【ツアー報告】渡良瀬遊水地と多々良沼 2015年2月14日(土)

ハイイロチュウヒ/コクマルガラス/チュウヒ/ミコアイサ/シメ/ベニマシコ

 毎回好評をいただいております渡良瀬遊水地周辺を巡る日帰りツアー。付近にはカモ類が集まる多々良沼、城沼、いずみ野公園、そしてミヤマガラス、コクマルガラスの群れが見られる干拓地もあることから、日帰りツアーとしては珍しく1日に5箇所を巡ります。また12月のツアーではトラフズク、オオモズが観察されたことからさらに探鳥地を増やして巡ることにしましたが、現地では思いもよらない強風に悩まされる1日になってしまいました。
今回の探鳥地は東京からほど近く、出発後2時間ほどで多々良沼に到着しました。強風の中、ツグミが地面にはいつくばるように採食し、池ではダイサギ、アオサギの姿がありましたが、いずれも足に力を入れて踏ん張っているようでした。湖面を眺めると海のように波立っており、カモ類は風下に追いやられるような状況で、カルガモ、ヒドリガモ、オナガガモが一箇所に群れ、その中にヨシガモのオスの姿がありました。特徴である緑色のナポレオン帽、カールした三列風切といった特徴を確認し、やや遠めには美しいミコアイサのオスの姿もあり、なんとか望遠鏡で捉えて観察していただきました。
城沼ではオオハクチョウの姿がありましたがこれといった種に出会うことはなく、続けて訪れたいずみ野公園の池ではコガモのほか、くるくると回るような独特の水面採食を見せるハシビロガモを観察しました。強風のためそれぞれの探鳥時間をかなり短縮し、その後はバス車内から観察できるようミヤマガラスの姿を探します。今年は数百羽レベルの大きな群れが3つ見られることが多く、今回もかなり大きな群れが地上採食している様子が見られ、思わず圧倒されるようなシーンに驚かされます。この日は風が強いからかあまり頻繁に飛立つことはなく、それぞれが地面を這うように採食していました。まずはミヤマガラスの特徴である額の形と嘴の色を見ていただき、その後はシロマルと呼ばれる白黒が鮮やかなコクマルガラスの成鳥を見つけることができました。結果的にはシロマルと呼ばれる成鳥個体を2羽、幼鳥個体は数羽見られ、車内から観察したことから距離感もよく、双眼鏡でもその特徴を捉えることができました。
その後は渡良瀬遊水地に向かいましたが、まずは越冬中のトラフクズクを短時間でサッと観察し、その後は一旦昼食の時間にしましたが、地面で採食するベニマシコの姿を見ることができました。昼食後はオオモズを狙って移動し、強風の中で1時間ほど待ってみましたが出会うことはできませんでした。ただ、待っている間にはハイイロチュウヒのメスが飛びまわり、ノスリの姿もありました。その後は公園まで戻り、散策しながら冬鳥類を観察しました。強風だったことからほとんどの個体が地面で採食し、シメ、ツグミ、カワラヒワ、最後はベニマシコの姿も僅かながら見ることができました。強風だったことからタカ類の飛翔は見応えがあるだろうと予想して、少々早めにポイントに行くと土曜日ということもあってか、いつもよりも多くのカメラマンがスタンバイしていました。予想通りいつもよりも早くチュウヒたちが舞い始め、独特のV字飛翔を見せてくれました。中には風にあおられるように翻ったり、いつになく力強い羽ばたきを見せる個体もいました。そして翼上面と尾羽が灰色、翼先が黒という独特のコントラストの個体も現れました。ただ、ハイイロチュウヒのオスはなかなか現れず、時間を延長して待ちましたが結局その姿を見ることはできませんでした。
数箇所の湖沼、干拓地、アシ原、公園など、さまざまな探鳥地を巡り、その年その年で目玉があることから毎回観察種が多いツアーで、今回もヨシガモ、コクマルガラス、ハイイロチュウヒ、チュウヒ、トラフズクなど計48種の鳥を見ることができましたが、強風のため寒さも厳しく、観察条件が大変悪くご苦労の多い1日になってしまいました。皆様お疲れ様でした。

石田 光史

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