【ツアー報告】大洗の海鳥と涸沼の猛禽 2015年2月10日(火)

ミサゴ/オオワシ/ハヤブサ/シノリガモ/ビンズイ/ハイイロチュウヒ/ウミスズメ/ミユビシギ/ミミカイツブリ

 海鳥類が豊富な大洗海岸とそこから僅かな距離にある汽水湖、涸沼は私の自宅からほど近い場所にあり、最近では美しいオオワシの成鳥が越冬することで知られています。主役はこのオオワシだけではなく、水田に棲むタゲリ、アシ原に棲むホオジロ類、そして干拓地では猛禽類も豊富で、毎回観察種数が多いツアーです。
今回も皆様のご集合が早めだったことから07:55に東京駅前を出発することができ、まずは涸沼を目指しました。今回は高速道路を降りるとすぐに探鳥地に到着することから、休憩時に観察機材の準備もしていただきました。涸沼の西側の干拓地では30羽ほどのコハクチョウの群れが見られ、その中に一家族のオオハクチョウの姿もありました。周辺ではタゲリの群れが飛び交い、それを狙ってハヤブサの幼鳥が現れました。また電柱にはノスリ、枯れ木にはチュウヒが止まり、我々の間近をミサゴが飛翔し、ここでは猛禽類の多さが目立ちました。次に訪れたポイントでは名物となっているオオワシを待ちながら湖面にいるハジロカイツブリ、カンムリカイツブリ、公園ではツグミ、タヒバリ、シメなどを観察しました。そして待つこと40分。我々の頭上を羽ばたくことなく悠々と飛翔するオオワシが現れ、強風だったこともあり長時間飛翔してくれて、さまざまな角度からその美しい姿を堪能させてくれました。その後は大洗海岸に向かいましたが、途中にある干拓地ではチュウヒに襲い掛かるハヤブサの姿があったことからバスを止めて観察し、最後はハヤブサが高圧鉄塔に止まっているところを望遠鏡を使って観察することができました。大洗海岸ではまず駐車場のバスを止めて各自で昼食を食べていただきましたが、隣接する防風林内ではビンズイ、シジュウカラが見られ、岩礁にはハマシギ、ミユビシギ、シロチドリ、海上を飛翔するクロガモ、ビロードキンクロの姿も見られました。再集合後はまず海岸沿いを北に向かって走り、引き返しながら各所でバスを止めて探鳥をしていきます。この日は干潮に合わせていることから見事な岩礁海岸が連続し、まずはこの場所の主役でもあるシノリガモを観察しました。潜水を繰り返している個体のほか、この場所ならではの岩礁の上で休んでいる個体も見られ、シノリガモが好む生息環境を知ることもできました。その後はウミアイサの群れ、ミミカイツブリ、ワシカモメ、ミユビシギ、ハマシギなどを見ながら海岸線を歩きましたが、途中にある小さな漁港では1羽のウミスズメが潜水と浮上を繰り返していて、間近にその姿を観察することができました。外洋性の海鳥のため通常は船から観察することがほとんどですから、陸地から観察できたことは幸運でした。そして最後は河口部でアカエリカイツブリを見ることができ、海藻に集まるヨシガモ、オカヨシガモ、ヒドリガモ、海上に群れる20羽ほどのクロガモの群れを観察することができました。夕暮れ時になってきましたが、下見時にハイイロチュウヒが見られたことからその場所に行くことにしました。湖面にはコガモ、ミコアイサなどが見られ、カイツブリも見られたため1日で5種のカイツブリ類が見られたことになりました。干拓地の地上にはチュウヒの姿がありました。対岸の樹上にオオタカの成鳥がいたため見ていると、オオタカにモビングするかのようにハイイロチュウヒのオスが現れました。一旦姿を消しましたが湖面スレスレを飛翔しながらこちら側にやってきて、最後は干拓地の地上に降り立ちました。気がつくと美しい夕陽が真正面に沈んでいくところで、それを眺めながら探鳥を終了しました。
今回は天気も良く、風も穏やかだったことからそれほど寒さが厳しくない中で探鳥ができたことが幸いでした。主役となるオオワシの優雅な飛翔、岩礁海岸に生きるシノリガモ、思いもよらない出会いだったウミスズメ、最後はハイイロチュウヒの飛翔も見られ、日帰りとしては異例の73種を見ることができ大収穫の1日でした。皆様お疲れ様でした。

石田 光史

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