【ツアー報告】関東有名探鳥地めぐり 100種に会いたい! 2023年2月10日~12日

(写真:ケアシノスリ 撮影:大林修文様)

そもそもは関西方面のお客様から、日帰りツアーに参加するために1日だけ東京に行くのはなかなか難しいとのご意見をいただき、それを機に東京発日帰りバスツアーをまとめる形で始まったのがこの関東有名探鳥地巡り。東京発日帰りバスツアーで好評をいただいている関東圏を代表する探鳥地を8カ所ほどまとめ、できる限りその時期の旬の野鳥も見られるよう東京、群馬、栃木、茨城、千葉と3日間かけて関東を時計回りに探鳥しながら巡ります。ただ、単に探鳥するだけではおもしろくないだろうと思い、サブタイトルとして100種に会いたいとしました。幸いなことに過去、観察種が100種に達しなかったことはく継続してきました。ただ、今回は関東地方では珍しい警報級の大雪との予報が金曜日に出てしまい、ご集合からいきなり不安のあるスタートとなってしまいました。

10日、本当に雪が降るのかと早朝から天気予報を気にしていましたが、06:00くらいから早くも都内でも小雪が舞い始めてしまいました。このツアーは遠方からご参加のお客様が多いことから心配していましたが、ひとまず集合時間の09:00には全員のご集合が完了したことから雪が舞う東京駅前を出発しました。まずは次第に激しくなる雪の中、東北自動車道を走り、サービスエリアで休憩後は群馬県を目指しました。到着後はあたり一面が真っ白になり、さらには雪が舞う中で湖畔を歩きました。ヨシ原ではいきなりシジュウカラ、エナガ、オオジュリンが餌を探して活発に動き回り、水辺にはダイサギ、アオサギの姿がありました。さらに進むと浅瀬に群れているオオハクチョウ、コハクチョウが見られ、雪で視界が悪い状況でしたがヒドリガモ、コガモ、ミコアイサが見られ、湿地帯をトウネンが歩いていました。その後は一旦、バスに乗って隣接する沼にも立ち寄りました。ここではトモエガモに期待しましたが姿はなく、大量のオナガガモが地面を歩いていました。時間がお昼になることから本来であれば駐車場で昼食の時間とするのですが、かなりの雪のため外では食べられないため、その後は予定を変更して道の駅に移動し、屋根のある室内で昼食としました。その後はまだまだ小雪が舞う中、この冬、メジロガモが見られている池に向かいました。ヨシ原に雪が積もってしまっていることから小道のわきにはカシラダカ、ホオジロがで出てきて見やすく、池まで到着するといつもいるはずのカモ類が全くいませんでした。ただよく見るとたった1羽のカモ類の姿があり、それが目的のメジロガモでした。雪のためなかなかはっきりとは見ることができませんでしたがエンジ色の体には雪が積もり、目の白さが目立ちました。その後はやや雪が小降りになってくる中、コウノトリが良く見られている場所に行ってみました。公園内を歩くとムクドリの群れが地面に降りたことから見てみると、その中に1羽のホシムクドリの姿があり、シメも一緒に地上採食していました。池が一望できる場所まで来るとカワアイサの群れが飛び立ち、2羽のコウノトリの姿を見ることができました。一旦、戻ってトイレに立ち寄ってからはバスにて出発し、その後は周辺の畑地をめぐってみました。ここではミヤマガラスを探しましたが、雪でどうなることかと思ったわりにはあっさりと群れを見つけることができ、尖った嘴と角ばった額の特徴を見ることができました。そしてこの日の最後は最近、よく見られているケリを探しましたが、こちらは意外なことに遊歩道を歩いている2羽を見ることができ、道路状況を考慮して30分ほど早く現地を出発し、栃木県真岡市にあるホテルに向かいました。この日は計47種を観察しました。

11日、この日はうって変わって早朝から快晴の中、公園に向かいました。周辺にはやや雪が残ってはいましたが探鳥には影響がないレベルで助かりました。公園内に入ると間近にやってきた2羽のシジュウカラが地上採食し、しばらく見ていると愛想の良いルリビタキのメスがやってきて珍しくじっとしていてくれました。池まで歩くとヒドリガモ、オナガガモに混じってヨシガモ、オカヨシガモが見られ、遊歩道を歩いていくと間近にミコアイサのオスを見ることもできました。またここでは湖面のカモ類が警戒していることから周囲を見ていると、ハシブトガラスに追われながらオオタカが飛んできて木に止まったため、その姿を見ることもできました。薄暗い林に入るとここでもルリビタキのメスに出会うことができ、その後は地面で餌を探すシロハラ、樹液を飲みにきているメジロ、遊歩道の上をノコノコ歩くビンズイ、比較的大きな群れで移動しているエナガなどを見ながら進み、トイレ休憩後は「ジェー、ジェー」とけたたましく鳴きながら林内を飛び回るカケスが珍しく間近に止まってくれたためじっくりと見ることができました。その後はトラツグミが良く見られているポイントを歩きましたが残念ながら姿はなく、代わってシロハラ、青いルリビタキ、カワセミ、そして最後はヤマガラ、シジュウカラの混群を見てから移動しました。ここからは北関東道経由で常磐道に入り、途中にあるパーキングエリアにて昼食の時間としてからさらに南下し、右手に牛久大仏をみて、この日最後の探鳥地である茨城県稲敷市までやってきました。まずはヒシクイが毎年越冬している稲波干拓に向かいましたがこの日は残念ながら霞ヶ浦方向に移動してしまたとのことで見ることができませんでした。ただ干拓地にはかなりの数のタゲリの姿があったほか、上空をミサゴが飛んできました。その後はハス田が点在する淡水シギ類のポイントを歩きました。やや水位が上昇してしまったことから足が短い小型のシギ類には出会えませんでしたが、タカブシギ、クサシギ、タシギには出会うことができ、最後にはハス田から飛び立ったツメナガセキレイにも出会うことができました。付近ではこの冬、ケアシノスリが見られているとのことで探してみましたがなかなか見つからず。そのためヨシ原周辺をバスで流してみると純白の羽毛が目立つケアシノスリがホバリングしている場面に遭遇することができました。一旦、林のほうに飛び去ってしまったため行ってみると電柱に止まっているケアシノスリを発見。最後は畑の中の杭に止まっている姿をじっくりと観察することができました。その後は再び別のハス田をめぐり、ここではセイタカシギ、イソシギには出会えましたがこの冬を象徴するように淡水シギ類が少なく残念でした。そして最後は恒例になっている猛禽類の塒入りを観察しました。この冬はハイイロチュウヒが帰ってくるのが早いことからいつもより少々早く現地に行ったのが大正解で、ほどなくして美しいハイイロチュウヒのオスがやってきて見事な飛翔をしばらく見せてくれました。またハイイロチュウヒのメスは複数個体見られ、チュウヒも20個体ほどが乱舞したり枯れ木に止まったりしてくれました。そうこうしているうちに今度はコミミズクが杭に止まり、その後はヨシ原内の枯れ木に止まりました。そして最後はかなり薄暗くなってからさらに2羽のハイイロチュウヒのオスがやってきてこの日の探鳥を締めくくってくれました。この日は新たに計24種を加えてここまでの観察種は合計71種となりました。

12日、この日は前日よりもさらに天気が良く、最高気温は18℃とまるで春が来たかのような陽気になるとの予報の中、まずは茨城県の波崎港に向かいました。まずはこの冬、オオホシハジロが見られている港に行ってみましたがこの日は残念ながらその姿はなく、ホシハジロ、ハシビロガモ、ユリカモメ、カモメなどを見てから波崎港に移動しました。この冬はどこの港も海鳥が少ないのですが、この日は数羽で群れるクロガモが見られ、アカエリカイツブリ、ハジロカイツブリ、ウミアイサの姿がありました。トイレ休憩後は利根川沿いで探鳥し、ここでは間近にウミアイサのオスが見られ、その後は銚子大橋を渡って千葉県の銚子漁港に移動しました。まずは堤防上に並んでいるカモメ類の群れを探すと第2漁港に大きな群れがいたことから丁寧に見てみました。すると比較的わかりやすいカナダカモメがいてたまたま隣にセグロカモメがいたことから比較しながら観察することができ、背の灰色の違いや足の長さの違い、そして初列風切裏の灰色も確認することができました。その後は千人塚で再びアカエリカイツブリ、第3漁港では2羽のクロサギを見てから一旦、昼食の時間としました。昼食後は船橋海浜公園に向かう予定でしたが、やや時間があったことから再び第2漁港の群れを見てみると幸いにもミツユビカモメが見られましたが、ワシカモメ、シロカモメといった定番種を見ることはできず、時間がきたことから千葉県の船橋海浜公園に向かいました。再び東関東道を走り途中、酒々井パーキングエリアで休憩後に船橋海浜公園に到着しました。まずは干潟を眺めてみると中央付近にハマシギの群れがいたことから、まずはここから観察しました。付近には当地の代表種であるミヤコドリをはじめ、ダイゼン、ミユビシギ、そしてかなりの数のシロチドリが見られ、複数のズグロカモメが干潟内をヒラヒラと飛んでは急降下してカニを捕らえていました。その後は堤防まで移動すると残念ながら鳥の姿は少なく、オオバン、スズガモのみといった感じでしたが、最後の最後にどこからともなく飛んできたビロードキンクロのオスが見られ、この日は新たに25種を観察し3日間の観察種合計は96種で今回は残念ながら目標を達成することができませんでした。

まずは初日に大雪警報が出てしまいましたが無事にご集合が完了して出発できたことは幸いでした。今回はこの冬に見られている、メジロガモ、ケアシノスリ、ツメナガセキレイ、ホシムクドリ、コミミズク、カナダカモメ、ビロードキンクロ、ズグロカモメといった比較的珍しい種が見られたほか、美しいハイイロチュウヒのオスの飛翔を堪能できたことは成果でした。ただ、大型カモメ類やカイツブリ類、淡水シギ類が少なく、こういったあたりで観察種数を増やすことができませんでした。ただたった3日間で駆け足でめぐったわりに、これだけの多種多彩な野鳥たちに出会えることはまだまだ関東地方も野鳥の住みかとしては良い環境が残っていることの証でしょう。またの機会にご一緒できましたら幸いです。

石田光史

エナガ 撮影:須崎明男様

 

ミサゴ 撮影:近藤俊三様

 

ハイイロチュウヒ 撮影:長崎俱久様

 

カナダカモメ 撮影:大林修文様

 

コミミズク 撮影:須崎明男様

 

オオジュリン 撮影:近藤俊三様

 

ズグロカモメ 撮影:長崎俱久様

 

ビロードキンクロ 撮影:大林修文様

 

ミヤコドリ 撮影:須崎明男様

 

ミコアイサ 撮影:近藤俊三様

 

メジロガモ 撮影:長崎俱久様

 

ハイイロチュウヒ 撮影:大林修文様

 

ズグロカモメ 撮影:須崎明男様

 

ハイイロチュウヒ 撮影:近藤俊三様

 

ハイイロチュウヒ 撮影:長崎俱久様

 

ツメナガセキレイ 撮影:大林修文様

 

アカエリカイツブリ 撮影:須崎明男様

 

ミヤコドリ 撮影:近藤俊三様

 

ハイイロチュウヒ 撮影:大林修文様

 

カケス 撮影:須崎明男様

 

ホオジロ 撮影:近藤俊三様

 

メジロガモ 撮影:大林修文様

 

ケアシノスリ 撮影:須崎明男様

 

カンムリカイツブリ 撮影:近藤俊三様

 

コハクチョウ 撮影:大林修文様

 

ハイイロチュウヒ 撮影:須崎明男様

 

ケアシノスリ 撮影:近藤俊三様

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