【ツアー報告】アホウドリ類3種に会いたい!東京~八丈島航路 2024年3月19日~20日
(写真:アホウドリ 撮影:中村和世様)
過去、4月上旬に企画してきた東京~八丈島航路ツアーですが、昨年からはアホウドリ、コアホウドリ、クロアシアホウドリのアホウドリ類3種をまとめて観察する企画に変えたため時期を3月上旬に変更しました。そもそも海況が良くないことが多い伊豆諸島航路において、この3月ももちろん海況が悪いことが多く心配ではありましたが、アホウドリ類3種をこの航路で見るにはこの時期が最も良いと判断し、リスクを承知の上で企画しました。主役のアホウドリ3種はいずれも翼開長200cm、あるいはそれ以上の長い翼をもち、その飛翔形の美しさは他の海鳥を寄せ付けないほどの強烈な印象を残してくれます。今回は数日前から急激に冷え込みが厳しくなってきたうえ、春の嵐との予報が出てしまい、最高波高4m、風速は最大で西の風18m、天候は不安定で急激な変化があるとのことでした。そのためずっと海上予報を見ていましたが、橘丸の構造や性能を考慮すると大きな問題はなく探鳥可能で、しかも強風とのことで期待感がありました。
19日、我々が乗船する橘丸はこの時期は混雑することはないこと、またこの日は翌日が祝日ではあるものの週末ではないため集合場所の竹芝桟橋はこれといった混雑はありませんでした。ただ時間が過ぎるとともに神津島に向かうさるびあ丸に乗船する方が増えてきてはいました。20:00前に到着した後はチケットの準備を進めて予定通り21:30にご集合いただき、今回は山階鳥類研究所の平岡考さんにお越しいただき、アホウドリ調査、保全の現状についてお話をしていただきました。その後は資料の配布、トラベルイヤホン使用方法説明、そして翌日の連絡事項、また念のため緊急時の対応方法をお伝えしてから22:10に乗船し、東海汽船橘丸は予定通り22:30にまずは三宅島に向けて出港しました。ただ翌日は大荒れ予報が出ていたため出航前には三宅島、御蔵島、八丈島のすべてに条件付きの表示が出ていました。
*諸般の事情により詳しい出現状況をウェブサイトでは公開しておりません。
私が海鳥観察をはじめた頃は定期航路でアホウドリが高確率で見られる日がくるとは夢にも思っていませんでした。ただ保護活動の成果もあってかつては幻の海鳥だったアホウドリが身近な海鳥になりつつあることを今回もあらためて実感しました。今回は春の嵐といった予報が出ていましたが、毎度毎度のことながら橘丸の構造と性能のおかげでほぼ雨や風にさられることなく、また大きな揺れを感じることなく探鳥することができました。またアホウドリ類は海上の風を利用して飛び回ることから、今回の時化はちょうど好都合だったようで久しぶりに連続してアホウドリが飛び回る「アホウドリ祭り」を堪能できました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史