【ツアー報告】ヤドリギに群れるレンジャクに会いたい! 2017年2月25日

(写真:ヒレンジャク 撮影:日下部英昭様)

毎年この時期になると気になってくるのがその独特の姿から人気があるレンジャク類の動向です。ただし冬鳥の多くは飛来状況が毎年のように変わることが通例ですから、夏鳥のように毎年見られるわけではありません。今年は早い時期に北海道で渡来が確認されたため、早春の頃には本州でも観察できるのではないかと期待が高まっていました。ただ、直前になってもレンジャク類の飛来情報は全くなく、出発前はかなり厳しいのではないかと思われました。

25日、この日は天気予報も良好で穏やかな日になるとのこととで、早朝の東京駅前は快晴。ただ翌日の東京マラソンの準備で慌ただしい状況でした。予定通り08:00に東京駅前を出発し現地に向かいました。ただし高速道路は渋滞でバスは思ったように進まず、最初のサービスエリアには予定よりも30分遅れて到着しました。その後はさらに走り最初の探鳥地に到着しました。まずは観察機材の準備をしてからヤドリギのある場所を丹念に探していきました。ただやはり残念ながらレンジャクの気配はなく、地上で採食するツグミ、シメ、シジュウカラなどを観察するのみでした。また北帰行が早いのか池ではカモ類の数は極端に少なかったですが、それでも数羽のコガモが集まって求愛行動を見せてくれました。首をピョコピョコ動かす動作が可愛らしく思わず見入ってしまいました。さらに奥に進むと同じようにツグミ、シメの姿があり、さらに奥の広場では驚いたことに100羽を超えるようなシメの大群が地面で採食していました。しばらく観察してみると中には嘴に青みが出ている夏羽になりかけの個体もいました。するとその中に嘴が黄色い個体がいることに気がつき、見てみるとなんとコイカルのメスでした。イカルの群れの中にコイカルが混じることはよく知られていますが、シメの群れの中にいるとは驚きました。その後何度か見る機会がありましたが、じっくり観察するには至りませんでした。コイカル探しに時間がかかってしまったため、予定よりもかなり遅れて駐車場の戻ろうと歩いていると、なんとなくレンジャクの声がしたような気がしたので付近のヤドリギを見てみると、なんと驚いたことに高木のてっぺんにヒレンジャクが止まっていました。慌てて望遠鏡をセットしてみなさんに見ていただきましたが、思のほかじっとしていてくれたのでその独特の姿をじっくりと観察することができました。よく見ると3羽のヒレンジャクの姿があり、ヤドリギの実を食べる姿などしばらくの間楽しませてくれました。時間がかなりオーバーしましたが、ひとまず各自駐車場付近で昼食をとっていただき、その後は次のポイントに移動しました。この場所も以前からレンジャクの飛来の確率が高く、やはり付近にはヤドリギが多く見られました。この日は雪が積もっていて足場が悪かったですが、ひとまず餌台が設置されている場所で探鳥しました。ここではコガラ、ヤマガラ、シジュウカラが多く見られ、ほかにもゴジュウカラ、アトリの姿があり、暖かかったせいか遠くからヒガラのさえずりが聞こえていました。時間が押していたことからこの場所での探鳥は1時間ほどで切り上げて最後の探鳥地に向かいました。ここでもやや急ぎ足でしたがまずはエナガ、シロハラの姿があり、当地ではよく目にするアオゲラがこの日も現れてくれたため望遠鏡を使って観察しました。その後は人気のあるミヤマホオジロの美しいオス個体、すっかり夏羽に換羽したアトリ、そのほかアオジ、カシラダカなどを観察して探鳥を終えました。この日は夕方になっても寒さを感じることがないほど快晴無風の1日でした。

当日はとても穏やかで暖かな1日で探鳥日和だったことは幸いでした。また直前になってもレンジャクの渡来情報がなかったにも関わらずヒレンジャクに出会うことができて幸いでした。またミヤマホオジロ、アトリ、コガラ、ゴジュウカラ、アオゲラ、そして驚くようなシメの大群も見事でしたが、その中にコイカルがいたことにはさらに驚きでした。来年以降もさらに多くのレンジャク類が当地に渡来してくれることを祈りたいと思います。この度はお疲れ様でした。

石田光史

ヒレンジャク 撮影:日下部英昭様

 

ヒレンジャク 撮影:日下部英昭様

 

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