘丸は無事、13:20に三宅島三池港に着岸。乗船後は海鳥観察の準備を進め、橘丸は13:40に波高3m西の風14mの大荒れの中、竹芝桟橋に向けて出港しました。出航後は大きなうねりの間を縫うようにオオミズナギドリが飛び回りますが、どういうわけかアホウドリ類の出現が全くないままに時間が過ぎていきました。ただ、15:05を過ぎたころからはアホウドリが連続して出現するようになり、15:30までの間に20個体ほどが現れ、かなり距離がある個体もいる中、強風に流されるように比較的近くを飛んでくれる個体もいて、今回は成鳥に近い白い個体が多く見られたことも印象的でした。その後は15:50、16:00にクロアシアホウドリが出現し、16:20、16:25には船に接近してくるような角度から連続して2個体のクロアシアホウドリが飛んでいきました。そして16:50頃に橘丸が東京湾に入るタイミングで再びオオミズナギドリの数が一気に増え、乱舞するように飛び回って見応えがありました。
まだウチヤマセンニュウが渡ってきていないため、三宅島の探鳥という点ではベストシーズンではない時期でしたが、代わって三宅島~東京竹芝間ではアホウドリがまだまだ見られる時期のため、アカコッコとアホウドリを組み合わせた撮影ツアーでした。悪天候が予想される中での出発でしたが、なんとか三宅島に到着できたことは幸いでした。到着時には激しい雨でしたが、早々に青空が見えましたが今年はアカコッコの観察条件が芳しくなく、結果として撮影ができる条件に恵まれず残念でした。ぜひまた機会をみて三宅島を訪れていただけましたら幸いです。一方、アホウドリの撮影も高波のため、ある程度の揺れがあったことからなかなか難しかったと思います。それでもなんとか20個体前後のアホウドリに出会うことができ、うち数個体は比較的船の近くを飛んでくれたことから撮影することができ、クロアシアホウドリも同程度出現してくれました。さまざまな苦労があったツアーになってしまいましたが結果的にはほぼ定刻の運行で進行できたことは幸いでした。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史