【ツアー報告】カンムリワシの島 石垣島と西表島 2022年3月30日~4月2日

(写真:カンムリワシ)

3月30日、午後に石垣空港を出発。石垣島ではいつも地元で鳥を見ている方がリアルタイムの最新情報を教えてくれるので感謝です。早速、耕作地へ行くと、ツバメチドリ2羽、ツメナガセキレイ4羽が餌を啄んでいるのでみなさんでじっくりと観察、撮影する。亜種シマアカモズがたくさん渡ってきてあちこちにいる。シロガシラ、イシガキヒヨドリなどの石垣島らしい鳥も次々に出現する。夕方、ズグロミゾゴイのポイントに行くが見当たらない。なかなかじっとしていない亜種イシガキシジュウカラの小群が何かを採食していてじっくりと観察、撮影する。それにしても胸の色が濃くて内地のシジュウカラとは全く別の種のようだ。さらにズグロミゾゴイを探すが見つからない。綺麗なコウライキジのペアがいて観察、撮影する。その後はカタグロトビのポイントへ行く。例年は繁殖している時期なのだが、今年は繁殖が早く、ヒナたちは巣立って分散してしまったという。地元の人からも「今年は厳しいよ!」と言われたが何となく戻ってくるような気がして待つことにした。日本で一番体の小さい亜種オサハシブトガラスや奇妙な声で鳴くシロハラクイナなどを観察しながらしばらく待つ。すると1羽が飛んできて近くまで来たが飛去してしまう。そこでポイントを少し変えて待つと、再びカタグロトビが飛来してモクマオウにとまる。ちょっと距離はあるがみなさんでじっくりと観察、撮影する。帰りに地元の方と出会いカラムクドリ30羽程を見てからホテルにチェックイン。いつの間にか、ムラサキサギ、スグロゾゴイ、カンムリワシ、カタグロトビを八重山4点セットと呼んでいるが、初日に今回の難題のカタグロトビをゲットしたのである。

3月31日、ホテルで朝食後、ホテルの近くを歩き、シロガシラ、キセキレイ、シマアカモズなどを見る。ムネアカタヒバリ4羽が草地から鳴きながら飛び出すが、すっきりとは見えない。その後は専用バスで移動。昨日、見られなかったズグロミゾゴイのポイントへ行くが見あたらない。その後は水田地帯を歩く。気温がぐんぐん上がり真夏のようだ。アマサギ、コサギ、ダイサギなどのサギ類やコチドリ、シロハラクイナなどを観察しながら歩く。水田で綺麗なソリハシセイタカシギ2羽がのんびりと餌を採っている。警戒することなくどんどん近づいてくるのでみなさんでじっくりと観察、撮影する。しかし、この鳥は何度見てもいい鳥なのだ。他にもセイタカシギ、タカブシギ、カワセミなどを見てから移動。道路の電柱にカンムリワシの成鳥がとまっている。仕方ないのでゆっくりと近づくと飛び立ち、水田に降りて出て来ない。待っていると水田から飛び立ち少し離れた電柱にとまる。脚にはオオヒキガエルを掴んでいるのでみなさんでじっくりと観察、撮影する。これで4点セットの2種目。その後は水田でムラサキサギを探すが見当たらない。コチドリの群れの中にサルハマシギのちょっと赤くなった個体がいる。11:50に八重山そばの昼食。12:20水田地帯を探していると知り合いから「ムラサキサギがいるよ」と連絡が入る。急いで駆けつけるが見当たらない。近くでクロツラヘラサギが餌を啄む。午後は再びズグロミゾゴイを探すが残念ながら出会えず離島桟橋に到着。この時期は北風が強くて波が高くて上原行きが欠航することが多いのだが、何年振りかに16:30発の上原行きのフェリーに乗る。17:30に西表島の上原港に到着。港の前の電柱にカンムリワシがとまっている。バスでホテルへ。17:50にホテルにチェックイン。慌ただしくホテルで夕食とり、再びホテルを出発。ホテルの前の耕作地でシロハラクイナが大騒ぎをしている。セイタカシギを観察しているとすると、リュウキュウイノシシが表れて驚かされる。さらに、なぜかツアーになるとなかなか見られないリュウキュウヨシゴイの綺麗な雄がとまっているのでみなさんでじっくりと観察、撮影する。山道を歩き、ホタルのポイントで待つ。陽が落ちるとあちこちでリュウキュウコノハズクが鳴き始め、暗くなるとポツポツとヤエヤマヒメボタルが光り出し、やがて何千・何万頭のホタルたちがイルミネーションのように素早い点滅する。無数のホタルたちに囲まれていると、まるで小宇宙に旅立つような錯覚に陥るのだ。ホタルのイルミネーションのなかでリュウキュウコノハズクが“コホッ コホッ”と鳴く、幻想的な世界。これをみなさんに経験してもらいたかったのである。日没から約1時間でホタルの点滅が収束する。みなさん感動のまま山を下り、鳴き声を頼りにリュウキュウコノハズクを探す。美味しくて絶滅の危機にある大きなヤシガニがガサゴサ歩いている。アダンにとまっているリュウキュウコノハズクを発見してみなさんでじっくりと観察、撮影。夜の西表島をたっぷりと楽しんで終了。

4月1日、早朝、土砂降りの音で目が覚める。7:00朝食、小雨の中を8:00に専用バスで出発。ドライバーさんが毎年同じ方なのでポイントを熟知しているうえに観光ガイドもやってくれるので、いつも楽しい車内となる。西表島は島の東側~北~西側の半周しか道路が無く、南側は道路が無い原生林に覆われている。8:10小雨の中、集落内を歩くと、あの可憐な姿からは想像できない怪獣のような酷い声でシロハラクイナが鳴き交わす。草地でクロウタドリが餌を啄むが直ぐに隠れてしまい、さらに、クロウタドリに気を取られているとズグロミゾゴイが飛び立って藪に入ってしまう。なかなうまくいかないのだ。ゆっくり歩くとヤエヤマオオコオモリがデイゴの花の蜜を舐めているので、みなさんでじっくりと観察、撮影する。先程、藪に飛び込んだズグロミゾゴイを、もう一度探しに行く途中、木にとまっているズグロミゾゴイを発見。しかし、全員で見る前に飛んでしまう。飛び立った方向の草地を探すとパパイヤの横で擬態しているズグロミゾゴイを発見。やっと、みんなでじっくりと観察、撮影する。これで4点セットの3種。バスで道路の西の終点へいく。ここでは何度もいい思いをしているのだが、雨脚が強くキセキレイ、リュウキュウサンショウクイ、クロサギなどを観察して移動し水田地帯へ行く。ここもムラサキサギのポイントだがタカブシギやノビタキなどを観察、撮影する。バスに乗ろうとしていると道路から56mのセンダンの木にカンムリワシがとまっていて目と目が合う。みなさんでそっと観察をしながら離れようとするが飛んで行ってしまった。その後は牧場へ行く。ここもバーダーの間では珍鳥牧場と呼ばれていて、過去にいろいろと珍鳥が確認されているが、暴風雨でじっくりと見ていることもできずにバスに避難する。12:00 に昼食。毎年、トイレでリュウキュウツバメが繁殖していて、今年もトイレにカメラを向けるヤバイ集団となる。昼食後、島を南下する。例年なら電柱にカンムリワシの幼鳥がとまっているのだが、暴風雨で林内に入っているようで1羽も見られない。そういえば、昨年は成鳥・幼鳥延べ30羽以上も見たのだった。午後、水田へ行く。ここが最後のポイントなので祈る気持ちで農道へ出ると、水田からヒシクイが飛び立った。さらにクロツラヘラサギ2羽が田植えをしたばかりの水田で餌を採っている。そして、やっと畦で採餌をするムラサキサギを発見して、みなさんでじっくりと観察、撮影する。これで八重山4点セットをコンプリートなのだ。その後、セイタカシギやキンクロハジロ、サギ類などを見てから、売店でお土産や黒糖ソフトクリームを食べてからホテルに向かい、途中、もう一度、集落を歩く。すると直ぐに、草地でのんびりと餌を採るズグロミゾゴイを発見してみなさんで堪能したのである。さらに、帰りのホテルの前の水田で、ホオジロハクセキレイ、タイワンハクセキレイ、オジロトウネン、タカブシギなどをじっくりと観察、撮影して終了。西表島の食材を使った美味しい夕食で盛り上がりました。

4月2日、7:00朝食、8:00 台風のような暴風雨なので自由行動とする。元気な人たちとホテルの周りの水田で鳥を見る。ホオジロハクセキレイ、タイワンハクセキレイ、オジロトウネン、タカブシギなどを観察する。ホテルのお庭でシロハラクイナ2羽がずっと遊んでいる。そしてバスで港へ行き、12:30発のフェリーで石垣島離島桟橋、さらに石垣空港から直行便で羽田空港へと向かったのである。

本当はゆったりと時間が流れる八重山ですが、ツアーとなると大慌てで歩き回ってカンムリワシ、ムラサキサギ、ズグロミゾゴイ、カタグロトビの“八重山4点セット”を探し廻りました。しかし、ヤエヤマヒメボタルのイルミネーションの中でリュウキュウコノハズクが鳴く幻想的な世界は、時を忘れさせてくれました。みなさま、お疲れ様でした。

宮島 仁

ソリハシセイタカシギ

 

ズグロミゾゴイ

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