【ツアー報告】東シナ海の秘島 平島(たいらじま) 2018年4月27日~5月3日

(写真:シロハラホオジロ 撮影:佐久間昭宏様)

4月27日、鹿児島港南埠頭に全員集合し、21:30「フェリーとしま2」に乗船する。「フェリーとしま2」は4月2日から運航を開始した新造船であり総トン数1,953トン、全長93.4mのフィン・スタビライザを装着した立派なフェリーである。
23:00 「フェリーとしま2」は静かに錦江湾へと滑り出した。この春は、南西諸島のどこの島も渡り鳥が少なく、さらに、先週や先々週に平島で惨敗した報告が届いている。そんな暗い気持ちでのスタートなのである。
28日、05:30 に甲板に出ると、ちょっと遠いが、数百羽のオオミズナギドリが次々と流れて行く。カツオドリも数羽がフェリーに付いてきて、何度も船に接近して間近で見られる。08:15 平島に到着。民宿へ向かう道中、思っていたより鳥がたくさんいるので、ちょっと嬉しい。民宿に荷物を置き、慌てて鳥見を開始する。お寺から神社、学校、広場へと歩くと、キビタキの雄、オオルリの雄、コサメビタキ、センダイムシクイ、ビンズイがたくさん入っていてあちこちにいる。亜種サンショウクイの群れが鳴きながら飛ぶ。3月中旬からいろんな島へ行き、渡りがぱっとしなかったが、やっと渡りの島に来た気分なのだ。森ではアカヒゲが朗々と囀っている。キマユムシクイやシロハラホオジロもたくさん入っていて、ノジコ、ノゴマの雄、アカハラダカやカラスバト、ズアカアオバトなどもじっくりとみなさんで観察、撮影する。遅い午後、ツバメの群れに、コシアカツバメやアマツバメ、ヒメアマツバメの群れが混じる。コホオアカが数羽いて盛り上がる。夕方、週に3日だけオープンする温泉へ行く。皆さんで温泉に浸かりながら鳥談義というのもなかなかないいものである。
29日、まだ、薄暗いうちに民宿を出て広場へいくと、アカコッコが2羽囀っている。毎年、集落周辺では多くても3個体しか鳴かないので生息個体数はかなり少ないのだろう。平島の鳥たちは、ツバメ、モズ、ウグイスなどの本土系の種とズアカアオバト、アカヒゲ、リュウキュウメジロの琉球系の種、さらにアカコッコのような伊豆諸島の種が混在するという不思議な島なのだ。いきなり、コイカルの雄が1羽飛んで来てとまるのでみなさんでじっくりと観察、撮影する。コムクドリの10羽程の群れがいくつも入っていて電線にとまる。シベリアムクドリが入っていることがあるのでドキドキしながら見るのだがコムクドリばかりである。昨日のキビタキの雄、オオルリの雄、コサメビタキ、センダイムシクイ、ビンズイなどにキマユムシクイやエゾムシクイも入って来て島は賑やかになる。上空ではハヤブサ、チゴハヤブサ、ハチクマ、ノスリなどの猛禽類が渡っていく。ジュウイチが大きな声で鳴き出し、ブッポウソウがひらひら飛ぶ。鳥が多いということはこんなにも幸せなんだとつくづく感じるのだ。遅い午後、何百羽というツバメの群れに、コシアカツバメ、イワツバメ、ショウドウツバメやアマツバメ、ヒメアマツバメの群れが混じる。ツバメの亜種アカハラツバメの真っ赤な個体がいくつも混じっていてみなさんで盛り上がる。夕方、最後まで粘っていた数名のお客様がアカヒゲの雄とコルリの雄のバトルを観察したとニコニコしながら帰って来たのである。
30日、早朝、土砂降りの音で目が覚める。05:40に民宿の周りを歩くが、鳥たちが夜のうちに抜けたようで島が静まり返っている。こんな時はアカヒゲ観察に向かう。男女諸島から奄美諸島にいるアカヒゲが亜種アカヒゲであるが(沖縄本島は亜種ホントウアカヒゲ)、奄美諸島より以北のものは夏鳥として渡来し、サイズが大きく、中でもトカラ列島のアカヒゲが最も美しいと思う。そして、奄美諸島や沖縄本島のものは物凄く恥ずかしがり屋で早朝しか鳴かないのに、平島のアカヒゲは日中でも平気で鳴くのである。アカヒゲを観察、撮影しているとミゾゴイが出てきて驚かされる。午後は海岸へ行くがセッカ、キアシシギ、イソシギ、ダイサギなどしかいないので、再びアカヒゲの雌雄をみなさんでじっくりと観察・撮影する。数回、ミゾゴイが出てくるが警戒心が強くてちょっとでも動くと直ぐに隠れてしまい撮影にはならなかったのである。
5月1日、朝、05:40に民宿の周りを歩くが、鳥たちが入っていない。08:00頃から本降りとなり雨の中を頑張る人と宿でのんびりする人に分かれる。アカハラ、ムネアカタヒバリ、ツバメチドリ、ツツドリなどが新たに確認される。午後、シマノジコの雄を観たという情報で雨の中をみなさん頑張るが誰も見られなかった。16:30 雨が激しくなったので早めに終了して温泉へ行く。
2日、朝、05:40に民宿の周りを歩くが、鳥はさらに減ったしまった。08:35 「フェリーとしま2」は鹿児島に向けて東之浜港を出港。直ぐに数百羽のオオミズナギドリにカツオドリが混じる。屋久島が見えてきた頃、15羽程のシロハラトウゾクカモメが飛びまわる。その後もシロハラトウゾクカモメやトウゾクカモメ、アジサシ、アカエリヒレアシシギなどを見ながら鹿児島港へと向かったのである。この春の渡りはどこの島も鳥が少なかったが、やはりトカラ列島平島は別格でした。みなさま、どうもお疲れ様でした。

宮島 仁

ズアカアオバト 撮影:大坪昭允様

 

シロハラトウゾクカモメ 撮影:片山秀策様

 

アカヒゲ 撮影:佐久間昭宏様

 

コイカル 撮影:大坪昭允様

 

カツオドリ 撮影:佐久間昭宏様

 

カラスバト 撮影:大坪昭允様

 

コホオアカ 撮影:佐久間昭宏様

 

アカヒゲ 撮影:大坪昭允様

 

ギンムクドリ 撮影:佐久間昭宏様

 

シロハラホオジロ 撮影:大坪昭允様

 

ブッポウソウ 撮影:大坪昭允様

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