【ツアー報告】紅葉の戸隠高原でムギマキに会いたい! 2025年10月24日~25日

一年を通してバードウォッチングに最適な場所といえばこの戸隠高原でしょう。時期的にはやや中途半端な時期といえますが、これは秋の目玉である旅鳥のムギマキとマミチャジナイがやってくる時期に合わせているためなのですが、なにしろ彼らがいつやってきて、いつ去っていくかがわからないだけに時期を合わせるのが難しいのも事実です。またここ数年は写真を撮影したいといった需要が増大したこと、また歩く距離を大幅に削減するため、以前は定番だった鏡池までの往復ハイキングを取りやめ、ムギマキをじっくりと観察、撮影する時間を増やせるように行程を変更しました。この秋の戸隠高原はちょうど23年前に私がまだまだ助手ではありましたがガイドデビューした思い出深い場所であり、個人的にも一番足を運んでいる探鳥地でもあります。もちろん言うまでもなく大好きな探鳥地なのです。ただこの時期の信州はお天気が安定せず、ころころと変わる空模様を見ながらの進行となることが多いので何かと悩ましいのですが、今回は2日目の天気は下り坂ながら雨の予報は出ていませんでした。

24日、この日の長野市内は早朝から快晴で、澄み切った秋空が広がりまさに清々しいといった雰囲気でした。少々トラブルがあったもののご集合いただいた後は専用バスにて今回の宿泊地のホテルに向かいました。途中、外を見ると標高が上がるにしたがって紅葉は色濃くなり、秋空に映えて美しく見えました。週末ということもあってかバードラインを過ぎると観光客の姿が目立ち始め、中社あたりはかなりの混雑でした。到着後は一旦、お部屋に入っていただき、各自昼食そして観察機材の準備をしていただいてから再出発しました。この日はまずムギマキがいなくなってしまう可能性があることから、早速、現地に向かい、昨日ムギマキの姿があったツルマサキを見ていくことにしました。最初に行った場所ではこれといって動きがないかと思われましたが、よく見てみるとメスが1羽でじっと止まっていて、早くもムギマキの姿を見ることができました。また観察中には上空をハイタカが飛び、それを追うように続々とノスリが現れ、まるで渡り風景のような状況になっていました。ただその後は動きがなくなってしまったため別のツルマサキを見にいくと、ここにはコゲラ、コガラ、ゴジュウカラの姿があり、さらに観察を続けるとムギマキの姿があったことから観察を続けてみました。木が高いうえ、ムギマキの動きが激しいことから観察は難しかったですが、ここではオス成鳥、オス亜成鳥、メスの3個体がいるようで、最後にはようやくオス亜成鳥がじっと止まってくれたことから、ようやくじっくりと鮮やかな橙色を見ることができました。その後はさらに別のツルマサキでムギマキのオス亜成鳥、そしてオス成鳥を見ることができたことから休憩を挟んで移動しました。ここではヒドリガモ、カルガモ、コガモ、カイツブリの姿がありましたが、付近のナナカマドには鳥の気配がなかったことから林内の遊歩道を歩いてみることにしました。ひとまず前回、マミチャジナイの姿を見たキハダの実を見ていると、どこからともなくアカハラがやってきたことから望遠鏡でしばらく観察することができました。ただしばらくしてもマミチャジナイがやってこなかったことから移動すると、戻る途中の別のキハダの実を食べている3羽のマミチャジナイがいました。この個体は実を食べることに必死だったようで、たいして我々を警戒していないようで枝先にぶら下がって実をついばむ様子など、さまざまなシーンをたっぷりと見せてくれ、最後に良い出会いがあり、この日の探鳥を終えることができました。

25日、この日は戸隠連山にやや雲がかかってはいたものの、朝日に照らし出された紅葉が見事な景観となっていました。早速、草地からはホオジロの声が聞こえ、最後は針葉樹に2羽が並んで止まってくれました。小道を歩くとナナカマドの実にツグミの姿があり、気が付くと上空をいくつものツグミの群れやアトリ、マヒワの群れ、さらにはイカルの群れが通過していきました。また枯れ木にはオオアカゲラのオスの姿があり、比較的じっくりと観察することができました。さらに歩くとカラ類の混群がやってきたらしく、周辺にはコゲラ、シジュウカラ、コガラ、エナガ、ゴジュウカラ、キバシリなどが続々と現れ、イチイの実にはヤマガラが頻繁にやってきては実をついばんでいました。また水場には数羽のコガラがやってきて水を飲んでいて、ここでも上空を通過していくツグミ類の姿が見られました。道を戻ると今度はオオアカゲラのメスが見られ、降るように飛んできたツグミの群れが一斉にナナカマドの実にとりついてはついばんでいました。また枯れ木にじっと止まっているマミチャジナイがいたことから望遠鏡を使ってじっくりと観察することもできました。とにかくこの日の朝は冬鳥たちの渡りに当たったようで飛び交っている小鳥類の勢いを感じる朝でした。探鳥後は一旦、朝食のためにホテルに戻り再出発してこの日もムギマキを探しに向かいました。この頃にはすっかり青空はなくなってしまい、戸隠連山も頂には雲がかかってしまってはいましたが相変わらず紅葉は見事で、あたかも水墨画のようでした。ひとまず我々は人が少ないツルマサキから見ていくとにしましたが、どうやらこの日はムギマキの個体数が一気に減ってしまったようで、なかなかその姿を見ることができませんでした。ただようやくメス1羽に出会うことができ、ツルマサキの枝先に止まっている姿を何回か見ることができました。その後もいくつかあるポイントをめぐりましたがムギマキの姿はなく、ただ一方でマミチャジナイの姿はこの日はコブシの木にあり、茂みに隠れるように止まっていて見づらかったものの、最後は実をついばんでいる姿を見ることができました。また探鳥後にはカワガラスが川石に止まったり、川に流れるように移動していく姿を見ることができました。一旦、ホテルに戻った後は恒例になっている戸隠そばの昼食をいただき、午後からの時間もムギマキを探してみることにしました。まずはここまで行っていないポイントに行ってみましたがムギマキの姿はなく、ただ、イカルの群れが頭上に来てくれたことからしばらく観察することができました。その後は別のツルマサキを見に行くと、ここでは林内を飛び回るムギマキのオス亜成鳥に出会うことができ、その後はツルマサキの実をついばみに来たことから待っていると、何回か枝先に出てきてくれ、同時に数羽のキビタキのメスも見ることができました。

今回は次第に天候が悪くなってくる中でのツアーでしたが、結果的にはほぼ雨に降られることなく終えることができ、美しい紅葉も堪能することができました。主な目的だったムギマキ、マミチャジナイは初日から見ることができ、ムギマキは2日目に個体数が一気に減ってはしまいましたが、初日のうちにメス、オス亜成鳥、オス成鳥でさまざまな個体を見ることができ、毎回苦労するマミチャジナイはキハダやコブシの実にきていたことから意外とあっさり見ることができました。ほかにもコガラ、ゴジュウカラ、キバシリ、エナガ、オオアカゲラ、アカゲラ、アオゲラ、カワガラス、カケス、イカルなどが見られ、注目していた冬鳥はマヒワ、アトリ、シメ、ツグミなどが見られ、特に早朝に見た群翔は印象的でした。戸隠高原は春も企画いたしますのでまた時期を変えて訪れてみてください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

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