【ツアー報告】晩秋の十勝平野 ハクガンの群れとナキウサギ 2025年10月18日~20日

そもそも日本では定期越冬していなかったハクガンですが、十数年前に数羽の群れが新潟県や秋田県で越冬するようになりました。数羽であっても当時は話題になり、実際にこの群れを見るために新潟県にてツアーを企画していました。その数羽の群れがその後、みるみる増え2019年にはついに1000羽を超えるまでに増えました。今回は大群になったハクガンたちの中継地として知られている十勝平野を訪れるとともに、可愛らしいナキウサギとの出会い、さらには北海道らしい小鳥類との出会いも楽しめる晩秋の北海道をめぐるツアーを企画しました。なるべくムダな移動時間をなくしてコンパクトなツアーにするため往復共にとかち帯広空港を利用し、宿泊もバイキングが楽しめる温泉宿に連泊することで2日目、3日目の行動予定をハクガン、ナキウサギの観察状況に応じて行動できるようになり、これによりハクガン、ナキウサギとの出会いの確率をより高くできるようにすることができました。またガン類は警戒心が強いため、バス車内からの観察、撮影も考慮して参加人数を減らし、バス席をお一人様2席利用にして観察機材置き場も確保しました。渡りの中継地での観察であることから、ハクガンたちが渡ってくるタイミングを計ることが重要になるわけですが、ここ数年はハクガンの渡来時期が早まっている印象があり、ツアー時期を決めるにもなかなか難しいのが現状です。

18日、この日の東京はここ数日の秋めいた陽気は一旦去り、再び夏が戻ってきたかのような陽気になるとのことで、早朝から見事な青空が広がっていました。意外にも混雑していない羽田空港に予定通りご集合していただいた後は資料配布、連絡事項をお伝えしてから搭乗し、ひとまず十勝帯広空港に向かいました。ただこの日はとかち帯広空港周辺が濃霧のため条件付き運行となり、さらには機材遅れが発生したとのことで30分ほど遅れて出発しました。やや遅れて到着したとかち帯広空港は幸いにも雨はまだ降っておらずどんよりとした曇り空でした。空港到着後は、空港内にて観察機材の準備をしていただいてからバスにて出発し、まずはハクガンを探しに向かいました。移動中のバス車内ではガン類の渡りについて、また識別ポイント、注意点などについて話し、そうこうしている間にも車窓からは広大な畑地で餌を採っているタンチョウの姿が見られました。

*諸般の事情により詳しい出現状況をウェブサイトでは公開しておりません。

今回も前回同様に初日は天気予報通り、小雨が降る時間帯もありましたが、その後は次第に天候が良くなっていく3日間で、最終日は見事な秋空の下での観察になりました。ハクガンの群れは正確な数は不明ながら前週よりも増えているように感じ、最後はシジュウカラガンともども圧巻の群翔、乱舞を堪能することができ大変印象に残りました。また幸いなことにアオハクガンにも出会うことができ、タンチョウの親子を間近に観察する幸運もありました。一方、ここ数年、出会うことにかなり苦労しているナキウサギは今回もかなり苦労したものの、なんとか一度だけながら出会うことができました。ほかにも北海道らしく、ハシブトガラ、シロハラゴジュウカラ、ミヤマカケスにも出会え、イスカ、クマゲラ、そしてツアーでは出会った記憶がないエゾライチョウに出会う幸運もありました。北海道はとても魅力的な探鳥地のため、季節ごとにさまざまなツアーを企画しております。ぜひまた北海道にお出かけください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

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