【ツアー報告】タカ渡る白樺峠と渡りの小鳥たち 2017年9月23日~24日

(写真:ハチクマのオス 撮影:中島充雄様)

バードウォッチングには時期限定というものがいくつかありますが、その中でも極めて限られた一時期しか見ることができない恒例イベントのようなものがあります。今回訪れる信州、白樺峠の秋のタカの渡りはその代表で、見られる時期はほんのわずかな一時期だけです。今年は2回ツアーを企画しましたが先週は台風直撃の予報からタカが渡る可能性がほぼゼロに近いこと、また土砂崩れ等の危険判断から残念ながらツアーを中止としたため、今年の白樺峠ツアーは今回が最初で最後となりました。今回は当初土曜日の予報が芳しくなかったですが、出発直前には天気予報が良い方に変わり期待をもって出発することができました。

23日、週末ということもありやや混んでいる新宿駅を予定通り08:00に出発。朝まで降っていた雨はすでに上がっていましたが空は曇り空でした。昼前に松本駅に到着後は現地集合のお客様と合流し白樺峠を目差しました。ちょうど駅からは上高地方面を見ることができるのですが、この時間はまだまだ厚い雲に覆われていました。途中、休憩を挟んで山道を走り、白樺峠駐車場到着後はタカ見の広場まで20分ほどハイキング程度に歩きました。タカ見の広場到着の13:00はまだまだ松本方面の雲が厚く、観察をされている数百名と思われるバードウォッチャーの方々はまだままだ気合いは入っておらずタカの渡りはまだ活発ではないようでした。ただ13:30には挨拶代わりに3羽のハチクマが我々の真上を通過していき、13:45には眼下の林から旋回しながらクマタカが舞い上がり、反り返ったように見える翼先、幅の広い翼、そして美しい翼下面の模様を見ることができ、気がつくとそれに合わせるようにみるみる雲がとれて青空が広がってきていました。14:00にはフワフワとホシガラスが飛び、同時にツミが深い勢いのある羽ばたきで通過していきました。14:10には意外な方向の山の稜線付近に20羽ほどのサシバのタカ柱が出現し、14:20にはハチクマのメスが頭上をゆっくりと飛翔しました。また絡み合うように3羽のツミが飛んでいき、それを追うように14:45には10羽ほどのツミが続々と渡って行く珍しいシーンが見られました。15:00には再び15羽ほどのサシバのタカ柱が遠くに立ち、15:45には珍しくミサゴが通過していきました。16:00頃からは数はまとまってはいないもののサシバがパラパラと渡って行く夕方特有の行動が見られました。この日はツミの個体数が目立ったことに加え、タカが飛翔するコースが両サイドに逸れることが少なく、頭上を通過する個体が多い印象でした。また毎年わずかにしか見られないホシガラスが多数飛びかっていたのが意外でした。公式カウント数は208羽と必ずしも多くはありませんでしたが、低く飛んで行く個体が多かったことから盛り上がった印象でした。この日の夜は夕食後にこのツアー恒例となっている「タカ渡り識別講座」を行い、タカの渡りに関しての一般的な解説、またこの日に見ることができたタカ類を中心にした識別講座を行い、この日の復習及び翌日の観察に向けた予習を行いました。

24日、この日は青空が広がる中、06:00から宿周辺で探鳥しました。この時期の乗鞍高原は留鳥たちのほかにさまざまな小鳥たちの渡りが見られます。まずは川で餌を探すカワガラスの姿が見られ、カラマツの梢ではヒガラが歌っていました。また最近、信州での繁殖記録が増えているジョウビタキの親子と思われる小群が見られました。道沿いのイチイの実にはヤマガラ、コガラがやってきていて賑やかで、付近では今年生まれの翼のみ青いオオルリのオス、ビンズイ、そして秋の代表種のエゾビタキの姿もありました。さらにはミズキの実に群れる20羽ほどのイカルの群れに出会うことができ、ミズキの実をさかんに食べている様子が観察できました。その後も珍しく梢に止まるゴジュウカラ、ホオジロの幼鳥、そして珍しくクロジの姿も見られ07:30には宿に戻って朝食としました。その後は08:30には再び白樺峠に向けて出発し、澄み切った青空の下、09:00からピークに期待してタカの観察を開始しました。準備をしているといきなり低いところをハチクマ2羽が飛び、高いところを独特の大きな深い羽ばたきでツミが飛んでいました。09:50には眼下の林からハチクマのオスが旋回飛翔し、珍しく目線の高さでその姿を見ることができたため、顔の色や尾羽にある太い2本のバンドなど識別ポイントをじっくり見ることができました。10:00にはやや遠くをホシガラスが飛び、10:30には2羽同時にホシガラスが近くを飛び盛り上がりました。10:45には30羽ほどのハリオアマツバメの群れが旋回上昇しながら我々の頭上を越えていき白樺峠らしい光景を見ることができました。10:50にはまたまたホシガラスが飛び、我々の頭上を越えたかと思うと後ろにあるシラカバに止まるという珍しいシーンが見られ、タカ見の広場がどっと湧きました。10:55にはミサゴ、11:00にはツミの成鳥が珍しく低く飛んでいきました。また11:15にはノスリ、11:20にはサシバの成鳥とバリエーション豊かなタカの渡りが見られ、11:30にはやや風が吹き始めて心地よい観察ができるようになりました。11:40にはこの日初めての15羽ほどのサシバのタカ柱が見られたかと思うと12:00にはサシバ30羽ほどのタカ柱が上空で旋回し見事な光景が見られました。12:30には珍しくハヤブサ、そしてハシブトガラスが出現し、その後、非常に珍しいことに眼下の林から次々にサシバが旋回上昇しながら出現し、これぞ白樺峠のタカ柱といった光景が見られました。ここからは一気に渡りが活発化し次々にサシバのタカ柱が連続して出現し、もうどこを見たらいいかわからないような状況になりました。そして13:00には大変珍しい暗色型のサシバが上空を飛翔しました。結局14:15までサシバの大規模な渡りが見られ、タカ見の広場全体に満足感が漂いました。夕方もサシバ、ハチクマの出現は続きましたが、この時間帯はどちらかというとタカ見の広場上空を飛ぶのではなく、やや右方向に流れるように低く飛ぶ個体が多くなっていました。そして陽が傾きだした15:30に探鳥を終了して駐車場に向かいました。この日の公式カウント数は2,033羽で今年も幸いにもタカ渡りのピークに当たることができました。

今年の白樺峠のタカの渡りツアーはおかげさまで2ツアー共に満席をいただいておりましたが、前週が台風18号の接近による危険判断のため残念ながら中止となってしまいました。ご参加予定だったお客様には大変申し訳ありませんでした。その関係もあって今回のツアーは今期最初で最後の白樺峠だったことから、なんとか結果が欲しいと思っていました。結果的には23日も午後から天気が回復したことから、数は少なかったものの低く飛ぶ個体が多かったことからある程度タカの渡りが見られ、24日にはタカ渡りのピークといえる連続して出現するタカ柱を見ることができ幸運でした。今後もツアー前に本社でのタカ渡り識別講座を企画し、現地ではトラベルイヤホンを使用して出現状況や識別ポイントをリアルタイムで案内、また夕食後には再度講座を行なうというどの会社にも真似のできない独自の体制でタカ渡りをトータル的にお楽しみいただけるツアーを企画してまいります。また来秋もタカの渡りを見にお出かけください。この度はお疲れ様でした。

石田光史

タカ柱 撮影:藤塚譲二様

 

サシバ(メス) 撮影:川島洋和様

 

ツミ 撮影:中島充雄様

 

ノスリ 撮影:藤塚譲二様

 

サシバ 撮影:川島洋和様

 

ハチクマ(メス) 撮影:中島充雄様

 

サシバ(暗色型) 撮影:藤塚譲二様

 

サシバ(幼鳥)撮影:川島洋和様

 

ホシガラス 撮影:中島充雄様

 

ハチクマ(メス) 撮影:藤塚譲二様

 

ハチクマ(メス)撮影:川島洋和様

 

ミサゴ 撮影:中島充雄様

 

ゴジュウカラ 撮影:藤塚譲二様

 

サシバ(左)とツミ 撮影:中島充雄様

 

ハチクマ(幼鳥) 撮影:中島充雄様

 

ハチクマ(オス) 撮影:中島充雄様

 

ハチクマ(メス) 撮影:中島充雄様

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