【ツアー報告】紅葉の戸隠高原でムギマキに会いたい! 2025年10月22日~23日
一年を通してバードウォッチングに最適な場所といえばこの戸隠高原でしょう。東京から行くとなると遠い印象がありますが新幹線を使えば東京駅から長野駅までは90分ほどとあっという間に到着することができます。時期的にはやや中途半端な時期ではありますが、これは秋の目玉である旅鳥のムギマキとマミチャジナイがやってくる時期に合わせているためなのです。ただ彼らがいつやってきて、いつ去っていくかがわからないだけに時期を合わせるのが難しいのも事実です。またここ数年は写真を撮影したいといった需要が増大したこと、また歩く距離を大幅に削減するため、以前は定番だった鏡池までの往復ハイキングを取りやめ、ムギマキをじっくりと観察、撮影する時間を増やせるように行程を変更しました。この秋の戸隠高原はちょうど23年前に私がまだまだ助手ではありましたがガイドデビューした思い出深い場所であり、個人的にも一番足を運んでいる探鳥地でもあります。もちろん言うまでもなく大好きな探鳥地なのです。ただこの時期の信州はお天気が安定せず、ころころと変わる空模様を見ながらの進行となることが多いので何かと悩ましいのですが、今回は初日は曇りながら2日目は快晴との天気予報が出ていました。
22日、ずっと暑い日が続いていましたが、ここにきてようやく東京都内も気温が下がり秋めいてきました。この日は東京都内は朝から小雨が降り続いていましたが、長野県の天気予報は終日曇りとのことでした。ひとまず予定通りに東京駅を新幹線で出発し長野駅に向かいました。途中、車窓から見られた景色は次第に回復してきて、東京駅から90分ほどであっという間に到着した長野駅前は雨は降っておらず、どんよりとした空模様でした。到着後はご参加の皆様と合流してから専用バスにて今回の宿泊地のホテルに向かいました。途中、外を見ると天気はいま一つながら次第に紅葉が見られはじめ、紅葉が最も美しく見えるといわれているバードラインを通ると紅葉のトンネルをくぐっているかのようでした。そしていよいよ戸隠連山が見えてくるとホテルに到着となりました。到着後は一旦、お部屋に入っていただき、各自昼食そして観察機材の準備をしていただいてから再出発しました。この日はまず遊歩道を歩いてみるとまずはゴジュウカラが間近にやってきてくれました。さらに歩くとアオゲラが飛んできて木に止まり、しばらく楽しませてくれ、いつの間にか周辺にはコゲラ、キバシリ、コガラ、エナガの姿もありました。さらに木道を歩くと枯れ木をつついているアカゲラが見られましたが、ここでは残念ながらムギマキの姿はなく移動することにしました。この時間はさらに気温が下がっているようでかなり冷え込んでいましたが、ここではツルマサキの実にやってきている2個体のムギマキに出会うことができ、1羽はメス、1羽はオスの亜成鳥のようでした。しばらく観察しているとツルマサキと紅葉したブナの木を行ったり来たりしているようで、比較的じっとしていたことからたっぷりと楽しむことができました。また観察中にはイカルの群れが上空を通過し、飛んできたカシラダカが木に止まっていて、場所をやや変えると2羽のアオゲラが木を登っていてじっくりと観察することができました。その後はみるみる薄暗くなってくる中、場所を変えるとヒドリガモ、カルガモの姿があり、付近のナナカマドにはツグミ、アカハラ、そしてマミチャジナイが入れ替わり立ち替わりやってきていて、最後にはナナカマドの実をついばんでいるマミチャジナイをたっぷりと観察してこの日の探鳥を終えました。
23日、この日はかなりの冷え込みの中、早朝にホテル周辺を歩くことにしました。幸いにも前日の曇り空は全くなく、見事な青空が広がっていて戸隠山には次第に朝日が当たって美しく見えてきました。早速、草地にはホオジロの姿があり、最後は針葉樹に止まったかと思うと、横にはアトリも止まっていて橙色の胸が美しく見えました。小道を歩くとカラ類の混群がやってきたらしく、周辺にはコゲラ、コガラ、エナガ、ゴジュウカラ、キバシリなどが続々と現れ、イチイの実にはヤマガラが頻繁にやってきては実をついばんでいました。また水場には数羽のコガラがやってきて水を飲んでいました。観察しているとマヒワの声が聞こえたことから探してみると3羽のマヒワが枯れ木に止まっていて、最後はアオゲラがまたまた間近にやってきて楽しませてくれました。来た道を戻るとどこからともなくカケスの声が聞こえ、最後は針葉樹のてっぺんに止まってくれたことから珍しくじっくりと観察することができました。その後は一旦、朝食のためにホテルに戻り、朝食後に再出発しました。昨日、マミチャジナイを見たナナカマドにはアカハラがやってきていて、じっくり観察することができ、池には新たにハシビロガモ、キンクロハジロ、コガモが加わってにぎやかになっていました。森に入るとツグミが飛び回っていたことから見てみると、付近にはマミチャジナイ、アカハラの姿もあり、さらに歩いていくとキハダの実にやってきているマミチャジナイのメスが見られ、しばらく見ているとオス、さらには複数のツグミもやってきて実をついばんでいました。その後はミズバショウ園に向かって歩き、ここでも再びアオゲラに出会い、マミチャジナイが頭上にあるキハダの実をついばんでいる様子も観察することができました。木道に入ると上空を飛んでいくマヒワの群れが見られ、最後は昨日は見ることができなかったムギマキのメス、オス亜成鳥をそれぞれ1個体ずつ見ることもでき、午前中の探鳥を終えました。一旦、ホテルに戻った後は恒例になっている戸隠そばの昼食をいただき、午後からも探鳥を続けました。昨日、ムギマキを見たツルマサキにはこの日も同じ個体と思われる2羽のムギマキの姿がありました。その後は別の場所を見てみることにし、ここでもムギマキのメス、オス亜成鳥、そして黒白橙色のコントラストが美しいムギマキのオス成鳥の姿もあり、これらを時間いっぱい観察してこの日の探鳥を終えました。前日は曇りでかなり厳しい寒さにさらされましたが、この日は早朝から快晴で青空にブナの紅葉が美しく映える心地よい1日となり、これぞ秋の戸隠といった印象でした。
今回は初日の寒さが厳しく真冬のようでしたが、翌日は終日快晴で紅葉も美しく、朝日を浴びる早朝の戸隠山の景観も見事な1日でした。主な目的だったムギマキ、マミチャジナイは初日から見ることができ、ムギマキはメス、オス亜成鳥で微妙に異なる橙色をじっくりと観察することができ、翌日は一気に個体数が増えたようで、戸隠高原では個体数が少ないオス成鳥にも出会うことができました。また、どちらかというとムギマキよりも見づらいマミチャジナイはたまたまナナカマドにやってきているところが見られ、翌日にはキハダの実を食べにやってきていたことから、意外なほどじっくりと観察することができました。ほかにもコガラ、ゴジュウカラ、キバシリ、エナガ、アカゲラ、アオゲラといった留鳥が見られ、注目していた冬鳥はマヒワ、アトリ、ツグミ、カシラダカが見られ、この冬の鳥の状況が良いだろうと思えたことも収穫でした。戸隠高原は春も企画いたしますのでまた時期を変えて訪れてみてください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史








