【ツアー報告】カンムリワシの島 石垣島と西表島 2017年3月26日~29日

(写真:カンムリワシ 撮影:橋本和司様)

すっかりおなじみになっているカンムリワシ、ズグロミゾゴイ、ムラサキサギの八重山3点セットのほか、ヤエヤマヒメボタルが乱舞する幻想的な雰囲気の中でリュウキュウコノハズクが見られ、さらに春の渡り真っ只中の時期のため珍鳥や迷鳥と呼ばれる種に出会う確率が極めて高いという楽しみも加わった見どころ尽きない時期のツアーです。今回も地元で長らく探鳥をされている方からの最新情報を元に探鳥を行います。

3月26日、羽田空港、伊丹空港を出発したお客様を那覇空港でお迎えして、13:30に石垣空港に到着。真冬のような寒さとなったが、みなさんは平気のようで直ぐに専用バスに乗りバードウォッチングを開始する。このツアーの前にいつも地元で鳥を見ている方が最新情報を教えてくれるので本当にありがたい。ただ、渡りの時期はいつまでも同じ状況が続くわけではなく、ポイントとなっている牧場に狙っていたムクドリ類の姿がない。渡り途中のツバメがたくさん飛び、色の濃いリュウキュウキジバトはたくさんいるのだが、周辺の公園にも足を延ばしたがやはりムクドリ類がいない。例年ならばギンムクドリやカラムクドリなどの何百羽という群れが越冬しているのだが、今年はほとんど見られなかった。ただここでは本州のものとは色彩が異なるイシガキヒヨドリ、また八重山ではよく見られるシロガシラを観察、撮影する。次に空港近くの耕作地へ行き、木にとまっているカタグロトビの成鳥を発見。3年前から石垣島に渡来し、今年、日本で初めて繁殖に成功して幼鳥が巣立ったのである。少し距離はあったがみなさんでじっくりと堪能する。さらに、近くのポイントへ行くと、すぐにズグロミゾゴイを発見。恥ずかしがりやでいつもは隅っこの方にいるのだが、草地の真ん中でゆっくりと大きなミミズを引っ張り出して食べている。みなさんでじっくりと観察、撮影することができ、まずは八重山3点セットのうちの1種をゲット。海岸へ行くと、ミサゴ、クロサギ、シロチドリなどがいるがいずれも遠い。そして、最後に河口へ行き白いクロサギをじっくりと観察、撮影して終了する。

3月27日、早朝、お客様だけで漁港近くの公園に行きギンムクドリ、カラムクドリを見られた。07:30 ホテルの近くの草地に行くとムネアカタヒバリが数羽いたが草丈が高くてなかなかじっくりとは見られない。隣接する公園にはハクセキレイの亜種ホオジロハクセキレイが芝地で餌をついばんでいる。08:00に専用バスで河口へ行き、白いクロサギ、アオアシシギ、コチドリなどを観察。続いて水田地帯へ行き、コウライキジのペアを発見する。雄は繁殖羽で綺麗なのだが、放鳥された種であり、クジャクと共に農作物や在来のトカゲ類などを食べる厄介者なのだ。水田にはサギ類、カルガモ、コチドリ、タカブシギ、トウネンなどがたくさん入っていて、みなさんで観察、撮影する。その後はサトウキビを刈っている畑でムラサキサギが餌を採っている姿をみなさんで観察、撮影する。さらに、近くの家にカンムリワシの成鳥がとまっていて、こちらもじっくりと観察、撮影することができ、これで八重山3点セットが揃ったのである。水田地帯にはセイタカシギがたくさんいて、アカアシシギ、ツルシギと一緒に餌を採っていて、遠くをムラサキサギが優雅に飛ぶ。そしてこの頃から一気に温度が上がり気持ちがいい。移動途中、道路脇の木にカンムリワシのペアがとまっていたのでまたまた観察、撮影する。その後はこの時期よく見られているクロウタドリを一気に3羽も発見。地元の方からもあちこちにクロウタドリがいるとの情報が入っており、昨夜、島にたくさん入ってきたようだ。ところが数羽いると聞いていたヤツガシラが見当たらない。昼食後、再び探すが見当たらず、どうやら昨夜、渡ってしまったようである。14:40 石垣島離島桟橋からフェリーに乗り、15:30 西表島に到着。ホテルに向かう途中、所々にカンムリワシの成鳥や幼鳥がとまっている。16:30にホテルに着くと早速、周辺で鳥を見る。シロハラクイナが走り、リュウキュウサンショウクイが飛びまわる。近所の学校の庭にもクロウタドリがいたのでみなさんで観察、撮影する。ホテルで夕食後、夜の山に行く。真っ暗の中、何万匹というヤエヤマヒメボタルがイルミネーションのように輝き、リュウキュウコノハズクが「コホッ コホッ」と鳴く、なんともいえない幻想的な世界である。そして、近くで鳴くリュウキュウコノハズクをみなさんでじっくりと観察、撮影してこの日の探鳥を終了する。

3月28日、08:00 専用バスで出発。ホテル前の水田の電線にカンムリワシの成鳥がとまっている。なんか顔がおかしいのでよく見ると、なんと虹彩の黒い個体であった。普通のカンムリワシの虹彩は黄色だが、100羽に1羽しかいないと噂されている珍しい個体である。10年前からこの水田周辺で度々みるので同じ個体だろう。もちろん、みなさんでじっくりと観察、撮影する。白浜へ行き、真っ赤なデイゴの花をハシブトガラスの亜種オサハシブトガラスが食べている姿を観察、撮影。近くの樹林からはズアカアオバトの尺八の練習のような鳴き声がする。水田地帯ではムラサキサギが飛び立ち、あちこちでシロハラクイナが鳴き交わす。愛想の良いちょっと赤味のあるムネアカタヒバリがじっとしているので観察、撮影する。その後もまたまたセンダンにとまっているカンムリワシを発見。アマサギが牛ではなくなぜか馬の背にとまっている。ほかにもアカモズの亜種シマアカモズを観察、撮影する。島を北上すると道路脇の木にカンムリワシの幼鳥がとまっていた。カンムリワシは、成鳥は全身が黒褐色だが、幼鳥は全身が白色で別の鳥のようなのだ。まったく警戒してないのでみなさんでしっくりと観察、撮影する。牧場ではギンムクドリ数羽が牛舎の杭にとまっている。さらに東へ進むと道路の脇でヤツガシラを発見。しかし、直ぐに飛び立ち、数人が見られただけでどこかへ飛んでしまったのだ。ツアーで最悪のパターンがこの数人だけ見ることのできたというやつである。暫く待つが出て来ないので諦めてシロハラクイナのポイントへ行く。シロハラクイナは警戒心が強くなかなか写真を撮るのが難しいが、ここの個体はのんびりしているから撮影や観察がじっくりとできるのだ。ところが、暫く待っても出て来ないので、ここも諦めて水田地帯に行く。農道をセイタカシギ、タカブシギ、タシギ、カンムリワシなどを見ながら歩いていると、突然、足元からリュウキュウヨシゴイの雄が飛び出し、みなさんを驚かせる。最近、西表島では見なくなったシロガシラがたくさんいる。再び、シロハラクイナのポイントへ行き、暫く待つと愛想のいいシロハラクイナが出てきてじっくり観察、撮影する。さらに道路脇でヤツガシラが餌をついばんでいた。みなさんで見ていると樹林の方へ飛んでしまい、周囲を探すと、枯木にとまっているヤツガシラを再発見。まったく逃げないので全員でじっくりと観察、撮影する。さらに進むと、道路脇の木にカンムリワシの幼鳥がとまっていたのでバスを止めたら、その手前にズアカアオバトの亜種チュウダイズアカアオバトがとまっていた。もちろんみなさんでじっくりと観察、撮影して終了する。

3月29日、06:40 ホテルの周辺を歩く。シロハラクイナの雌雄が激しく鳴き交わしをする。橋で繁殖しているリュウキュウツバメを見ていると、ハクセキレイを掴んだハヤブサが我々の前を横切る。やっと海を渡ってきたホオジロハクセキレイが狩られたようだ。その後、リュウキュウサンショウクイ、クロウタドリをみなさんでじっくりと観察、撮影して終了し、その後は西表島から石垣島離島桟橋、さらに石垣空港から那覇空港へと向かったのである。

ゆったりと時間が流れる八重山。今回は4日間で66種の鳥たちと出会うことができました。そして、カンムリワシ、ムラサキサギ、ズグロミゾゴイの「八重山3点セット」にヤツガシラ、クロウタドリ、ムネアカタヒバリなどの渡り鳥をみなさんでじっくりと観察や撮影したツアーでした。みなさま、お疲れ様でした。

宮島 仁

シロハラクイナ 撮影:石田光正様

 

ズグロミゾゴイ 撮影:橋本和司様

 

カンムリワシ 撮影:石田光正様

 

カンムリワシ 撮影:橋本和司様

 

ズアカアオバト 撮影:石田光正様

 

ヤツガシラ 撮影:橋本和司様

 

コウライキジ 撮影:石田光正様

 

クロウタドリ 撮影:橋本和司様

 

ギンムクドリ 撮影:石田光正様

 

カンムリワシ 撮影:橋本和司様

 

クロウタドリ 撮影:石田光正様

 

ムラサキサギ 撮影:橋本和司様

 

ムネアカタヒバリ 撮影:石田光正様

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