【ツアー報告】7月下旬の大洗~苫小牧航路 2016年7月29日~31日

(写真:オオミズナギドリを襲うオオトウゾクカモメ(左) 撮影:米持千里様)

多くの海鳥たちが北上した後にあたる7月は海鳥そのものの個体数は少ない時期ですが、この時期だからこそ見ることができるオオトウゾクカモメを観察するには良い時期です。また北の海域ではコシジロウミツバメ、フルマカモメが見られる確率が高く、フルマカモメに関しては白色型が混じることもあり楽しみです。ただ今回は往復共に海況がかなり穏やかになる予報で、天気図で確認してみましたがやはり穏やかな海が容易に予想できる状況でした。

29日、22:15には大洗フェリーターミナルにご集合いただきましたので、翌日の連絡、見られる海鳥の解説などをしてから22:35に乗船しました。なお、今回からトラベルイヤホンが新型に変わりました。雑音が減り、かなり広範囲に渡ってより快適な観察が可能になりました。

30日、過去のデータから往路は北の海域が重要であることが明確に分かっていることから金華山沖の08:00から探鳥を開始しました。通常観察は風除けのある右舷側で行っていますが、この日は風が弱く安全であることから朝のうち順光である左舷デッキで観察を開始しました。スタート時から海況は良く寒さも感じることはありませんでした。しばらくの間は穏やかなせいで着水しているオオミズナギドリが次々に飛び立て行く様子が観察でき、その中にクロアシアホウドリが着水していました。また08:40にはコアホウドリ、08:50にはさらに数羽のクロアシアホウドリ、コアホウドリが着水していました。10:00には100羽ほどのオオミズナギドリが海面に飛び込んで餌を捕る様子が観察でき、カマイルカの群れも同時に見られました。10:40にはハシボソミズナギドリが船体を追い越すように飛び、11:00にはようやくオオトウゾクカモメが船首を横切るように飛翔しました。11:10には再び100羽ほどのオオミズナギドリとカマイルカが見られ、付近には数羽のハイイロヒレアシシギの姿もありました。その後は光線の状況から右舷側に移動して観察を継続し、11:30には海面から飛び立ったオオミズナギドリの群れの中に1羽のトウゾクカモメの姿がありました。その後はさらに海上はベタ凪になり時より着水しているオオミズナギドリの姿を見るに留まりました。やや空が曇ってきた14:05にようやくフルマカモメが現れ、漁船にまとわりついている2羽のクロアシアホウドリと3羽のコアホウドリが見られました。14:30には再びオオトウゾクカモメ、15:05にはフルマカモメ、そして15:20には着水しているオオトウゾクカモメが見られました。16:00を過ぎると海面に立つ波がほぼなくなったことから着水している海鳥が見やすくなったこともあり、カンムリウミスズメを複数回観察することができました。また17:00を過ぎるとイシイルカのしぶきが上がるようになり、18:00以降は海面に点々と浮いているアカエリヒレアシシギとハイイロヒレアシシギの群れを観察して18:50に観察を終了しました。

31日は早朝に良い海域を通ることから05:00にスタンバイしました。ただ天候が曇りだったことから薄暗い朝で、やや風が吹いていました。早朝は往路同様にアカエリヒレアシシギとハイイロヒレアシシギが多く見られ、05:30を過ぎた頃からはベタ凪のため着水しているカンムリウミスズメ、ウミスズメが見られました。06:00には距離があったもののオオミズナギドリと一緒に飛翔するアカアシミズナギドリが見られ、同時に15羽ほどの群れで飛ぶアカエリヒレアシシギの姿がありました。06:20にはやや風がある中、船体の下をコアホウドリが悠々と飛び、06:25には再びカンムリウミスズメが見られました。08:30を過ぎると青空が見えはじめ、やや風が強まってきました。そんな中をオオミズナギドリが飛び、漁船にまとわりつく4羽のクロアシアホウドリの姿がありました。10:00には200羽ほどのオオミズナギドリの群れが餌を捕り、間近にカマイルカの姿も見ることができました。11:10にはオオトウゾクカモメがオオミズナギドリを襲うシーンが見られ、その後は5羽、6羽でそれぞれ着水しているクロアシアホウドリが見られました。11:30にはウミスズメ、そして左舷側に移動した12:20には淡色型と暗色型のトウゾクカモメが船首にまとわりつくように飛翔してその姿をじっくりと見せてくれました。その後は霧で視界不良になる中、オオミズナギドリの群れに混じるオオトウゾクカモメ、ハイイロミズナギドリ、ハシボソミズナギドリなどを観察しながら15:00に観察を終了しました。

今回は期待されたコシジロウミツバメ、淡色型フルマカモメに出会うことができず残念でした。ただ夏季には少ないと思われていたコアホウドリが数多く観察でき、海況がベタ凪だったことからカンムリウミスズメ、ヒレアシシギ類の姿をじっくりと観察することができました。ご好評いただいております大洗~苫小牧ツアーは今後は珍鳥に期待できる秋に企画しております。ぜひまたご参加ください。この度はお疲れ様でした。

石田光史

トウゾクカモメ 撮影:米持千里様

トウゾクカモメ 撮影:米持千里様

 

コアホウドリ 撮影:米持千里様

コアホウドリ 撮影:米持千里様

 

カンムリウミスズメ 撮影:米持千里様

カンムリウミスズメ 撮影:米持千里様

 

クロアシアホウドリ 撮影:米持千里様

クロアシアホウドリ 撮影:米持千里様

 

フルマカモメ 撮影:米持千里様

フルマカモメ 撮影:米持千里様

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