【ツアー報告】タカ渡る白樺峠と渡りの小鳥たち 2016年9月21日~22日

(写真:ライチョウ 撮影:坪井昌弘様)

この時期限定のタカの渡りを2日間に渡って楽しむ恒例のツアーです。なにしろ1年のうちで僅かこの半月間ほどしか楽しむことができないため、休日を中心に晴天の日はかなりの人がこの地にやってきます。今回は台風16号の接近によりツアーの催行が危ぶまれましたが前日夜に台風が本州から離れる予想だったため催行の判断となりました。ちなみに前日は中央本線が止まったことから1日前だったら中止だったでしょう。天気予報も台風一過とはいかないものの両日共に曇りとのことでひとまず安心して出発しました。

21日、新宿から特急で松本駅に向かい、そこで現地からご参加のお客様と合流して10:50に松本駅を専用バスにて出発しました。途中に立ち寄った道の駅付近からは空が明るくなり、何やら青空も見えてきました。そしてようやく12:30に白樺峠の駐車場に到着しましたが、この場所では小雨が降り、やや霧がかかっていました。ひとまずを整えて山道を歩き、タカ観察ポイントに到着しました。ただ残念ながら現地は深い霧に包まれていて、訪れていたバードウォッチャーたちも休憩といった感じでした。とりあえずトラベルイヤホンを装着していただき周囲の林で観察を開始しました。草地からはウグイスの声が聞かれ、林の中ではエナガ、コガラ、ヤマガラ、ヒガラが忙しく動き回っていました。タカの飛翔はさすがにムリかと思いましたが、突然背後の林からハチクマが低く出現して静かだった観察地がどっと沸きました。続けざまに13:10には同様にハチクマが舞い上がったかと思うと、立て続けに10羽ほどのハチクマが旋回し始め、ちょっとしたタカ柱を見ることができました。また13:25には霧の中から現れたハチクマのメスが低く旋回して再びどっと沸いたのでした。ただ、霧がさらに濃くなったことから予定を早めて14:30にバスに戻り、乗鞍高原周辺での探鳥を行うことにしました。歩きはじめるといきなりニホンカモシカの姿があり驚かされました。また雨が降っていなかったこともありハチクマの飛翔も見られました。蕎麦畑では複数のホオジロの姿があり、付近ではフワフワとした独特の飛翔を見せるカケスも見られました。川までやってくるとキセキレイ、カワガラスが見られ、ようやくサメビタキの姿を見ることができました。また宿付近ではエゾビタキの姿をじっくり観察することができたほか、2羽のビンズイの姿を見ることもでき探鳥を終了しました。この日も夕食後はタカ飛翔識別講座を行い、今日の復習、明日からに向けての予習を行いました。ただ、その後天気予報を見ると驚いたことに雨一色となっていました。

22日、06:00から早朝探鳥を行うため外に出てみましたが、とりあえず雨は降っておらず一安心して歩きはじめました。深夜の雨が止んだ雨上がりであるにも関わらず思ったほど鳥が動いていない感じでしたが、途中にある林ではコガラ、ヒガラのにぎやかな声が聞え、観察していると比較的大きなカラ類の群れが現れました。ほとんどがヒガラとコガラでコガラはさかんに種子をついばんでいました。またイカルの群れが飛びまわり、カラ類の群れの中に混じるキビタキのメスとコサメビタキの姿を見ることができました。07:30から朝食に戻りましたが、ここで予報通りに雨が降り出し、タカの渡り観察を諦めなくてならないレベルの強い降り方になってきました。たまたま前日に18日から通行止めになっているエコーラインの状況を電話で確認していたのですが、22日朝に開通するかもしれないとのことでした。そのためシャトルバス乗り場まで行ってみると今朝開通したとのことでした。そのため朝食後は急遽、畳平に向かうことにしました。強い雨と深い霧を予想しての出発でしたが、到着した畳平は傘で対応できるほどの雨で視界も十分でした。まずは木道を歩き、ルリビタキとカヤクグリを観察し、いよいよライチョウ探しに向いました。思った場所にはライチョウの姿がなく心配しましたが、予定よりもやや歩いた場所でようやく3羽のライチョウを見ることができました。3羽は離れることなく歩きまわり一時は岩の上に2羽で乗ったりしていました。観察していると我々と並走するように歩き、3羽が競争するように走る姿は可愛らしく歓声が上がりました。また帰り間際にもさらに2羽のライチョウが見られ、こちらは降りしきる雨の中、岩の上に乗ってじっとしていました。気がつくとお昼を過ぎていたことからバスに戻りましたが、その途中にもイワヒバリがノコノコ歩いており、眼下の斜面には3羽のカヤクグリの姿もありました。カヤクグリは盛んに種子をついばんでいてあまり人を警戒している様子はありませんでした。バスに戻って各自でお昼を食べていただき、13:30に畳平を後にしましたが、出発直前にはバスの近くでイワヒバリの姿を見ることもできました。1時間ほどかけて乗鞍高原まで戻り、やや時間があったことから乗鞍ビジターセンターに立ち寄り、この日までのタカ渡りの総数を見るなどして過ごし、その後は宿のロビーをお借りして荷物整理を行い松本駅に向かいました。

タカの渡りを観察することを目的に企画した2日間のツアーでしたが、天気予報が悪いほうに外れてしまい、期待していたような大規模なタカの渡りを観察することができず残念でした。ただ、幸いにも通行止めだったエコーラインが開通したことから畳平に向かうことができ、ライチョウなど高山鳥4種を見ることができました。また乗鞍高原周辺では秋の代表種のエゾビタキをはじめ、サメビタキ、コサメビタキ、キビタキなども見ることができました。タカの渡りが観察できるのは僅かな期間だけのため今回は残念でしたがまた来秋も企画いたしますのでぜひ再チャレンジしてください。この度は大変お疲れ様でした。

石田光史

ホシガラス 撮影:日下部桂子様

ホシガラス 撮影:日下部桂子様

 

ライチョウ 撮影:坪井昌弘様

ライチョウ 撮影:坪井昌弘様

 

カヤクグリ 撮影:日下部桂子様

カヤクグリ 撮影:日下部桂子様

 

ライチョウ 撮影:坪井昌弘様

ライチョウ 撮影:坪井昌弘様

 

コガラ 撮影:日下部桂子様

コガラ 撮影:日下部桂子様

 

ライチョウ 撮影:日下部桂子様

ライチョウ 撮影:日下部桂子様

 

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