【ツアー報告】利根川周辺の冬の猛禽類 2017年12月6日

(写真:ハイイロチュウヒ 撮影:箕輪篤子様)

冬本番を迎えたこの時期恒例の日帰りバスツアーは、利根川周辺を巡りながら主に猛禽類を探します。今年はこのツアーの主役ともいえるハイイロチュウヒが数多く飛来しており、しかも昼間の時間帯に観察できる可能性が極めて高いことから利根川周辺の定番ポイントを一か所減らし、その分の時間を霞ヶ浦南部で過ごすことにしました。またこのツアーで毎回訪れているヒシクイの定期越冬地には今年も100羽を超えるヒシクイがやってきているほか、越冬中のシギチドリ類、冬の農耕地の主役、タゲリ、さらにはここ数年越冬するようになったホシムクドリも探すという日帰りバスツアーとしては盛りだくさんの内容です。

 6日、快晴の東京駅前を予定通り08:00に出発して茨城県方面に向かいました。バス車内ではこの日に観察できそうな種についての解説を行い、あらかじめ予習をしていただきました。バスは順調に進み2時間ほどで現地に到着しました。まずは各自観察機材の準備をしていただき、早速ヒシクイの越冬地に向かいました。この日は幸いにも観察舎から近い場所にヒシクイが降りていて地上採食していました。ただ観察開始後、突然群れが飛び立ち、しばらく旋回飛翔した後、遠くに飛び去ってしまいました。日中はほとんど動きがないのですが、いきなり圧倒されるようなシーンに出会うことができました。周辺ではチョウゲンボウ、ツグミ、タゲリの群れなども観察することができました。その後は昼食まで少々時間があったことからシギ類を探してみました。ここでは人気のタゲリの姿を間近に観察することができ、ほかにもタカブシギ、オオハシシギ、コアオアシシギ、タシギの姿があり、泥地には見つけるのが難しい小型のオジロトウネン、コチドリの姿も見られました。また遠くの電線にはコチョウゲンボウの姿も見られました。その後は一旦昼食の時間とし、その後はいよいよハイイロチュウヒ観察に向かいました。現地では僅かな時間で早速チュウヒが飛び始め、しばらくするとハイイロチュウヒのオスが舞い、続けて今度はメスが比較的高い場所を旋回飛翔し始めました。場所をやや変えて観察を続けるとようやくオスが比較的近い場所を飛翔してくれたため、灰色と黒、そして白という美しいコントラストを楽しむことができました。ハイイロチュウヒは昼間に観察することがとても難しいため、ほとんど塒入り時のみの観察でしたが今回は幸運な時間を過ごすことができました。その後は一旦ポイントを離れてホシムクドリを探しに向いました。この時期は夕方になるとムクドリが群れていることが多く、その中に稀にホシムクドリが混じっているのです。この日は幸いにもムクドリの比較的大きな群れを発見することができたためかなり期待大でしたが、残念ながらその姿を間近に見ることはできず、遠くの樹木に止まった1羽のホシムクドリの姿を見るに留まりました。そして最後は再びハイイロチュウヒの塒入りを観察しに向いました。見る見るうちに陽が傾いて行く中、草地の杭にはノスリやチョウゲンボウの姿がありました。しばらくするとハイイロチュウヒが舞い始め、最終的にはオスが3個体、メスが2個体が見られました。ただ草地の中央寄りを飛翔していたため間近に観察する機会はありませんでした。ただこれだけの数のハイイロチュウヒが観察できたことは過去になく、貴重な時間を過ごすことができました。

 毎年、冬恒例となっている日帰りバスツアー。今回は越冬中のヒシクイの群れが飛翔するシーンに出会うことができたほか、個体数こそ少ないながらもタシギ、オオハシシギ、コアオアシシギ、オジロトウネン、タカブシギ、コチドリなども見られ、人気のあるタゲリもじっくり観察できました。またホシムクドリも見られ主役のハイイロチュウヒに関しては昼間の時間にオスメス共に見ることができました。たった1日の観察でしたが魅力ある種に出会うことができた1日でした。皆様お疲れ様でした。

 石田光史

タゲリ 撮影:中村由紀子様

 

ヒシクイ 撮影:箕輪篤子様

 

ハイイロチュウヒ 撮影:中村由紀子様

 

コアオアシシギ 撮影:箕輪篤子様

 

ヒシクイ 撮影:中村由紀子様

 

ハイイロチュウヒ 撮影:箕輪篤子様

 

ヒシクイ 撮影:中村由紀子様

 

タヒバリ 撮影:箕輪篤子様

 

オオハシシギ 撮影:中村由紀子様

関連記事

ページ上部へ戻る