【ツアー報告】晩秋の十勝平野 ハクガンの群れとナキウサギ 2019年10月29日~31日

(写真:ハクガン 撮影:上田恵様)

この時期、僅かな期間だけ羽を休めにやってくるハクガンの群れと、北海道の一部の亜高山帯のガレ場に生息するナキウサギにスポットを当てた晩秋恒例のツアー。今回で3回目となりますが、移動時間を極力減らすこと、またどうもこの時期は天候に恵まれないことなど、さまざまを考慮し、今回から思い切って行程を大きく変えてみました。まず移動時間を極限まで減らすため帯広空港発着とし、宿泊も温泉宿に連泊にしました。これにより2日目、3日目の行動がより臨機応変にできるようになり、最悪の場合はハクガン、ナキウサギ共に2度チャレンジすることが可能になりました。今回は我々が訪れる前にハクガンがすでに飛来しているとのことで期待感が高まり、毎回悩まされる天候も3日間を通じて概ね良いとのことでした。

29日、早朝の東京都内は雨が降り肌寒い朝でした。集合時間の1時間前には羽田空港に到着して準備を進め、ご集合時に資料の配布、そして連絡事項をお伝えしてから搭乗しました。現地到着時は曇り空ながら幸い雨はなく、この日はそれほど時間がないことから早速、ハクガンを探しに向いました。バスで進むと目に飛び込んでくるのは、黄金色に輝く美しいカラマツの紅葉に囲まれた想像をはるかに越えるような広大な畑や牧草地ばかりで、今、自分がどこにいるのかもよくわからなくなるほどです。途中の牧草地ではタンチョウの姿があり、まずは牧草地に群れるヒシクイの群れが見られました。よく見るとその中にはやや小型のマガンの姿もあり、ノコノコ歩きながら餌を探していました。その後は別の牧草地でヒシクイとマガン、そしてシジュウカラガンの姿も見ることができ、電柱にはオジロワシの姿もありました。ただなかなかハクガンの群れが見つからず、最後にもう一か所行ってみることにしました。広大な畑地の道をあてもなく進んで行くと遠くに白い塊が見え、双眼鏡で見てみると4桁いるのではないか?と思えるような数のハクガンの群れでした。まずはかなり離れた位置から観察しましたが、群れは農耕車が近づくと一旦飛んでしまいました。ただ幸い付近に降りたため徐々に歩いて近づきながら観察することにしました。最終的には良い距離感で観察することができ、付近にはヒシクイ、シジュウカラガンの姿もあり、初日にして最大の目的であるハクガンの大群を観察することができました。

30日、この日は日の出に合わせて06:00から早朝探鳥を予定していましたが外はかなりの霧で視界不良でした。しばらく外を見ていると霧の中からツグミ、ヒヨドリ、シロハラゴジュウカラなどの声が聞こえ、玄関脇の木にはシロハラゴジュウカラがやってきました。やや明るくなってきたため歩いてみると、周辺の林ではヤマガラ、ハシブトガラ、シロハラゴジュウカラなどの姿があり、ホテル前まで戻ってくるとヤマゲラの声がしたため探してみると、松の木をしつこくつつくヤマゲラの姿をじっくり観察することができました。その後は朝食をいただき08:30に出発して、この日はナキウサギを探しに行くことにしました。美しいカラマツの紅葉を見ながら進み、途中休憩をはさんで現地に到着すると、早速ナキウサギの声が聞こえ、あっけなく岩の上にナキウサギが出てきてくれ幸いでした。その後も何度かナキウサギが出てきて愛らしい姿を楽しませてくれ、ミヤマカケスがフワフワと飛んできて針葉樹に止まったり、シマエナガの群れが賑やかにやってきて楽しませてくれるなどしてくれました。思いのほかナキウサギがよく見られたため、予定通り2時間ほどで山を降り、その後は展望台から雄大な風景と紅葉を楽しみ、その後は昼食をとってから公園で探鳥することにしました。歩きはじめるとヒヨドリの姿があり、付近には数羽のアトリの姿もありました。池まで行くとマガモ、カルガモ、コガモに混じってカワアイサが見られ、ツミが飛び出して小鳥を追いかけ、付近ではヒガラ、ハシブトガラが間近に見られ、さらに進むと地上で餌を探すハシブトガラ、シロハラゴジュウカラが見られ、ようやくここでエゾリスを見ることができました。またアカゲラが愛想良く姿を見せてくれ、日没間近の16:10まで探鳥してからホテルに向かいました。

31日、この日も同様に06:00に外に出ると、まぶしい朝日が出迎えてくれました。周辺からはハシブトガラ、シロハラゴジュウカラ、ツグミなどの声が聞こえる中で早速歩き出しました。林ではエゾリスの姿があったほか、昨日行くことができなかった林ではまたまた愛想が良いアカゲラがじっくりその姿を楽しませてくれ、餌台にはシロハラゴジュウカラとハシブトガラがやってきていました。さらに進むと目線ほどの高さの草に止まって餌を探すシマエナガの群れが見られ、地上から飛び立った小鳥を見るとミヤマホオジロのオスでした。またキバシリの姿も見られ大収穫の朝となりました。朝食後は08:30に出発してこの日は再びハクガンの群れを探しに行きました。ただ初日に見られていることでやや余裕があったため、まずは途中にあるポイントに行ってみることにしました。過去、ここではオオワシ、オジロワシが見られていたため期待しましたがこの日はその姿はなく、オオハクチョウの群れやヒドリガモ、キンクロハジロなどを見てからハクガンを探しに向かいました。途中の牧草地にはオオハクチョウの群れがいたためしばらく観察し、その後、現地に向かいましたが残念ながらこの日はハクガンの姿はなく、別の場所を探してみることにしました。ただこの日は移動途中にある牧草地にハクガンの大群が降りているのが目に入り、バスを降りて徐々に近づきながら観察しました。ただ群れは警戒する様子はなく思いのほかじっくりと観察することができました。ただ突然群れが飛び立ち、それはそれは素晴らしい光景をしばらく眺める幸運もあり、最後に印象的なシーンを見て現場を離れました。ただ少々時間があったことからタンチョウを探しながら走ることにし、牧草地に佇むつがい、堤防付近を歩き回るつがいなどを観察し、最後は畑に佇むタンチョウの小群を観察してツアーを締めくくりました。

毎回、なかなか天気が安定しない晩秋の北海道。過去には積雪があったこともありましたが、今回は霧はあったものの比較的安定した晴れの3日間でした。目的だったハクガンの群れは年々その数を増し、今回は1000羽を超える大群に出会う幸運があり、また最終日にはその大群が一斉に飛翔する見事なシーンを見ることもできました。またヒシクイ、マガン、シジュウカラガン、オジロワシ、タンチョウの姿もあり、ひとまず見たい種は全て見ることができました。またナキウサギも短時間ながらその姿を何度も見せてくれ、可愛らしい姿を堪能できました。さらにはシマエナガ、ミヤマカケス、ハシブトガラ、シロハラゴジュウカラといった北海道だからこその小鳥たちも出揃い、ヤマゲラ、キバシリ、ミヤマホオジロの姿もありました。今後も移動時間を極力減らし、温泉宿に連泊、バスお一人様2席といったスタイルで継続企画して参ります。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

シマエナガ 撮影:坂本和子様

 

エゾリス 撮影:鈴木利幸様

 

ナキウサギ 撮影:竹村章様

 

シジュウカラガン 撮影:上田恵様

 

ハクガン 撮影:鈴木利幸様

 

ハクガン 撮影:竹村章様

 

カワアイサ 撮影:上田恵様

 

ナキウサギ 撮影:鈴木利幸様

 

シジュウカラガン 撮影:竹村章様

 

エゾリス 撮影:上田恵様

 

シマエナガ 撮影:鈴木利幸様

 

タンチョウ 撮影:竹村章様

 

ヒシクイ 撮影:竹村章様

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